心地よいデザイン




心地よいデザイン



 ブログを含めてネットのいろんなサイトを見るけど、美しいサイトに出会うことはめったにない。これ見よがしにバナー広告が並んでいる。雑然とひしめき、調和がない。

 動き回るうるさい広告がある。読書する際、本の余白で広告がせかせかと動き回ってたら嬉しいでしょうか。その本に好感を抱くでしょうか。

 広告を別にしても訪問者に優しいページは少ない。ブラウザの左端から右端まで文字が連なるページを平気で作る人がいる。本でいえば見開きの両端まで一行が並んでる図になる。読みにくいことがわからないらしい。

 文字がやたら小さく、ぎっちり文字を詰め込むページ。見やすいレイアウトにし、ビジターを心地よく迎えようという心が見られない。かと思えば1ページに情報量が少なく、分割しまくってページ数をやたら増やしたサイトもある。


 利用したサイトに苦情を申し立てたビジターに対し、「ちゃんと読めよ」とほざく管理者が多いそうだ。ページを作った者は自分が読む側になった場合を想定できていない。ページを隅から隅まできちんと読む人はいません。

 人は一部を読んで直感的に理解する。理解が間違ってた場合、半分はサイト側に責任がある。一部を読んだだけで直感的に意図が正しく伝わるサイトをめざすべきだ。そうなっているサイトは少ない。商用サイトでも同じ。説明不十分。あるいは肝心な説明をすっ飛ばしている。

 ネットでイオンモール桂川の駐輪料金を調べた。料金は一日200円だが、1時間以内は無料。モールの映画館で駐輪券を出せば3時間まで無料。『KANO』という映画は3時間を超す。なら200円なのかというと、そうでもない。合わせて4時間が無料。どこにもそうは書いてない。隅々まで読み込んで、ようやくそうらしいと推測できる程度。

 こんな不親切はこのサイトに限らない。これが商用サイトの情けない実情だ。顧客の立場に立って心配りしようという気がない。

 『KANO』は映画本編だけでは3時間あまりだが、駐輪場からシアターまでの往復、トイレタイム、チケット購入、待ち時間、劇場内のCM、予告篇だらだら。合わせて4時間ほどになる。

 『KANO』を観に行ったとき、念のためにチケットカウンターで駐輪料金について問い合わせた。上映時間がいくら長くても駐輪無料は4時間までだそうだ。トイレに行く時間もなく、駐輪場と映画館を駆け足で往復しなきゃならない。顧客目線じゃないのはサイト対応だけじゃなかった。

 顧客満足第一主義の権化みたいな日本企業の商用サイトですらこんなありさま。逆に言えば、徹底した顧客目線で、とことん快適さを追求したサイトを作れば、十分ビジネスチャンスになりうるわけだ。


 ウェブサイトのデザインは凝りすぎないほうがいい。美的であることを追求しすぎる必要もない。これは個人サイトでも企業でも同じ。有用な情報があることはもちろん必要だが、「目に優しいこと」と「わかりやすいこと」が重要になる。たまにはビジターになって自分のサイトを訪問するといい。Googleから検索ワードを入力し、クリックする。自分のサイトだという意識を極力消し、初めて訪れたつもりで見る。そうすれば問題点が見えてくるだろう。

 僕はサイトを開設した当初、ポリシーとして「快適さ」と「楽しさ」を掲げていた。漫画や簡単なアニメを中心に据えた。辞典やデータベースを作りたいという欲求が高まって二本立てになった。さらに多方面へ関心が広がり、なんのサイトかわからなくなってしまった。

 今はトップに掲げた「よそさまのサイトではありえないコンテンツてんこもり」のみが統一コンセプト。まだまだ迷走中だ。人を楽しませることが僕自身の楽しみなので、その視点だけは外せない。


 大学の授業で学んだことは僕の頭に何一つ残っていません。学科の経済は卒業してから実地で勉強した。それでも大学生活は無駄ではなかった。4年間のフリータイムを与えられ、ゆっくり考える時間を持てた。

 教室で学んだことではないけど、一つ覚えたことがある。デザインというのは、工夫することであり、よりよくすることである、ということ。誰かが言ったわけではなく、何かに書いてあったわけでもありません。自力で理解したことに意味があった。

 よりよくしていくことはヴィジュアル物だけではありません。社会のシステムにおいてもデザイン感覚は必要。心地よい社会を築いていくのもデザインの一つです。


ひょっこり通信 2015.6.14




ひょっこり通信「省略のススメ」 ・・・短くつづめることで文章力が増す魔法の力

ひょっこり通信「イメージの光」 ・・・物語を読者にイメージ喚起してもらう

極楽page 船越聡君のサイトのトップページです

ひょっこり通信のページ

当ページhttps://funakoshiya.net/hyokkori/kokochiyoi.htm