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Contents
 ・『釣りバカ日誌20 ファイナル』
 ・3D映画デビューは?
 ・今年の私的映画賞
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◎ 公開中の新作から………『釣りバカ日誌20 ファイナル』 2009年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:朝原雄三
 出演者:西田敏行/三國連太郎/浅田美代子/吹石一恵/塚本高史/松坂慶子
 配給:松竹

 このところずっと、公開前から情報をかき集め、面白そうな映画を捜しだすという
作業を日常的にやってました。『釣りバカ日誌』はそうした作業の範囲外でした。チ
ラシも持ってません。チラシは基本的にすべて集め、分類整理します。『釣りバカ』
のチラシを目にしても、「こんなの誰が観るんよ」と思い、無視してました。それを
わざわざ観に行く。

 只券が手に入ったのではありません。たまには何も考えず気楽に笑える映画が観た
いなあ、という気分になって思い出したのが、これ。このシリーズは千円均一の低料
金です。いつでも千円。思い立ってふらっと行って、楽しんでこられる料金体系です。

 『男はつらいよ』の併映でスタートしたこのシリーズ。僕はこのファイナルが初め
てなんですが、寅さんよりも評判がよかった。たしかに面白い。自分の目で確認し、
見くびっていたことに気づかされました。

 この映画は全体がどうのというより、細部のエピソードの積み重ねに面白みがあり
ます。愛妻のみち子(浅田美代子)に「今までハマちゃんのこと、好きになった女の
人はいないの?」と聞かれ、ハマちゃん(西田敏行)は「だあれもいないの。みっち
ゃんだけ。こんな僕を好きになってくれたみっちゃんは、ナイチンゲールみたいな人」
と答える。根はいい人なので悪意はないんですが、突然怒りだしたみち子の気持ちが
わからないデリカシーのない人でもあります。

 作ってる人(脚本は朝原雄三と山田洋次)がビジネス世界を知らない人なので、会
社内の描写にリアリティがないとか(新聞・週刊誌のコマ漫画と同じ)、欠点はあり
ますが、作り手が娯楽を詰め込んで楽しませようという強い意気込みが感じられる。

 映画史に残るようなシリーズではないと思いますが、すぐれたB級娯楽映画にはも
っと光が当たっていいんじゃないかと思う。このシリーズ、もうちょっと観たい。


───────────────────────────────────────
◎ 映画雑話……1  3D映画デビューは?
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 『ファイナル・デッドサーキット3D』を観逃して以来、3D映画を観るチャンス
がないままです。『カールじいさんの空飛ぶ家』は2D字幕版を選択した。理由はい
くつかあるが、3Dだと映像の質で見劣りする(色の鮮やかさが大幅にダウンする)
ということが大きい。この映画の場合、立体ということが余計な夾雑物に思えたとい
うこともある。

 ということで、『アバター』あたりで3D映画デビューにしようかと。この映画の
場合、映像の美しさはさほどではなかろう。予告篇などを見たかぎりでは、ストーリ
ー的に目新しいものはとくにない。へたすると立体映像ぐらいしか見るべきものがな
かったりするかもしれない。

 3D映画は、TOHOシネマズではカードの通常ポイント数+300円だそうです。
条件は突如変更されることもあります。MOVIXでは今のところポイント利用で観
れません。

 蛇足ながら、Avatarの日本語タイトルは『アヴァター』じゃなく、なぜ『アバター』
なのかという疑問がある。Abatorなら「土地の不法占拠者」となり、先住民のナヴィ
族が悪者になってしまうではないか(苦笑)。


───────────────────────────────────────
◎ こういうの、観てもいいのかな、という映画
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 去年の9月後半あたりからですが、シネコンもミニシアターもラインナップが薄く、
期待をかき立ててくれるものが少ない。11月以降、観たものは半分ぐらいオフシア
ター(大学・公共施設などの上映)だったような気もします。1月公開に多少めぼし
いものがあり。拾い上げてみましょう。


『ラブリーボーン』
 1月29日全国公開 2009年度作品
   監督:ピーター・ジャクソン  原作:アリス・シーボルト
   出演:シアーシャ・ローナン、マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、
スーザン・サランドン
   配給:パラマウント

 予告篇を見ただけです。が、かなり面白そう。死んだ少女が主人公。きちんと話を
把握していません。
 ちなみにボーンはBornではなく、Bone(骨)です。



『アサルトガールズ』
 1月16日京都公開 2010年度作品  監督:押井 守
   出演:黒木メイサ、菊池凛子、佐伯日菜子
   配給:東京テアトル

 仮想空間内のバトルを描く実写SF。Assaultは「急襲、総攻撃」といった意味。
 押井監督は「巨匠」になってしまわれてからは引いてたんですが、今回のはいかに
もなB級で、親しみが持てます。個性的な3人のヒロインもバランスがいい。



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◎ 映画雑話……2 今年の私的映画賞
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 しばしのたわむれにおつきあいのほどを。

◎ 日本映画賞
『愛のむきだし』(園子温)
  観て9か月経つのに観たときのインパクトが強く残っている。世間的には『ディ
ア・ドクター』(西川美和)で決まりでしょうけど。

◎ 外国映画賞
『チェイサー』(ナ・ホンジン)
  『チェンジリング』(クリント・イーストウッド)や『レスラー』(ダーレン・
アロノフスキー)もほぼ同等です。いずれも凄惨なストーリー。

◎ 日本映画女優賞
満島ひかり『プライド』『愛のむきだし』
  他の映画賞でなら新人賞をとってもおかしくない目立ちぶり。

◎ 日本映画男優賞
渡部篤郎『愛のむきだし』『重力ピエロ』
  強烈なキャラ、うなされそう。

◎ 外国映画女優賞
メラニー・ロラン『イングロリアス・バスターズ』
  これからの注目株。

◎ 外国映画男優賞
ミッキー・ローク『レスラー』
  断トツ。

◎ 新人賞
ジージャー『チョコレート・ファイター』
  二十代とは思わんかった。

◎ 名子役大賞
武井証『BALLAD 名もなき恋のうた』
  当人そのまんまのキャラが生かされた、というかんじ。

◎ メガネ・フェチ大賞(笑)
栗山千明『鴨川ホルモー』
  がらりとイメチェン。

◎ ベストWan!賞(苦笑)
ダグ『カールじいさんの空飛ぶ家』(声優:ボブ・パターソン)
  間抜け面がなごむ。

◎ ラジー賞
『ROOKIES 卒業』
  さらにひどいという『アマルフィ』は観てませんが。

 ほかにドキュメンタリで1本挙げるなら『犬と猫と人間と』をぜひ挙げたいところ
ですが、リストが長くなってきましたね。この映画には泣かされました。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
───────────────────────────────────────

 映画に使われた曲をサイトのデータベースにのっけるので、紙とペンを用意して映
画を観ます。メモは紙の上端から書いていき、メモ書きした下端で折り曲げます。次
に書くときはその下から書く。同じところに書いて読めなくなるミスを防ぐ。

 曲名とシーンの説明などをメモっていきますが、曲名が不明のことは当然あります。
日本語の歌の場合は歌詞を書き取ります。歌詞でネット検索すればたいてい出てきま
すので。ネット上にはいろんな情報が転がってるので、わからなくても調べれば出て
くることがあります。

 知ってる曲なのに曲名が出てこないということもよくあります。その場合は旋律を
書き取ります。帰ってから旋律検索ページで調べます。常に笛を持ってるので、これ
を使ってます。周囲に観客がいないことを確認し(いれば移動する)、そっと小さく
吹いて音程を見るのです。そんなことしなくても音程がわかるようになれればいいん
ですけどね。まだちょっと無理。

 映画館で、BGMでないピ〜ヒョロって音が聞こえてても、気にしないでね(ほん
とは聞こえないですけどね)。


3月7日 高槻現代劇場で笛の『くるみ割り人形』公演
「船越屋新製品」12.19『コーンヴィークル』
「ボツ画供養塔」12.16『ギョエーッ』
「船越屋画廊」12.4 『蜘蛛の光』
「御漫画」12.1「事業仕分け?」
「出版案内」11.12 CINEMAテーブル2009発行
「里歩きMap」11.4『高瀬川界隈』

『釣りバカ日誌20ファイナル』‥‥‥‥‥‥‥‥お気楽に笑える
『戦場でワルツを』‥‥‥‥‥‥‥‥‥戦場が遠いことを実感する
『カールじいさんの空飛ぶ家』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥犬になごむ
『ジュリー&ジュリア』‥‥‥‥‥‥‥‥まあまあ面白かったけど
『パブリック・エネミーズ』‥‥‥ラブストーリーだったのですね
『コネクテッド』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥香港映画人のパワーは健在
『ブラック会社に勤めてるんだが〜』‥‥‥‥‥‥‥観る価値あり
『こまねこのクリスマス』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥意外に凡庸
『犬と猫と人間と』‥‥‥‥‥‥‥気持ちがシンクロしてしまった
『イングロリアス・バスターズ』‥‥‥‥‥反則技なれど、大絶賛
『ホースメン』‥‥‥‥‥‥‥意外や本格的なサスペンスで大満足
『スペル』‥‥‥‥‥‥本格派ホラー&B級テイスト満載で大満足
このあとは『ラブリーボーン』に期待
 

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Contents
 ・『イングロリアス・バスターズ』
 ・800本の中から選ぶ
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◎ 公開中の新作から……… 『イングロリアス・バスターズ』 2009年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:クエンティン・タランティーノ
 出演者:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、ティル・
シュヴァイガー、イーライ・ロス、ダイアン・クルーガー、ダニエル・ブリュール、
マイク・マイヤーズ
 配給:東宝東和

 『母なる証明』『スペル』『ホースメン』『下郎の首』(1955年、伊藤大輔)『イ
ングロリアス・バスターズ』と、5本続けて熾烈で過酷で辛辣で残忍な映画を観てし
まった。どれもとびきり面白い。ポン・ジュノ、サム・ライミ、タランティーノの復
活はまことに嬉しいかぎり。

 どの映画もサスペンス色が強く、ネタバレすることは書きたくない。が、『イング
ロリアス』に関してはたいていの紹介がネタを割ってるように思う。幸いにも僕はそ
れを知らないで観ることができた。今後観る人はそういうわけにいかないだろう。で
も、その部分にはふれないでおく。知らなかったからほんとにびっくりしたんだけど
ね(呆れ返ったというべきか)。


 予告篇見たらどんな映画か、アウトラインはわかると思うから、設定やストーリー
は省略する。この映画はバスターズたちの虐殺行為が一つの柱として描かれるが、も
う一つの柱はユダヤ・ハンターに家族を殺された娘(メラニー・ロラン)の復讐の物
語。その二つがラストに向かって収斂していく。このメラニー・ロランがすばらしい。
主演格として出ているが、これまで日本で公開されたのは群像劇の一人だった『PA
RIS』ぐらいではないかと思う。

