長岡京市の裏百景 第56号 階段噺
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ほとんどの階段は、段数が奇数にな っている。途中に踊り場がある場合は 上下の段数を加えて奇数になる。つま り奇数段と偶数段に分割されている。 そういうことを知っているだろうか。 なぜそうなのるかわかるだろうか。 偶数は2だけ素数。奇数は1、3、 5、7、11、13、17、19、な ど、多くは素数である。素数はそれ自 身の数字か1でなければ割り切れない。 割れない数字というところに強さを見 る傾向がある。階段は、そうした強い 力に頼らざるをえない理由がある。 |
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階段を上ってて、何もないのにつま ずいたことはないだろうか。服を後ろ から引っ張られたようなことはないだ ろうか。呼び止められた気がしたのに、 振り返ると誰もいなかったということ はないだろうか。階段には妙なことが 起こりがちだ。 特定の何かが棲みついてるというこ とはありません。名前はありません。 いろんなものが「吹き溜って」いるの です。生活の疲れ、鬱屈した思い、恨 みや妬み。過ぎ行く人のネガティヴな 感情がこぼれ、階段の奥まった角に残 り、行き交う人に悪意を向ける。 |
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奇数もしくは素数の霊力は、名もな き悪意を封じ込める力があると信じら れている。また、奇数の段数は無意識 のうちに安心感を与えている。上る、 下りる。利き足から最初の一歩を踏み 出し、利き足で終わる。体のリズムの 面からもごく自然であるよう計算され ている。 いかがでしょうか。なぜ階段が奇数 なのか、納得してもらえましたでしょ うか。 |
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