突然!ネタばれしても委員会

第6回

『ミスト』



ミスト


 ここはネタばれオンリーのコーナーです。
これから観る方は、観てから読んでくださいね。

『ミスト』
2007年度作品 監督:フランク・ダラボン 原題:The Mist 原作:スティーヴン・キング 配給:ブロードメディア・スタジオ キャスト:トーマス・ジェーン、ローリー・ホールデン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、      アンドレ・ブラウアー、トビー・ジョーンズ、ネイサン・ギャンブル、他


 驚愕のホラーサスペンス。エンディングがあまりに強烈で、ネタばれOKのページ でもこのラストは書くのがはばかられます。エンドは原作にないものをもってきて、 原作者をうならせたエンドです。  モンスターは出てくるけど、こいつはさほど怖くない。怖いのは人間心理でした。 人間は思わぬ間違いをしでかす。そこに焦点を当てたのがすばらしい。  今回は特別にネタばれをしません。キネマ旬報の2008年6月下旬号(No.1509) で「立川志らくのシネマ徒然草」に書かれていたことがいまだにひっかかってるので、 書かせてください。  立川志らくはこのラストを「蛇足」と書いてるのです。ラスト部分を伏せて書いて るので、どう「蛇足」なのかがわかりづらい。熟読しましたが、ラストの意味を取り 違えているのかどうかも判然としない。  問題のシーンの直前、主人公のトーマス・ジェーンは4発しか残ってない銃弾を確 かめ、生き残りのメンバー(その中に自分の子供もいる)と視線をかわす。無言のこ のシーンで何を語っているのかは明白。そのあと直接映像では見せないが、銃声が4 発。火花も四つ見える。  立川志らくのシネマ徒然草276回「ミスト」の〈衝撃のラスト〉は果たして衝撃か?  これを全文無断転載します。どこにも挙がってないので、何か言われない限り、掲 載を続けます。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (この文章は「ミスト」の謎に、詳細ではありませんが、触れております。ご了承 の上、お読みください) 「ミスト」という映画は実に惜しい映画だ。「霧の中に何かがいる!」というサス ペンス。スティーヴン・キングの原作にない〈衝撃のラスト15分〉がこの映画の 売りだが、どうしてもこの15分が付けたしにしか思えない。観ていない人のため に、多くは書けないが、あの「何か」が車をまたいだところで終っていたら、現代 のヒッチコックの「鳥」になれたのに。分かりやすくいえば「ミスト」は「鳥」の ラストにエピローグをつけたようなもの。これは野暮というもんでしょ。「鳥」の、 大人しくなっている鳥の群れの間を自動車でこっそり逃げていくあのラスト。あと は観客の想像にお任せ、というのが憎い。「第三の男」の並木道のラストに後日談 をつけたら、怒るわね。アリダ・ヴァリがあの後どうなったかなんて、どうでもい いのです。あの並木道の後にどんな壮絶な恋があろうが関係ない。それなのに「ミ スト」はその壮絶な恋のようなものを我々に教えてくれているのです。  最高に面白い映画だけに惜しい! まあ、ご都合主義的な強引な物語の進め方も 気になりますがね。例えば、薬局に薬を命がけで取りに行く場面。いくら人助けと はいえ、死にかけている人間のために薬局に行きますか? 霧の中にとてつもない 「何か」がいるんですよ。あの行動は、主人公を薬局に行かせたいだけとしか思え ない。兵隊の首吊りも説得力がない。だいたい、主人公が、どうしてあんなに早く に決断をしたのか。もう少し粘ったっていいのに。衝撃のラストを持ってくる為に、 主人公が決断を早めたと思われたって仕方ない。そう、そこらへんが納得出来ない から〈衝撃のラスト15分〉が付けたしに思えるのです。  (以下略) 立川志らくのシネマ徒然草276回「ミスト」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  わかりにくい文章ですが、『第三の男』にひっかけてこれがハッピーエンドだとほ のめかしている部分があります。志らくは『ミスト』をハッピーエンドだと思ってる んでしょう。 The Mist - Ending Scene - YouTube  エンディングの6分足らずのシーン。ここだけを見て意味がわかるという映画では ありませんが、念のため。

   2020.2.29(追加加筆)




突然!ネタばれしても委員会のインデックス

「極楽」トップページ

当ページhttps://funakoshiya.net/cinema/neta006.htm