 もう一人の主演者はユダヤ・ハンターを演じたドイツ軍将校役のクリストフ・ヴァ
ルツ。この人もまた、ほとんどがテレビ出演のみで、映画の大役は初めてだと思う。
忘れることのできない強烈な悪役として立ち現われる。二人の新顔の印象が強すぎて、
ブラッド・ピットがかすんでしまった。

 バスターズたちの悪辣な行為に関しては良識派から不興の声があがりそうだ。が、
描写があまりにも非現実的だ。これらはユダヤ人のナチに対するうっぷん晴らしをそ
のまま映像にしてるファンタジーなんじゃないか。映画自体がファンタジーだったと
とることもできる。強引な見方かもしれないが。


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◎ こういうの、観てもいいのかな、という映画
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『よなよなペンギン』
 12月23日全国公開 2009年度作品  監督:りんたろう
   声優:森迫永依、田中麗奈、太田光、田中裕二
   配給:松竹

 『ホッタラケの島』(配給:東宝)や『サマーウォーズ』(配給:ワーナー)同様、
オリジナル脚本のアニメーションです。オリジナルのアニメはヒットしにくいのです
が、最近はメジャーの映画会社が意欲的な新作を立て続けに発表してくれています。

 たぶんこれは期待に応えてくれると思っているんですが。



『こまねこのクリスマス 迷子になったプレゼント』
 11月21日京都公開 2009年度作品  監督:合田経郎
   声優:(不明)
   配給:ドワーフ

 こちらもオリジナルアニメ。マイナー配給のコマ撮りアニメです。2006年に公
開された『こま撮りえいが こまねこ』の続編ともいうべきものです。



 『HACHI 約束の犬』『ボルト』『幼獣マメシバ』『いぬばか』などなど、あ
からさまな犬好き狙いの企画が相次ぎます。『猫ストーカー』などの猫バカ映画も含
めたらかなりの本数になりそう。『犬と猫と人間と』というのも公開されますが、こ
れは捨てられたペットのドキュメンタリ。『いぬばか』よりは興味あるんですが。


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◎ 映画雑話……… 800本の中から選ぶ
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 年間に劇場公開される映画は約800本。ここ数年の数字です。劇場公開以外でど
れほどあるのか把握していません。このうち僕が観てるのは120本ぐらいでしょう
か。時間とお金とエネルギーに限度がありますから、やたら観まくるわけにいきませ
ん。

 厳選するわけですが、幸いたいていの映画は第一関門で落選していきます。『20
12』などはその典型。災害を見せ物アトラクションにする下劣さは醜悪きわまりな
い。監督が『インデペンデンス・デイ』などのローランド・エメリッヒなので、コケ
おどしも見てとれます。

 映画を選ぶ材料は多々ありますが、主に予告篇、チラシ、雑誌や新聞・メルマガの
紹介、HPの各種情報。口コミ情報も大事です。

 いくら評判がよくても、僕自身がそそられなければ観ません。観たいと思わないの
に観て、失敗だったら目も当てられませんから。観たい映画がなければ映画館へ行き
ません。禁断症状もないし。ただちょっと寂しい思いをするだけです。

 ほとんど観ないタイプに、宣伝ヴィジュアルで俳優を並べてるだけのものがありま
す。『ゼロの焦点』が一例。主演三人の女優を並べただけ。ああいうのって、ぜんぜ
ん面白くなさそうに見えてしまうんですが、どうなんでしょう、ほかの方は。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 誰も観なかった話題作
───────────────────────────────────────

 CINEMAテーブルは完成し、発送作業も完了しています。

 話題作・注目作を誰も観てなかった、なんてのはさすがにほとんどない。それでも
一部、評がゼロというのあった。『いけちゃんとぼく』や『バーン・アフター・リー
ディング』がないのは残念だった。ともに迷いつつパスした映画でした。

 『サンシャイン・クリーニング』や『縞模様のパジャマの少年』も、誰か観てるは
ずと思ったが。『グッド・バッド・ウィアード』『ナイトミュージアム2』『7つの
贈り物』『マンマ・ミーア!』『ワイルド・スピードMAX』『ファイナル・デッド
サーキット3D』もゼロでした。

 注目作品を僕一人だけというのもけっこうありました。『フィッシュストーリー』
『永遠のこどもたち』『ブラインドネス』『鴨川ホルモー』『モンスターVSエイリ
アン』『ホッタラケの島』『ラブファイト』あたりは誰か、観てほしかったなあ。


「出版案内」11.12 CINEMAテーブル2009発行
「里歩きMap」11.4『高瀬川界隈』
「じべたでひろたもん」10.30『ニッパー』
「船越屋画廊」10.29『蚕食』
「長岡京市立図書館の棚」10.19 ロイド・アリグザンダー『ウェストマーク戦記』
「極楽貧乏」10.1「となりのトロール」
「新編図解辞典・大誤解」9.21 新データ追加
「船越屋新製品」9.17『泡式洗たく機』
「船越屋画廊」9.13 『秋色』
「御漫画」8.31「衆議院で暴風特急」
「midi音源」8.28『庭の千草』

『イングロリアス・バスターズ』‥‥‥‥‥反則技なれど、大絶賛
『ホースメン』‥‥‥‥‥‥‥意外や本格的なサスペンスで大満足
『スペル』‥‥‥‥‥‥本格派ホラー&B級テイスト満載で大満足
『母なる証明』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥解けない謎が残った
『風が強く吹いている』‥‥‥スタッフの本気度が感じられる佳作
『狼の死刑宣告』‥‥‥‥‥‥もうちょいケレン味がほしいような
『エスター』‥‥‥‥‥‥余韻を楽しむどころではないおそろしさ
『ヴィヨンの妻』‥‥‥‥‥‥‥‥これが外れるとは思わなかった
『のんちゃんのり弁』‥‥コメディエンヌ小西真奈美の起用は成功
『空気人形』‥‥‥‥‥‥‥‥‥ペ・ドゥナははまり役なんだけど
『ドゥームズデイ』‥‥‥‥大満足のハイテンションのアクション
このあとは『よなよなペンギン』に期待
 

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Contents
 ・『のんちゃんのり弁』
 ・映画を観る基準
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◎ 公開中の新作から……… 『のんちゃんのり弁』  2009年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:緒形 明   原作:入江喜和(コミックス)
 出演者:小西真奈美/岡田義徳/村上淳/岸部一徳/佐々木りお/山口紗弥加/倍
賞美津子/絵沢萠子/徳井優/北見敏之/上田耕一/堀部圭亮/鈴木卓爾/田中要次
/諏訪太朗
 配給:ムービーアイ、キノ・フィルム

 暴力的なほど元気いっぱいで楽しい映画です。小西真奈美がはまり役を気合い入れ
てやってるのが見えるので、推薦したくなる。小西真奈美のキャラを見るだけでも価
値がある。

 ぐうたらなダメ亭主(岡田義徳)を見捨て、娘ののんちゃん(佐々木りお)を連れ
て実家に帰る31歳の小巻(小西真奈美)。そこから小巻の自分探しが始まる。発奮
し、弁当屋を開業するまでの悪戦苦闘がコミカルに描かれる。


 この映画の魅力は、コメディでありながらメインの登場人物がみな、よく描き込ま
れていることにある。それぞれが類型的人物像にはまりこまない。ストーリーともど
も、月並みを排したところに魅力があるんです。

 小西真奈美には以前からコメディエンヌの可能性を見てたので、『UDON』のと
きはがっかりしました。コメディの才能がないのかなとさえ思った。今回の爆発で、
やればできるじゃん、と安心しました。

 こういうキャラは熱狂的な小西真奈美ファンには嫌がられるのかもしれません。し
かしもう三十代。いつまでもお姫さま的ヒロインをやってられません。


 脇の役者もベテラン・若手とも、達者な人が多い。元夫役の岡田義徳は注目に値す
る。今までは記憶にも留まらない俳優だったのに、ユニークなダメ男をリアルに演じ
ていて、強烈に残る。

 ベテランの上田耕一や岸部一徳らは、そこにいるだけでスクリーンを豊かにしてく
れる気がする。岸部一徳演じる飲み屋のおやじは、世間知らずで非常識な小巻を熾烈
な言葉で叱り飛ばす。このシーンはずしんと響くし、爽快感すらある。人には厳しい
意見を言ってくれる他人が必要ですよ。そう思いませんか。


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◎ そのほかにも新作……… ほかにも紹介したい映画が・・
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 紹介しようと思いつつ、迷ってやめにした映画は多数。その中で『BALLAD 
名もなき恋のうた』が最も魅力ありました。作りがていねいなので、その点ではリメ
イク元の『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』を軽く超えていま
す。その反面、山崎貴監督(『ALWAYS 三丁目の夕日』)はここぞというシー
ンを長々見せたがる人なので、クライマックスでテンポがゆるゆる。キャスティング
も素晴らしくて魅力たっぷりだっただけに、惜しかった。それでも今年の日本映画の
中で上位に食い込む秀作になってると思います。

 ほかに『96時間』も僕的には好みなんだけど、良識ある方々のひんしゅくを買い
そうなのでやめました。誘拐された娘を探す父親のハードなアクションものだけど、
これまでのヒーローが手を出さなかった掟破りをいくつもやる。まず、拷問。電極を
捕虜の太ももに突き刺して電流を流す。手掛かりを得たら、電気流しっぱなしにして
救出に向かう。また、丸腰で命乞いしてるやつを撃ち殺す。情報を手に入れるために
誘拐組織と無関係な女性を撃つ(殺さない)。タテマエを排してのやりたい放題を評
価する、といったらやっぱりひんしゅくものでしょう。

 『ノウイング』という破滅テーマSFも迷ってやめにしました。ストーリー構成に
問題があるんですが、クライマックスが魅力あって。クライマックスについて書くと
完全にネタバレになってしまいます。そのこともあって書けない。

 『ドゥームズデイ』という、ホラーっぽいSFアクションも面白いのですが、この
へんは個人の趣味の範囲。下手に推薦しないのが無難です。


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◎ こいつはおっそろしいかも、という映画
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『狼の死刑宣告』
 10月23日京都公開 2007年度作品  監督:ジェームズ・ウォン
   原作:ブライアン・ガーフィールド
   出演:ケヴィン・ベーコン、ギャレッド・ヘドランド、ケリー・プレストン、
      アイシャ・タイラー、ジョン・グッドマン
   配給:ハピネット

 チャールズ・ブロンソンの『狼よさらば』の世界です。いまどきこんなものを、と
思ったが、家族を殺害した犯人への復讐というのはいつでも映画の定番。監督は『S
AW』シリーズのジェームズ・ウォンです。この秋注目の3本のうちの一本。


『エスター』
 10月10日全国公開 2009年度作品  監督:ハウメ・コジェ=セラ
   出演:ヴェラ・ファーミガ、ピーター・サースガード、イザベル・ファーマン
   配給:ワーナー、ダーク・キャッスル・エンタテインメント

 ダーク・キャッスルはホラー色の強い映画を発表し続けています。これはスリラー
です。養子に迎えた少女が不気味。後味の悪さを楽しみたい人向け?


『スペル』
 11月6日全国公開 2009年度作品  監督:サム・ライミ
   出演:アリソン・ローマン、ジャスティン・ロング、アドリアナ・バラッザ
   配給:ギャガ

 これはホラー。お薦めしていいのやら、なんともわかりません。監督がやりたい放
題やってる気がします。


 近年、リメイク映画ばやりですが、工藤栄一監督の1963年度作品、『十三人の
刺客』のリメイクがあります(公開は来年)。これは元がいいので大いに期待したい。
期待してください。


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◎ 映画雑話……… 映画を観る基準
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 9月20日のCINEMAテーブル懇親パーティで、どういう基準で映画を選んで
るかという話題が出た。それぞれに意見はあったが、この話題はもっと意見を聞きた
かった。

 僕は面白けりゃなんでもOKの人間で、社会的な意味合いでの価値とかはどうだっ
ていいんです。観なきゃいけない映画もありません。俳優も監督もジャンルも国籍も
関係なしです。

 映画を選び取る方程式についてはいろいろ思うことがあるんだけど、いちばん重要
なことは、その映画をどうしても観たいかどうかということ。観逃したら後悔しない
か。逃しても後悔しないと判断できたなら、行かなくていいんです。

 あとは直感。自分の直感は信じることにしています。直感は使えば使うほど磨かれ
ると思うから、目一杯使ってます。


 面白い映画はたくさんある。観逃して、ほかの人が絶賛してたら悔しいです。そう
思っていっぱい観てしまうと観すぎになって後悔する。だから善し悪しや自分との相
性を、観る直前ぎりぎりまで探ります。

 観る直前にやめた映画も多かった。そういった映画はなぜかたいてい、あとになっ
てから悪評判をさんざん耳にする(『キラー・ヴァージンロード』『山形スクリーム』
など)。なんだかもうけたみたいな気がしますね。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 今月の5日、7年ぶりにパソコンを買ったのですが、のんびりやっていて、まだす
べての設定が完了していません。7年前に買ったのがだめになったわけではなく、ネ
ットアクセスが厳しくなってきたのでやむをえず、です。

 買ったMacBook Proは中古のノートパソコン。旧デスクトップパソコンiMacよ
り軽く一桁は性能アップです。それでいて、iMacの半値以下の10万でした。そ
れでもウィンドウズより高いかも。

 パソコン世界での知識の狭さを痛感します。これって何?それって何?という状態。
これを機会にMacユーザー向けのビギナー本を買って勉強し直しです。


「極楽貧乏」10.1「となりのトロール」
「新編図解辞典・大誤解」9.21 新データ追加
「船越屋新製品」9.17『泡式洗たく機』
「船越屋画廊」9.13 『秋色』
「御漫画」8.31「衆議院で暴風特急」
「midi音源」8.28『庭の千草』

『のんちゃんのり弁』‥‥コメディエンヌ小西真奈美の起用は成功
『空気人形』‥‥‥‥‥‥‥‥‥ペ・ドゥナははまり役なんだけど
『ドゥームズデイ』‥‥‥‥大満足のハイテンションのアクション
『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』‥‥‥‥‥‥凡作
『私は猫ストーカー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あまりにも怪しすぎる
『ミーシャ ホロコーストと白い狼』‥‥ありえないが、好きな話
『サブウェイ123激突』‥‥‥‥‥‥前の映画化を超えなかった
『BALLAD 名もなき恋のうた』武井君のキャラにはまりこみ
『ホッタラケの島』‥‥‥‥画期的な映像世界を見せるCGアニメ
『南極料理人』‥‥‥‥‥‥‥‥‥山なし落ちなし意味なしでした
『女の子ものがたり』‥‥‥‥‥‥大後寿々花と波瑠に泣けました
『リリィ、はちみつ色の秘密』D・ファニングが順調に成長してる
『96時間』‥‥‥‥‥‥‥‥狂気の救出アクションに目は釘付け
このあとは『正義のゆくえ I.C.E特別捜査官』に期待
 

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Contents
 ・『女の子ものがたり』
 ・『ホッタラケの島 遥と魔法の鏡』
 ・ムービーアイ倒産
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◎ 公開中の新作から………『女の子ものがたり』   貧乏は世襲制か
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 監督:森岡利行  原作:西原理恵子  2009年度作品
 出演者:深津絵里、大後寿々花、森迫永依、板尾創路、奥貫薫、福士誠治、風吹ジ
     ュン、波瑠 ほか
 制作:STUDIO SWAN 配給:エイベックス、IMJエンタテインメント

 貧乏な家の子供たち。貧乏人の子は普通の家の子とはまじわらない。大人になり、
やはり貧乏。どん底の生活環境から抜け出せない。

 はなから諦めている。哀しい世界だが、不幸だとか、悲しいとかいう気持ちを持た
ないようにしている。そんな中、漫画の才能のある高原菜都美だけ、希望(とちょっ
との羨望)のまなざしを向けられている。


 漫画家になった高原菜都美はモチベーションが低下してスランプに陥っている。若
い編集者との遠慮もへったくれもない応酬を契機に、子供時代の友人たちのことを思
い起こす。仕事をほうりだし、郷里の愛媛県大洲町へ飛んで帰ってしまう。

 自分の原点となるものはここにあったのではないかと気づく。友人には会えなかっ
たけれど、自分の描くべきもの、描かなければいけなかったものはここにあると彼女
は確信した。


 予告篇ではそそられるものがなくて、観るかどうか迷ってました。親友との訣別シ
ーンを新聞の紹介で読んで、突如観る気になった。このシーンが白眉です。大後寿々
花(菜都美の高校時代)と波瑠のぶつかりあいが熾烈で、心ゆさぶられました。二人
とも素晴らしい女優だと思います。

 この映画、創作者でなくても、貧乏人でなくても、どこか波長の合う部分があると
思います。過去に忘れ物をしてきた人は、何かを思い出すんじゃないかな。


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◎ 公開中の新作から 2……『ホッタラケの島 遥と魔法の鏡』 圧倒的な新世界
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 監督:佐藤信介  2009年度作品
 声優:綾瀬はるか、沢城みゆき、谷村美月、戸田菜穂、大森南朋、家弓家正、松元
    環季 ほか
 制作:Production I.G  配給:東宝

 うっかり見逃すところでした。『サマーウォーズ』の細田守など、日本のアニメー
ションは新世代の台頭が著しい。

 全面CGによるオリジナルのアニメーションです。ホッタラケ世界の映像イメージ
の豊饒さに圧倒される思いです。どれほどのエネルギーと人員を投入したのでしょう。
類例のない新しい世界を原作なしで作ろうという、気概を持つ制作者たちの姿勢にエ
ールを送りたい。


 ホッタラケの島というのは、異次元空間にある魔法世界で、人間が忘れ去って置き
去りにしている品物をとってきては、継ぎはぎして都市空間を構築している不思議な
世界です。『サマーウォーズ』の世界とは正反対の、奇妙にレトロな、それでいて見
たことのない都市空間です。この世界のヴィジュアルは絶対見る価値あり。

 高校生の遥(綾瀬はるか)を異世界へといざなうテオ(沢城みゆき)は、ウサギの
ように見えないこともない。『不思議の国のアリス』が発想の原点かな、と思わない
でもない。

 設定を別にすると、ストーリーそのものにはとりたてて新味はありません。そのへ
んで足りてないものを指摘すればいくらでも出てくるでしょう。しかしこれは映像を
見て楽しむ映画なんです。考えすぎないで観ることにしましょう。


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◎ これはちょっと観てみるべし、という映画
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 今年は生誕百年とかで、太宰治の映画がたくさん公開される。挙げたもののほかに
『斜陽』『人間失格』があります。

『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』
 10月10日全国公開 2009年度作品  監督:根岸吉太郎  原作:太宰治
   出演:松たかこ、浅野忠信、広末涼子、妻夫木聡、堤真一 ほか
   配給:東宝
 キャスティングもいいし、よさそうな空気が漂っています。太宰映画の本命という
感じ。


『パンドラの匣』
 10月?日京都公開 2009年度作品  監督:冨永昌敬  原作:太宰治
   出演:染谷翔太、川上未映子、仲里依紗、窪塚洋介、ふかわりょう
   配給:東京テアトル

 『パビリオン山椒魚』観て、この監督の映画は金輪際観ない。と思ってたのですが、
チラシを見て気が変わりました。といって、また騙されるのかな・・。


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◎ 映画雑話………  配給会社ムービーアイが倒産
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 外国映画が全体的に興業不振に陥っています。特にミニシアター系が厳しい。小規
模な配給会社がいくつか倒産しました。ムービーアイが倒産したのは少々ショック。
大好きな『純喫茶磯辺』の会社なんです。これから公開される『のんちゃんのり弁』
もある。『のり弁』はキノ・フィルムに配給権が引き継がれ、無事公開されるので、
ほっとした。

 ムービーアイ配給作品は、観たものだけでも重要なのがかなりあります。『ミリオ
ンダラー・ベイビー』『フィクサー』『落下の王国』『消えた天使』『UNKNOWNア
ンノウン』『エディット・ピアフ 愛の讃歌』『アンダーカヴァー』『シューテム・
アップ』『1408号室』『デイ・オブ・ザ・デッド』『バンク・ジョブ』。外国映
画が中心の会社なので、代表的なものはほとんど外国映画です。このラインナップを
見れば倒産の影響の大きさはわかると思います。

 若い人が外国映画に興味をなくしてるそうです。テレビで見ない外人俳優になじみ
がないんでしょう。みずからアンテナを張って面白いものを発掘しようという気がな
いみたい。受け身になってるんですね。

 そんなのでいいのかな。底辺からすぐれたものを拾い上げていく力が弱まれば、文
化は衰退していくのではなかろうか。ちょっと心配してしまう。


 配給会社名は映画を選ぶうえで重要な指標にもなりますので、今後は記事の中でな
るべく入れるようにします。ムービーアイ以外にも、よりすぐった名画を配給する会
社はたくさんあります。ショウゲートやアスミック、シネカノン、アルバトロス、ビ
ターズ・エンドといったところは名前を覚えておいていいと思います。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 今月の18日(金)と19日(土)、心斎橋の三木楽器の開成館というところで船
場まつりのイヴェントがあります。2時から4時ぐらいまでかな。オカリナとティン
・ホイッスルのコンサートです。

 わざわざ聴きに行くほどのイヴェントではないです。18日のほうに出演するので、
近況のお知らせのつもりです。
 

「御漫画」8.31「衆議院で暴風特急」
「midi音源」8.28『庭の千草』
「長岡京市立図書館の棚」8.11 オーエン・コルファー『アルテミス・ファウル』
「じべたでひろたもん」8.5 『和風キムチ』
「船越屋新製品」7.30『まな板つきタッパ』

『ホッタラケの島』‥‥‥‥画期的な映像世界を見せるCGアニメ
『南極料理人』‥‥‥‥‥‥‥‥‥山なし落ちなし意味なしでした
『女の子ものがたり』‥‥‥‥‥‥大後寿々花と波瑠に泣けました
『リリィ、はちみつ色の秘密』D・ファニングが順調に成長してる
『96時間』‥‥‥‥‥‥‥‥狂気の救出アクションに目は釘付け
『30デイズ・ナイト』‥‥いいセンいってるホラーなんですけど
『3時10分、決断のとき』‥‥‥‥‥‥‥西部劇はいまだ死なず
『ディア・ドクター』‥‥映画はいいが、鶴瓶と香川照之が苦手で
『トランスポーター3』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥楽しんで、すっきり
 

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Contents
 ・『3時10分、決断のとき』
 ・『ノウイング』と『ディア・ドクター』
 ・FMのエアチェック
 ・総選挙
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◎ 公開中の新作から……… 『3時10分、決断のとき』  2007年度作品
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 監督:ジェームズ・マンゴールド
 出演者:クリスチャン・ベイル、ラッセル・クロウ、ピーター・フォンダ、グレッ
チェン・モル

 熾烈な西部劇で、まるでサム・ペキンパーが復活したかのようだ。金に困った農場
主(C・ベイル)が、わずかな報酬のために凶悪な犯罪者(R・クロウ)を護送する
チームに加わる。貧窮にあえぐベイルは初めて見た。

 1957年の『決断の3時10分』をリメイクしている。リメイク映画には二つの
タイプがある。大ヒット作の威を借る狐と、隠れた秀作に光を当てようとするもの。
この映画はもちろん後者。『決断の3時10分』はあまり知られていない。僕も知ら
なかった。

 西部劇ではあるけど、良質なサスペンスアクションといっていい。最近のアクショ
ン映画はCGでコテコテに化粧した薄っぺらい映像で辟易するが、これは本物の映像
を見せてくれる。実写だからという以上に、スクリーンから本物の感触が伝わってく
る。

 3時10分発のユマ行きの列車に犯罪者を乗せれば仕事は終わり。救出に来た数十
人の犯罪者集団に包囲され、主人公はたった一人で仕事を完遂せねばならぬ状況に追
い込まれてしまう。列車が重々しい音を立て、ついに駅に入ってきたときは心臓がは
ね上がりそうだった。犯罪者を引き連れて銃火の中を突破するしか道がない。『ワイ
ルドバンチ』よりも絶望的。


 ストーリーの中にはいくつか疑問を感じるところがある。凶悪な犯罪者を手錠でし
か拘束してないことがその一つ。あまりにも自由にさせすぎる。言いたいほうだい喋
りまくりのうるさいやつは、さるぐつわをかませて足にも枷をつけるぐらいがちょう
どいい。たぶんそれではラッセル・クロウの立場がないということなんでしょうけど。

 ストーリー上のキズはあまり気にならない。キレのいい映像がそれ以上に充実して
いて、見ていることじたいが心地よいせいだろう。

 西部劇というジャンルはまだ死んでないみたいです。評判がいいけど日本では劇場
未公開になった『アパルーサの決闘』もある。レンタルを捜してみようかな。

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◎ 追加の映画 ……… 『ノウイング』と『ディア・ドクター』
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 どちらもネタバレ抜きでは紹介不能な映画なのですが、ネタバレなしで軽く紹介。

『ノウイング』  2009年
 監督:アレックス・プロヤス
 出演:ニコラス・ケイジ、チャンドラー・カンタベリー、ローズ・バーン、リン・
ダグラス・ピアソン

 破滅テーマのSFです。結末を知って、どうしても観たくなった映画でした。

 エンドに近いクライマックスのシーン。ここは1998年のとある映画とよく似て
るのですが、こちらのほうが情感がこもり、そのシーンがこの映画をすぐれたものに
している。「とある映画」のタイトルを書いてしまうとネタバレになりかねません。
女性監督の映画です(と書いたらわかってしまうかな)。


『ディア・ドクター』  2009年
 監督:西川美和
 出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、井川遥、松重豊、香川照之、八千草薫、キム
ラ緑子、滝沢涼子

 失踪した村医者を捜索するシーンから始まる。キネマ旬報のライターが、鶴瓶演じ
る医者の心理がわからないと書いていた。あそこまで描いててわからないものかな。
ストレスや不安、良心の呵責がじわじわと彼を追いつめていく過程が回想形式でみっ
ちり描かれているのです。

 この男は逃げ隠れの人生を送っています。行き詰まるとまた逃げて隠れるのです。
社会からも自分自身からも逃げてます。そのキャラクターがまた、鶴瓶の顔にしっく
りなじんでいるのです。


 ともに主演男優が苦手な顔で、観に行くのが遅くなってしまいました。一般的には
『ディア・ドクター』が絶賛一色、『ノウイング』はクソミソ状態ですが、僕的には
同じぐらい面白かった。

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◎ これは必見だろうな、という映画
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『女の子ものがたり』
 8月29日京都公開 2009年度作品 監督:森岡利行  原作:西原理恵子
   出演:深津絵里、大後寿々花、森迫永依、板尾創路、奥貫薫

 西原理恵子の自伝の映画化。これはなかなか評判がいいです。
 西原の原作は今年ほかに『いけちゃんとぼく』が公開済(観なかったけど)。


『ミーシャ ホロコーストと白い狼』
 9月12日京都公開 2007年度作品 監督:ヴェラ・ベルモン
   出演:マチルド・ゴファール

 個人的にこの秋いちばんの期待作。
 8歳の女の子がナチスの手を逃れ、両親を探して冬の北ヨーロッパを、ベルギー→
ウクライナへと旅する物語。旅の友は一頭の狼。これまた熾烈な物語のようです。


『私は猫ストーカー』
 9月19日京都公開 2009年度作品 監督:鈴木卓爾 原作:浅生ハルミン
   出演:星野真里、江口のりこ

 なんともおバカなタイトルですが、予告篇はそそられるものがあります。ただの猫
バカ映画ではありません。


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◎ 音楽雑話……… FMのエアチェック
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 音楽の新たな情報源がNHK−FMのみに等しいという侘しい状況です。ふんだん
にCDを購入できるのならそうしたいのですが、せいぜい月一枚です。でもその貧し
い音楽情報の中からでさえ、目を瞠るようなものが次々飛び出してくるので嬉しい。

 名前を目にしたことのないミュージシャン。ぜんぜん知らない曲。それらの中から
魅せられてしまう音楽があまりにも多い。気になったミュージシャンはこれまた無料
のユーチューブで捜します。CDを買おうと思っても、ショップには置いてない。ネ
ットで買えばいいんでしょうけど、その場合、なんでも手に入るので際限がなくなっ
てしまうのがおそろしい。


 エアチェックはMDです。2月にミニコンポを買い替えたんですが、予算の関係で
ハードディスクなしのタイプになりました。USB接続があるのでUSBメモリーを
差し込んでみたんだけど、無反応。専用の携帯再生機器(ウォークマン)の接続でし
た。音楽を持ち歩く習慣がないのでウォークマンは買ってません。

 MDに入れた曲は選別し、不要なものを徹底的にカット。お喋りもカット。拍手も
カット。音楽だけ聴きたいので。

 曲ごとにトラック分割し、NHKの番組ページからデータを編集して一覧表を作り、
プリントアウトし、バインダーに整理してます。MDのトラック番号と一覧表のナン
バーを対照させ、曲名を認識しています。

 新たに知ったミュージシャンの中でこれはと思うものをずらずら並べても、たいし
た意味はないでしょう。僕の好みの範囲内だし、ミュージシャンの断片的な情報しか
知らない。

 僕が言いたいのは個別のミュージシャンのことではありません。前日まで知らなか
った素敵な作曲家・演奏家とひんぱんに出会えている。そのことに驚きと喜びを感じ
るのです。これを読んでる読者の方々も名前を知らない人たちばかりでしょう。

 聴き逃すのがもったいない優秀な音楽が世の中に充満している。そのことに感動を
覚える。そしてまた、それらがいかに世間で認知されていないかということを憂える。

 だからといって個別にそれらがいいぞと煽ると、安直な二次情報になってしまう。
もっと少し突っ込んで聴いて、納得できるようになれば情報発信するかもしれません。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 総選挙です。

 民主党の比例代表区の単独候補者が59人と知ったときには脱力しました。ハッタ
リでもいいから100人立てろよな、と思ったものです。100人でも足りない可能
性が(わずかながら)あるというのに。

 比例代表区では、得票に対して候補者が足りなければ他党に議席が譲られます。比
例代表区は供託金が全部戻ってくるはずなので、多く立てたからといって損をするこ
とはない(はずです)。

 公示直後の朝日の世論調査ですが、「総選挙に大いに関心がある」が54%。その
中で比例代表区に自民党を選んだのが24%、民主党が57%。差は33%で、全有
権者の差より大きくなっている。郵政選挙で自民党がボロ勝ちした2005年では両
者は逆転し、自民47%と民主33%。このときの14%差が33%差へと、向きが
逆になって傾きは大きくなった。雪崩の起こる局面です。

 今度の選挙は民主党への傾斜が急角度です。小選挙区中心の選挙は、ちょっとの傾
きが大きなずれを起こす。2005年はわずか14%の差で、当選者数が自民296、
民主113でした。今回、民主党は330人全員が当選するんじゃないですか。

 あまりに勝ちすぎると増長し、(民主党の)組織もタガがゆるむでしょう。これぐ
らいがよろしいということでしょうか。


「長岡京市立図書館の棚」8.11 オーエン・コルファー『アルテミス・ファウル』
「じべたでひろたもん」8.5 『和風キムチ』
「船越屋新製品」7.30『まな板つきタッパ』

『ディア・ドクター』‥‥映画はいいが、鶴瓶と香川照之が苦手で
『トランスポーター3』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥楽しんで、すっきり
『セントアンナの奇跡』‥紋切り型の戦闘シーンなどは気になるが
『ノウイング』‥A・プロヤスらしいシニカルな視点に見応えあり
『屋根裏のポムネンカ』‥‥‥人形アニメの古いセンスがしんどい
『ベルサイユの子』‥‥‥‥‥‥‥‥‥これぞ映画というべき秀作
『サマーウォーズ』‥‥‥‥‥秀作だが、納得いかない部分がある
『マン・オン・ワイヤー』‥‥‥‥‥空中での解放感がすばらしい
このあとは『ミーシャ ホロコーストと白い狼』に期待
 

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 楽 ┃ ┃┃ ┃  ┃ ┏━━━━┛2009.7.29
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Contents
 ・『ROOKIES 卒業』
 ・劇場予告篇の採点
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◎ 公開中の新作から……… 『ROOKIES 卒業』  2009年度作品
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 監督:平川雄一朗
 出演者:市原隼人、小出恵介、佐藤隆太、石田卓也、綾瀬はるか、吹石一恵 ほか

 映画館は夏枯れでぱっとせず。紹介したいと熱烈に思うものはありません。このま
までいくと今月のメルマガ発行はゼロになりそうなので、禁じ手をやります。「こん
なの観ちゃだめ」っていう映画の紹介。


 『ROOKIES 卒業』は高校野球部を舞台にした青春映画です。野球ですから
当然、試合のシーンは重要。盛り上がるかどうかは試合演出にかかるといってもいい。
俳優のプレーの巧拙はともかく、なんの策もなく、ただ投げて守って打って走ってる
だけなのには脱力しました。根性一本やりで、作戦がない。ドラマにならんよ、これ
じゃ。

 試合以外のシーンでも知恵がない。怒ったり怒鳴ったり感動したりしんみりしたり
を(かなり低次元で)数珠つなぎにしてるだけ。映画じゃないよ、こんなの。

 テレビドラマの映画版スペシャルだから、テレビドラマの視聴者目線で作ってると
いうのはわかる。くどいほどの説明をセリフと映像で語らせる。とことん受け身の視
聴者を想定し、徹頭徹尾わかりやすく見せてさしあげる。視聴者に「感動したかも」
と思わせる程度の感動シーンをきっちり入れる。

 その感動シーンの典型が地区予選決勝の最終回にある。映画史に残るべき珍シーン。
あと一球、ストライクをとれば勝ち、というところでフィールドにいるナイン全員が
泣きだし、感動シーンを盛り上げている。

 何分続いたかはわからないが、試合を止めてるんですよ。審判も相手チームもスタ
ンドの観客も、なんにも言わない。というより、その時間帯だけ、映画の外に放り出
されている。こんな見苦しい感動シーンは今まで見たことない。手元に投げるものが
あったらスクリーンめがけて投げつけてたと思う。

 クライマックス?の試合が終了し、やれやれようやく終わりかと安心しかけたが、
卒業式のあと、監督(佐藤隆太)との長いお別れのシーンがあった。10人いる三年
生一人ひとりが監督に泣きながら別れの言葉を熱く語る。一人が長いから思いきりそ
のシーンが長い。思わず座席周辺で投げるものを捜し回った。


 役者は(佐藤隆太を除いて)悪くない。むしろいいキャスティングだと思う。責任
はすべて演出の側にある。佐藤隆太の場合、もともとあまり器用な俳優じゃないので、
三流の演出家に当たるともろに不器用さが出てしまう。

 この手の映画が劇場を占拠するようになると困る。しかし今年度最高の興行収入を
あげている。似たり寄ったりの『ごくせん』『アマルフィ』(どちらも観ないが、予
告篇で見当がつく)も大ヒットしている。偶然なのかどうか、この3本、すべて配給
は東宝。

 あまりにも低レヴェルな日本映画を率先して作ろうとする制作側の状況をなんとか
変えられないものかと、映画好きな僕は思うんですけどね。


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◎ 劇場予告篇の採点
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 夏の映画館は夏枯れ。特にシネコンでは大味な娯楽映画やファミリー映画、テレビ
アニメの劇場版が幅を利かせ、面白くありません。

 今回は劇場予告篇を採点してみました。本編とは無関係に、純粋に予告篇のみの評
価を5点満点で。一部はユーチューブ映像のみでチェック。

[外国映画]
 『ハリー・ポッター』 1点 まだ続いてるのか、という感じ。
 『モンスターVSエイリアン』 5点 楽しめそうで、ワクワク感があり。
 『そんな彼なら捨てちゃえば?』 3点 俳優を数だけ集めたという感じ。
 『ナイトミュージアム2』 2点 キャラの数(だけ?)で勝負している。
 『トランスポーター3』 4点 ベッソン(製作)らしいハイテンション。
 『ボルト』 3点 CGのキャラは可愛らしい。
 『サンシャイン・クリーニング』 3点 企画の目のつけどころがいい。
 『ウルヴァリン』 3点 若き日のウルヴァリンがすでに老けている。
 『縞模様のパジャマの少年』 3点 ナチものですが、ありきたりかも。
 『ミーシャ/ホロコーストと白い狼』 5点 変則的なナチもので、興味津々。
 『扉をたたく人』 4点 期待をかきたてるが。
 『サガン 悲しみよこんにちは』 2点 シルヴィー・テスチューに精彩がない。
 『屋根裏のポムネンカ』 3点 むちゃくちゃアナログな人形アニメ!
 『ダニエル 悪魔の赤ちゃん』 2点 すごいB級。
 『ドゥームスデイ』 2点 ウイルスで人類の危機、使い古されたテーマ。
 『ドランのキャデラック』 5点 異様なほどの緊迫感がある。
 『3時10分、決断のとき』 4点 リメイクだが、切れのいいアクション。

[日本映画]
 『ぼくとママの黄色い自転車』 4点 キャストに魅かれる。
 『私は猫ストーカー』 4点 マイナーだが、面白そう。
 『山形スクリーム』 1点 期待してただけに、この安っぽい映像はひどい。
 『サマーウォーズ』 3点 内容ぜんぜんわからない。
 『カムイ外伝』 2点 ずっと同じ予告ばかり見せつけられて、飽きた。
 『アマルフィ 女神の報酬』 1点 織田裕二がどうしようもない。
 『ちゃんと伝える』 3点 園子温らしくない家族愛の物語で、戸惑う。
 『白夜』 3点 予告篇は悪くないんだけど、監督が小林政広。
 『キラー・ヴァージンロード』 3点 上野樹里は「のだめ」以降、雑になった。
 『ハイキック・ガール!』 3点 超B級で、微妙。
 『空気人形』 3点 ペ・ドゥナははまっていると思うのだが。
 『女の子ものがたり』 3点 深津絵里に乗れるかどうか。


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◎ こういうの、観てもいいのかな、という映画
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『キラー・ヴァージンロード』
 9月12日全国公開 2009年度作品 監督:岸谷五朗
   出演:上野樹里、木村佳乃

 死体を持ってウロウロという映画は以前もありました(『ハリーの妻難』)。出演
者の顔ぶれだけ見れば期待できる。だが、監督は? 


『ドランのキャデラック』
 公開未定 2009年度作品 監督:ジェフ・ビーズリー
   原作:スティーヴン・キング
   出演:クリスチャン・スレイター、エマニュエル ・ヴォージェ、ウェス・ベン
      トリー

 復讐鬼の物語。予告篇だけで期待してしまったんだけど、いつどこで公開されるや
ら、さっぱりわかりません。


『3時10分、決断のとき』
 8月22日全国公開 2007年度作品 監督:ジェームズ・マンゴールド
   出演:ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイル、ピーター・フォンダ

 珍しく西部劇。リメイクです。現代風にアクションの切れがよくなってる点に期待
してる。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 モニターサイトをたくさん登録してますが、先月は金融機関の利用に関する座談会
に参加してきました。映画関係の座談会があれば喋りまくって盛り上がってしまいそ
うです。ないかな。

 ホラー映画についてのアンケート調査はあったんですけどね。最新の情報を得られ
たりして、それはそれで楽しかったけど。


「midi音源」7.28『サリー・ガーデン』
「船越屋画廊」7.3 『禁止事項』
「midi音源」6.19『美しき天然』
「じべたでひろたもん」6.19「シロテンハナムグリ」
「長岡京市立図書館の棚」6.12 オーエン・コルファー『アルテミス・ファウル』
「風光明媚」6.3「メダカ鉢」
「船越屋画廊」6.1 『小雨の朝、光るしずく』
「じふアニメ」5.28「ねずみ」
「ボツ画供養塔」5.23「光輪」
「御漫画」5.19「防御は最大の攻撃?」

『蟹工船』‥‥‥シリアスとコミカルのバランスがなんともいえず
『モンスターVSエイリアン』‥‥‥‥‥ゆるいギャグに心なごむ
『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』‥‥‥‥‥ヒロインに惚れた
『守護天使』‥‥‥‥‥‥‥‥笑いはゼロのサスペンス映画でした
『それでも恋するバルセロナ』‥‥‥レベッカ・ホールがブレーク
『ターミネーター4』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥映像百点、話五十点
『クローンは故郷をめざす』‥‥‥‥‥独自の世界観を持った秀作
『ROOKIES 卒業』‥タダで観ても時間がもったいない映画
『劔岳 点の記』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥可もなく不可もなし
『ウルトラミラクルラブストーリー』‥‥‥‥シネコン公開は蛮勇
『レスラー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥今年のベストの一本、没入した
『真夏のオリオン』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥潜水艦戦記映画の秀作
『ザ・スピリット』‥‥‥‥‥‥‥エヴァ・メンデスの魅力、のみ
『その木戸を通ってFUSA』‥‥‥‥‥‥なかなか味のある結末
このあとは『BALLAD 名もなき恋のうた』に期待
 

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 極 ┃ ┃┃ ┃  ┃ ┃┃ ┃
 楽 ┃ ┃┃ ┃  ┃ ┃┃ ┃ 2009.6.21
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No.   ┃ ┃     ┃ ┃ 不定期刊
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Contents
 ・『レスラー』
 ・『天使の眼、野獣の街』
 ・紹介文に求められるもの
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◎ 公開中の新作から……… 『レスラー』  2008年度作品
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 監督:ダーレン・アロノフスキー
 出演者:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド

 映画を観てるという意識が飛び去り、はまりこんで没頭し、何も考えずに入り込ん
でいました。できたら何も書きたくないという気分。人に薦めたいとも思わなかった。

 観たあと、その足で映画の情報交換会に参加。僕を含めて3人が観ていて、3人と
も大絶賛。僕の個人的な傑作ではなかったと知りました。

 かつて一世を風靡したレスラーが五十代になってもまだプロレスをやっている。過
去の栄光のお情けに頼り、どさまわりの興業で日銭を稼ぐ日々。肉体的な衰えはもは
や隠せない。

 ミッキー・ロークです。かつて二枚目だった元スターも最近は仕事に恵まれていま
せん。うらぶれきった役柄がこれほどぴったりくる役者はいない。脚本はロークを想
定して書いたそうだ。過去にもうらぶれボクサーを演じた『ホームボーイ』や、醜い
男を演じた『ジョニー・ハンサム』や『シン・シティ』。うらぶれキャラが多かった
ことを思い出した。


 観てのお楽しみであるストーリーについては、極力触れないのが主義なので書きま
せん。プロレスが八百長であるということは当り前の前提として描かれます。リアリ
ティを重視したこのドラマの中ではそれは必然です。今までプロレスを描いた劇映画
はそう多くないが、八百長を当然の前提としたドラマは過去になかったように思う。

 この映画のミッキー・ロークとマリサ・トメイ(うらぶれたストリッパーを演じて
いる)に対しては、表現すべき言葉がどうしても出ない。二人が米アカデミーの主演
男優と助演女優にノミネートされたのは当然のこと。ミッキー・ロークの場合は、こ
れで受賞しないのが米アカのハードルだというなら、歴代の受賞者はみな、賞の資格
がない。今回受賞のショーン・ペンの『ミルク』は観てないが、彼の力量と限界を知
ってるので断言できる。彼にはミッキー・ロークを超えられない。『レスラー』を観
れば、言わんとしていることはわかってもらえると思う。


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◎ 追加の一本 ……… 『天使の眼、野獣の街』  2007年度作品
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 監督:ヤウ・ナイホイ  香港映画
 出演者:ケイト・ツィ、サンモン・ヤム、レオン・カーファイ

 京都ではミニシアターで6日間だけという短期公開だったので紹介を省きましたが、
記憶してもらっていい秀作だと思います。ハイなテンションの映像が敷きつめられた
90分。観ごたえあり。

 銀行強盗団を追う警察の捜査ドラマです。スーパーポリスが登場するケレン味たっ
ぷりなアクションものとは違います。描かれるのは尾行と張り込みのチーム。地道な
捜査を描く。こういうみっちりタイプのドラマに僕の嗜好がフィットします。チーム
のメンバーは銃を所持しない。銃撃戦や逮捕、突入時には別チームと交替する。

 チームのドラマですが、主役は新人女性警官のコードネーム「子豚ちゃん」。演じ
るのはこれがデビュー作のケイト・ツィ。この女優の風貌が魅力的で引きつけられる。
派手な演技を見せないが、秘めたる闘志を感じさせる。

 凶悪な犯罪者として危険な気配を漂わせるレオン・カーファイ、捜査チームのリー
ダーとしてベテランの味を見せるサンモン・ヤム、それぞれに素晴らしい。凡庸な邦
題は惜しいし、一時間半ではなく、もっと長くてよかったと思う。期間的な経過が見
えず、小粒な印象になったのが難ではある。

 監督はジョニー・トーのもとで脚本家として修行を積み、これがデビュー作となっ
たヤウ・ナイホイ。前回紹介した韓国映画『チェイサー』も新人監督でした。新人で
はなかったがプラッチャヤー・ピンゲーオ監督の『チョコレート・ファイター』とも
ども、アジアから活きのいい秀作が立て続けに公開されている。『天使の眼、野獣の
街』は今年日本でリメイクが予定されてるそうだが、できたら日本でもオリジナルで
これらに負けない元気いっぱいな映画を作ってほしい。

 でも、日本版で子豚ちゃんを誰が演るのかはすごく気になります。前田愛? 満島
ひかり? 宮崎あおい? 鈴木杏? あれこれと想像してしまう。


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◎ こんなものも、観てみようかな、という映画
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『モンスターVSエイリアン』
 7月11日全国公開 2007年度作品
  監督:ボブ・レターマン、コンラッド・ヴァーノン
  声の出演:リース・ウィザースプーン、セス・ローガン、ヒュー・ローリー、レ
ニー・ゼルウィガー、キーファー・サザーランド

 CGアニメーションによるコメディです。この夏最大の目玉作品。かどうかはわか
りませんが、期待度ではこの夏一番。


『山形スクリーム』
 8月1日全国公開 2009年度作品 監督:竹中直人
   出演:成海璃子、竹中直人

 B級映画に挑戦し続ける成海璃子。殻を破ろうという挑戦なのか、または単にゲテ
モノ好きな人なんでしょうか。


『サスペリア・テルザ 最後の魔女』
 7月9日京都公開 2007年度作品 監督:ダリオ・アルジェント
   出演:アーシア・アルジェント

 アルジェント一家総出のゲテゲテホラー。評判はいまいちですが、観たい。
 関係ないが、アルジェントって伊語で「銀」。かわった苗字だ。


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◎ 映画雑話………   紹介文に求められるもの
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 観ると決めた映画は原則的に紹介文や批評を読まないことにしてます。平気でネタ
バレを書く人もいますし、事前になるべくストーリーの詳細を知らないで観たい。知
らないことが多いほど観てからの楽しみが増えます。

 実質ネタバレ批評は全体の何割ぐらいなのか。多いように感じても1割未満でしょ
う。不届きな連中はネタを割ってることを自覚しません。ヒントを(しつこいめに)
書いて、「わかるわけないね」となめてかかるのです。

 立川志らくが『パッセンジャーズ』について、(タイトルを伏せて)有名な映画と
ラストのネタが同じと書きました。タイトルを書かなくても、その映画についてくど
くど説明してるから、書いてるに等しいことがわからないようです。

 思うんですが、映画の紹介にストーリーを書く必要があるんでしょうか。僕は『グ
ラン・トリノ』と『愛のむきだし』などで、ストーリーも作品設定も一切書かないで
紹介しました。極端だったかもしれませんが、これでもいいんじゃないでしょうか。
ストーリーなんて映画を観ればわかります。わざわざ紙数を割くほどのものとは思え
ません。

 紹介で書くべきことは、その映画の何が魅力的なのかという、見どころをきっちり
伝えること。そしてそれを自分自身がどう評価するかということ。「世間的に評価さ
れてる」だとかいうような他人の評価は関係ありません。人が評価してないことを評
価するから書く意味があるんです。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
───────────────────────────────────────

 先月13日から一日一アイディア(一ネタ)を思いついては記録する、なんてこと
を始め、一か月以上経過しました。どんなジャンルや領域でもアリですが、実現可能
性を無視してひたすら新しい発想を生み出し続ける、ということをやってるんです。
実現・実行を前提としないことで、より自由な発想が生まれやすく、と思って。

 アート制作のプラン、HPの新ネタ、物語の断片や設定、新編大誤解のネタ、家事
・調理関係のアイディア、新技術の可能性、社会システムの新しい体系、エコロジー
・プラン、新たなビジネスモデル、手抜きする方法。なんでもありですが、毎日だか
らそんなにたいしたものは出てきてません。

 頭の体操を毎日やってるようなものです。常時アンテナはオン状態。瓢箪から駒が
飛び出すこともありますから、続けられるかぎり続けていきます。


「midi音源」6.19『美しき天然』
「じべたでひろたもん」6.19「シロテンハナムグリ」
「長岡京市立図書館の棚」6.12 オーエン・コルファー『アルテミス・ファウル』
「風光明媚」6.3「メダカ鉢」
「船越屋画廊」6.1 『小雨の朝、光るしずく』
「じふアニメ」5.28「ねずみ」
「ボツ画供養塔」5.23「光輪」
「御漫画」5.19「防御は最大の攻撃?」
「風光明媚」5.10「嵐の神戸港」
「新編図解辞典・大誤解」5.8 新規ページ

『ウルトラミラクルラブストーリー』‥‥‥‥シネコン公開は蛮勇
『レスラー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥今年のベストの一本、没入した
『真夏のオリオン』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥潜水艦戦記映画の秀作
『ザ・スピリット』‥‥‥‥‥‥‥エヴァ・メンデスの魅力、のみ
『その木戸を通ってFUSA』‥‥‥‥‥‥なかなか味のある結末
『ラスト・ブラッド』‥‥‥‥‥‥‥‥チョン・ジヒョンは大成功
『天使と悪魔』‥サスペンスアクションの秀作として見ごたえあり
『重力ピエロ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥渡部篤郎の嫌悪感演技は賞もの
『エンプレス 運命の戦い』‥‥‥‥‥‥‥力作なのに画質悪すぎ
『天使の眼、野獣の街』‥‥‥‥‥‥‥香港映画最高級の警察映画
『スラムドッグ$ミリオネア』‥‥‥‥‥‥楽しめはしましたけど
『レイン・フォール 雨の牙』‥‥‥‥‥映画から色気を感じない
『チベットの女 イシの生涯』‥‥‥‥チベットの映像美で魅せる
『チェイサー』‥‥‥韓国映画ベストワン級ながらあまりにも凄惨
 

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 極 ┃ ┃┃ ┃  ┃      ┃
 楽 ┃ ┃┃ ┃  ┃ ┏━━┓ ┃2009.5.17
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Contents
 ・『チェイサー』
 ・『チョコレート・ファイター』
 ・「実話」というエサ
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◎ 公開中の新作から……… 『チェイサー』  2008年度作品
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 監督:ナ・ホンジン
 出演者:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ、キム・ユジョン、チョン・
インギ、パク・ヒョジュ、チェ・ジョンウ、ミン・ギョンジン、ク・ボヌン

 今年のベストワン級の映画ですが、紹介を渋ってました。陰惨なのです。勧めてい
いものかどうかしばらく迷ってました。この作品の魅力を自分の中で整理しかねてい
ましたし。

 連続殺人犯を元刑事と警察が追う、たった一日間のドラマです。モデルとなる事件
がありますが、実話とは謳っていません。

 テイストの近いのはパク・チャヌク監督の三部作(『オールド・ポーイ』『親切な
クムジャさん』『復讐者に憐れみを』)です。凄惨な描写はフランス映画『屋敷女』
や米国映画『ホステル』並み。これらの映画と似ていながら違う印象を受ける。それ
はゆるやかに漂うユーモア感覚。そして圧倒的なリアリティ。もう一つ決定的に違う
のは、登場人物に温かい血が通い、感情移入できる点。血が通ってるからこそ、凄惨
さが際立つ。ここがこの作品のキーであり、高い評価の源です。

 元刑事で売春斡旋屋の男、その手下、そして7歳の女の子というアンバランスなト
リオが連続殺人鬼を追う。娼婦の一人が拉致され、行方不明となっている。女の子は
その娘。この三人が絶妙な配役であり、子役のキム・ユジョンの達者な演技力に脱帽
する。この幼き女優は僕が知る韓国女優の中でいちばんの美形ではないかと思ったの
だが。

 質の高いドラマだけど、これは一般受けする映画だろうか。韓国では500万人と
いう記録的な動員をしている。センセーショナルな映画だという点を考慮に入れても
多すぎる。一般の嗜好とマッチするとは思えない。韓国映画をあれこれ反芻しつつ思
うのだけど、韓国人は熾烈さを好む嗜好性があるのではないか。

 ディカプリオがリメイク権をとったそうな。主役の売春斡旋屋をやるつもりなんで
しょう。ハリウッド・メジャーがこの作品の持つ味わいを再現するのは無理。『シャ
ル・ウィ・ダンス?』の二の舞いが落ちです。


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◎ 追加の一本 ……… 『チョコレート・ファイター』  2008年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
 出演者:ジージャー、阿部寛

 公開は今月の23日からですが、なんだかあんまり盛り上がってないんじゃないか
と心配になってきました。圧倒的に面白いんですよ。観たあと、確実に元気になれま
す。

 『チェイサー』とは対極の、リアリティ無視お気楽娯楽映画。ノリノリなカンフー
アクション映画です。推定15歳ぐらいの美少女が暴れまくる。暴れ方が半端じゃな
い。

 クライマックスの建物壁面での大暴れにはほとんど笑ってしまいました。四階建て
の建物の二階から四階まで、上下左右に移動しながら悪党どもを蹴散らしていくので
すから。

 タイ映画の常として、スタントマンを使わず、CGも使わず、生身の体でぶち当た
っていくのですから、撮影中は生傷、打ち身、アザだらけだったでしょう。建物壁面
のシーン以外ではワイヤーも使用しなかったみたいです。ようやるわと感心する。


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◎ これは観てもよさそうかな? という映画
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『BALLAD 名もなき恋のうた』
 9月全国公開 2009年度作品 監督:山崎貴 原作:臼井儀人
   出演:くさなぎ剛、新垣結衣、武井証、吉武怜朗、

 傑作アニメ『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の実写リメイ
クです。
 記者会見写真ではクレヨンしんちゃん着ぐるみが載ってて、これで実写化なのか!
と思わず引いてしまいましたが、さすがにそれはなさそうです。
 しんちゃんを『火垂るの墓』(実写版)の吉武怜朗?と思ったら、間違い。『いま、
会いにゆきます』の武井証でした。
 武井クンはお尻出してペンペンしないそうです。くさなぎクンはまたお尻出すんで
しょうか。


『ライラにお手上げ』
 2007年度作品 監督:ボビー・ファレリー
   出演:ベン・スティラー、ミシェル・モナハン

 『ふたり自身』という昔の映画のリメイクで、日本では劇場未公開映画。DVDが
出たので紹介します。
 エレイン・メイ監督が1972年に発表した風刺コメディは公開当時も今もまった
く注目されず、省みられることがありません。しかしめっぽう面白いのです。そうい
う映画はときたま存在します。
 男が新婚旅行先で理想の女性に出会い、あっさり乗り換えてしまうという話です。
男性の性(さが)を痛烈に風刺し、エンドもキツい皮肉が待ちかまえている。
 リメイクはそのまんまということはないでしょうが、期待をかきたてます。


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◎ 映画雑話……… 「実話」というエサ
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 実話を元にした『チェイサー』を紹介したので、ついでに実話映画化の宣伝の問題
について。

 実話の映画化というものに付加価値を見る人は多い。映画屋はそれをあてにしてい
る。ある程度の興業を見込めるし、観客の満足感も得やすい。その計算は当たってい
るし有効だが、僕は違和感を覚える。

 実話を元にしてるといっても、映画のストーリーとエピソードの大半は実際あった
ことからかけ離れている。創作していながら売るときは実話だと称している。厳密に
は「実話から」などとごまかしてるわけだけれど。

 『愛のむきだし』も実話を売りにしている。観ればわかるが、全編マンガチックな
現実離れした展開がえんえんと続く。これらのいったいどのへんが実話というのか。
この映画ほど「実話」が嘘くさい実話映画はない。虚偽広告にあたらないか。ストー
リーを書き出せば一目瞭然ですけど、あまりに話のてんこ盛りなので、どう説明して
も長くなるから書かないことにします。


 なぜ安易に実話の力に頼ろうとするのか。創作としての映画を自信をもって送りだ
してほしいと思う。

 観るほうも、実話というパッケージに目を曇らせるのはやめにしませんか。包装紙
に惑わされず、中身で味わってほしい。実話であろうがなかろうが、映画の面白さと
はなんの関係もありません。

 伝記映画を別にして、実話を謳っている今年の映画はほかに、『おっぱいバレー』
『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』『ニセ札』『チェンジリング』『ディファ
イアンス』『バンク・ジョブ』『ストレンジャーズ 戦慄の訪問者』があります。実
話の力に頼ろうとした失敗作もあるようですが、僕はそれらを観ていません。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
───────────────────────────────────────

 ティン・ホイッスルという縦笛の講習会に通ってます。楽器を一人で練習しようと
すると意志薄弱で続かないので、講座を見つけてとびつきました。

 誰でも音は出るので簡単そうに思ったけど、音域によっては吹く強さを一定に保た
ないと音が1オクターヴ外れる。曲を吹けるようになれるかどうか、微妙。


「風光明媚」5.10「嵐の神戸港」
「新編図解辞典・大誤解」5.8 新規ページ
「長岡京市立図書館の棚」5.4 ケイト・トンプソン『時間のない国で』
「船越屋画廊」4.27 『おめでと』
「変神探訪」4.22「狸谷山不動院」
「長岡京市立図書館の棚」4.21 草野たき『メジルシ』
「じふアニメ」4.13「むし」
「ホットラインの御漫画」4.11「どこに落ちる?」
「風光明媚」4.6「小畑川と犬川合流地点」
「ボツ画供養塔」3.28「適当に並べ」
「船越屋新製品」327「いもむしパン」

『チベットの女 イシの生涯』‥‥‥‥チベットの映像美で魅せる
『チェイサー』‥‥‥韓国映画ベストワン級ながらあまりにも凄惨
『ロルナの祈り』‥‥‥‥‥‥‥‥‥興味深い世界を垣間見られた
『小三治』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥制作意図が伝わらない
『マックス・ペイン』‥‥‥‥リアリティある映像のセンスを堪能
『グラン・トリノ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥堂々たるイーストウッド節
『レイチェルの結婚』‥‥‥‥‥‥‥‥‥ソニー配給の自主映画?
『鴨川ホルモー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥栗山千明を再発見
『ワルキューレ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥インパクトが弱い
『ザ・バンク 堕ちた巨像』‥硬派なクライム・アクションの秀作
『プラスティック・シティ』‥‥サスペンスではなくアートだった
『愛のむきだし』‥‥‥‥‥‥‥‥今年の日本映画を代表する一本
『チョコレート・ファイター』‥‥アジア・パワーを象徴する一本
このあとは『ザ・スピリット』に期待
 

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Contents
 ・『グラン・トリノ』
 ・『愛のむきだし』
 ・『おくりびと』の反応から思うこと
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◎ 公開中の新作から……… 『グラン・トリノ』  2008年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:クリント・イーストウッド
 出演者:クリント・イーストウッド、ビー・バン、アーニー・ハー、クリストファ
ー・カーレイ、ジョン・キャロル・リンチ

 『グラン・トリノ』が米国アカデミー賞から完全無視されたことを、映画を観て納
得しました。興業成績では最高作となるが、作品世界がこじんまりとしていて、イー
ストウッドの代表作とは呼べない。同じ監督作品の『チェンジリング』と票が分散し
たということもあるだろう。

 無視された原因のもう一つは、主としてイーストウッド演じる老人が口にする過激
な民族差別、宗教差別発言。彼だけでなく、映画の中ではあちこちから罵倒が飛び交
う。守銭奴の意味で「お前はユダヤのあいのこなのか」などと言うのがその例だが、
親ユダヤの米国映画界ではマイナスになったかもしれない。

 熾烈な差別ジョークは的を射れば笑える。だが「良識ある人たち」は眉をひそめる。
ウディ・アレンが別民族に変身してしまう哀れな男を演じた『カメレオンマン』。ピ
ーター・フォークがマシンガントークでラジオからジョークを飛ばしまくる『ラジオ
タウンで恋をして』。これらはコメディとして成功した例だが、特に後者の容赦ない
危うさは爆笑を誘った。これも良識派からはひんしゅくを買うだけなのかもしれない。

 『グラン・トリノ』は、僕的には差別ジョークシーンが最大の見どころだった。笑
い転げたが、満席の場内は妙に静かだった。このあたり、世間一般とは感覚の違いが
ありそうです。


 イーストウッドの代表作ではないからといって侮ってはいけません。彼の心にわだ
かまる思いが色濃く投影されている。イーストウッドは作品世界が小さくなろうとも、
一人の孤高の偏屈老人の、人生に対する決着(おとしまえ)のつけ方を見せたかった
のだろう。「俺なら、こうだ」と。その気持ち、痛いほどにわかる一篇だった。


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◎ 追加の一本 ……… 『愛のむきだし』  2009年度作品
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 監督:園 子温
 出演者:西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ、渡部篤郎、渡辺真起子 ほか

 観たのが前号発行の三日後。おまけに上映最終日の最終回だった。紹介を見送りま
した。けど、少しだけでも書きたい。

 上映時間は3時間57分。一瞬たりとも弛緩することなく、暴走を続ける。その間、
観客の目を釘付けにする演出力はたいしたものだと思う。

 日本映画の今年のベストの一本だと思う。アートではなく、よくできた娯楽映画。
でありながら破壊的なパワーが炸裂し続ける。この映画は過激な情熱の物語です。ハ
ダカもカラミも出ないこの映画がR15指定になるほど、変態姓が満ちあふれている。
愚直なほどの一途さに負けました。感動しました。


 満島ひかりは初めて見る。宮崎あおいと生年月日がまったく同じの沖縄出身の女優。
若いが、腰の据わった役者だ。彼女がスクリーンに存在していることじたいに圧倒さ
せられた。恐るべき可能性を秘めた女優が現われたものだ。

 問題点は複数あるんだけど、長くなるので今回はひとことだけ。スカート内盗撮を
美化してるように見えたり、女子高校生の誘拐監禁を否定的でなく描いてたりする無
神経さに問題を感じます。監督の体質でしょう。もう一点についてはまた別の機会に
書きます。


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◎ これは必見、かな、という映画
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『ラスト・ブラッド』
 5月29日全国公開 2009年度作品 監督:クリス・ナオン
   出演:チョン・ジヒョン、小雪、アリソン・ミラー

 日本のアニメ『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のリメイク。
 チョン・ジヒョンがアクションをちゃんとやれてるのかな、ということが少し心配。


『レスラー』
 6月13日京都公開 2008年度作品 監督:ダーレン・アロノフスキー
   出演:ミッキー・ローク、エヴァン・レイチェル・ウッド、マリサ・トメイ

 哀感たっぷりのミッキー・ローク。宣材から感じ取れるこの映画の空気は大好きで
す。


『ザ・スピリット』
 6月6日全国公開 2008年度作品 監督:フランク・ミラー
   出演:ガブリエル・マクト、サミュエル・L・ジャクソン、エヴァ・メンデス、
スカーレット・ヨハンソン

 美女軍団のヴォリュームがすごそう。
 ミラーの映画は『シン・シティ2』が来ないので、とりあえずこれに期待。


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◎ 映画雑話……… 『おくりびと』の反応から思うこと
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 『おくりびと』は公開25週目にして初めて映画興業ベストテンのトップに出まし
た。松竹配給映画としては初の60億円台の興業収入。この映画に関して絶賛、イマ
イチ、いろんな反応がある。その中で少し気になるものがあって、しばらく考え込ん
でいました。

 知人のO君は最近DVDレンタルで観て、「興味がある人が観ればよいだけの作品」
と切って捨てています。評判が大きくなりすぎた映画にありがちな反応です。遅れて
観た場合には特に。

 キネマ旬報で掛尾良夫が「『おくりびと』に興味を示さない人々」と題した挑発的
なコラムを書いている。彼の言いたいのは、「国際的に評価された作品がどういうも
のなのか、好奇心を持つべき。その好奇心に対価を支払う精神的余裕を持たないのは
問題。」ということ。

 両者の言い分はよくわかる。双方のすれ違いが気になっている。

 O君は世間の評価に関係なく、自分の評価を大切にする人です。僕もそうなんです
けど、彼の場合は世間的な評価をまるっきり無視する。僕はいろんな人の評価を参考
にします。ネット上の意見や雑誌紹介、メルマガ紹介を参考にして観る観ないを決め
る。iMDbという米国のサイトの投票結果も参考にします。真に受けるんじゃなく、
そこから自分の好みとの食い違いを差し引きし、判断します。

 世間一般の共通感覚がどのあたりにあるかということを僕は気にします。そこから
自分の感覚がどの方向にどれだけずれているかということも。それがわからないと情
報発信が成り立ちにくい。ある程度の共通認識を持ち、ずれを把握したままで発信し
ないと、言いたいことが届きにくい。

 気にしすぎると迎合になる。無視しすぎるとディスコミュニケーションになる。コ
モンセンスというものを考えています。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 4月は映画を劇場で8本。10本を割り込んだのでは一昨年の12月以来です。2
桁を維持しようと頑張ってたわけではありません。たまたま観たいものが多かっただ
けです。自分としてはそんなに観てたという認識はありません。

 が、たくさん観てる中、一週間も行かないと軽い禁断症状のようなものが(笑)。


「船越屋画廊」4.27 『おめでと』
「変神探訪」4.22「狸谷山不動院」
「長岡京市立図書館の棚」4.21 草野たき『メジルシ』
「じふアニメ」4.13「むし」
「ホットラインの御漫画」4.11「どこに落ちる?」
「風光明媚」4.6「小畑川と犬川合流地点」
「ボツ画供養塔」3.28「適当に並べ」
「船越屋新製品」327「いもむしパン」
「極楽貧乏」3.25「貧乏生活入門講座」
「出版案内」2/26 CINEMA,CINEMA,CINEMA 映画館に行こう!関西映画館情報

『グラン・トリノ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥堂々たるイーストウッド節
『レイチェルの結婚』‥‥‥‥‥‥‥‥‥ソニー配給の自主映画?
『鴨川ホルモー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥栗山千明を再発見
『ワルキューレ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥インパクトが弱い
『ザ・バンク 堕ちた巨像』‥硬派なクライム・アクションの秀作
『プラスティック・シティ』‥‥サスペンスではなくアートだった
『愛のむきだし』‥‥‥‥‥‥‥‥今年の日本映画を代表する一本
『いのちの戦場アルジェリア1959』‥シビアな戦争映画の傑作
『昴 スバル』‥‥‥‥‥‥残念ながら凄みのある映像はなかった
『サルサとチャンプルー』‥‥‥‥‥‥移民の話よりも音楽に心酔
『ご縁玉 パリから大分へ』‥‥‥‥‥自然体のクテュリエがいい
『フィッシュストーリー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥大満足のおとぎ話
『ヤッターマン』‥深田恭子はもっとはじけていなくてはならない
『チェンジリング』‥凡百の専業監督をあざ笑うかのごとくの秀作
『チョコレート・ファイター』‥‥アジア・パワーを象徴する一本
このあとは『マックス・ペイン』に期待
 

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 楽 ┃ ┃┃ ┃  ┗┓  ┃2009.4.4
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Contents
 ・『いのちの戦場 アルジェリア1959』
 ・『ビーズゲーム』
 ・俳優の期待指数

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◎ 公開中の新作から……『いのちの戦場 アルジェリア1959』2007年度作品
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 監督:フローラン・エミリオ・シリ
 出演者:ブノワ・マジメル、アルベール・デュポンテル ほか

 1999年まで仏政府はアルジェリア戦争の存在すら公式に認めてなかったそうだ。
この映画はフランスが初めてアルジェリアの独立戦争を描いた映画です。

 客観的な視点を持ち、フランスとアルジェリア解放軍のどちらにも肩入れしていな
い。ストレートな反戦映画でもない。主人公の中尉(ブノワ・マジメル)は仏軍側の
正当性に疑問を持っている。が、大きな流れの中では一前線の一兵士にはどうにもな
らない現実を突きつけられてしまう。


 映画を観て初めてわかったんだけど、アルジェリア人が多数、フランス軍として参
加している。彼らは第二次大戦時にドイツ軍と戦ったフランス兵だ。戦ったことに誇
りを持っている。そして今度はアルジェリア解放軍と戦うことになった。葛藤は当然
あっただろう。

 アラブ系のアルジェリア人には一見してフランス人と区別がつきにくい風貌の者も
多い。それがよけいにややこしく見せている。しかもアルジェリア軍側に情報を流す
スパイがいる。フランス軍は国際世論からも総攻撃を受けている。軍の中は混沌とし
てくる。


 終盤でフランス側の敗色が濃厚になる中、12月の24日夜に前線でクリスマスパ
ーティが催される。余興として亡くなった兵が撮影したフィルムが上映される。その
中に、今はもうこの世に存在していない戦友たちの顔が次々と映し出される。パーテ
ィの浮かれ気分がすっかり吹っ飛んでしまうこのシーンが心に残る。

 映画を企画立案したのは主演のブノワ・マジメル。彼は「正義なんてどちらの側に
もないんだよ」と言いたかったのかもしれません。

 映像、ドラマともにきわめて高いレヴェルにある。うっかり観逃してしまうところ
だったが、行って正解だった。


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◎ おまけの短編 …… 『ビーズゲーム』The Bead Game / Histoire de perles
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 短編アニメーションはユーチューブに数多く投稿されています。『ビーズゲーム』
は1977年のもの。5分29秒。監督はインド出身のイシュ・パテル。

 小さなビーズ玉を使ったアニメーションです。シンプルながら力強く、狙いが見え
たときは愕然となる驚異の小品。ビーズを使って作ってるなんてことは頭から吹き飛
んでしまいます。

http://www.youtube.com/watch?v=Ckr7QcPFaok


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◎ こういうの、観てもいいのかな、という映画
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『天使の眼、野獣の街』
 月日京都公開 2007年度作品 監督:ヤウ・ナイホイ
   出演:ケイト・ツィ、レオン・カーファイ、サンモン・ヤム

 香港のポリス・アクション。若い女性警官(ケイト・ツィ)が主人公。これは面白
そうという気配濃厚。



『チェイサー』
 5月1日全国公開 2008年度作品 監督:ナ・ホンジン
   出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ

 『殺人者の追憶』とはちょっとタイプが違いそうですが、期待できる韓国のサスペ
ンス映画。ただし、スタッフ・キャストになじみがないので予測不能なのです。『親
切なクムジャさん』みたいなエグい映画なのでしょうか。



『チョコレート・ファイター』
 5月23日京都公開 2008年度作品 監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
   出演:ジージャー、阿部寛、ポンパット・ワチラバンジョン

 タイのアクション映画。大阪アジアン映画祭のオープニング上映で観ました。面白
いです。主人公が15歳ぐらいの女の子(ジージャー)なのでちょっとリキ足りてな
いんだけど、そこに目をつぶれば大満足の出来です。



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◎ 映画雑話……… 俳優期待指数
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 俳優で映画を選んでないつもりでも、好き嫌いはあります。その俳優が主演の場合
に観たくなるか、観たくなくなるか、あるいはまったく判断に影響しないかか。これ
を俳優期待指数と呼ぶことにします。竹内結子は+1ぐらいです。小出恵介は−1ぐ
らい。あくまで主演の場合のみで。

 たいがいの俳優は±0です。+3とか−3なんてのはあまりない。数少ない例外は
アンジェリーナ・ジョリーです。−3です。美形じゃないのに美形という設定で起用
されるとムカつきます。『チェンジリング』は観ないつもりでしたが、あまりにも評
判がよくて観ました。とくに美人という設定でもないから許す。

 多いので日本人俳優だけにしましょう。+2には田畑智子や平岩紙などがいますが、
残念ながら主演はほとんどなさそう。ほかには谷村美月、北乃きい、多部未華子あた
り。主演であればほぼ間違いなく観ます。

 +1は、堀北真希、成海璃子、仲里依紗、小池栄子、木村佳乃、蒼井優、前田愛、
奥菜恵、加藤ローサ、裕木奈江、小池里奈、深田恭子、関めぐみ、小西真奈美、菅野
美穂、ぐらいかな。女優しか興味ないみたい。主演クラスで魅力的な男優はいないも
のか。

 −1は堺雅人、加瀬亮(二人とも顔が嫌い)。ほかに長澤まさみ(二十歳すぎのお
ばさん)。
 −2は、竹野内豊(俳優未満)。

 特例がもう一人いました。吉永小百合は−∞(マイナス無限大)。還暦をとおにす
ぎて若作りするなら、さっさと引退しなさい。

 好き勝手な主観です。ご容赦を。みなさんも当然、好き嫌いはあるでしょう。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 前回『フィッシュストーリー』紹介の中で、森山未來と加藤ローサの共演作を『銀
色のシーズン』と書いてますが、『スマイル 聖夜の奇跡』の間違いでした。頭の中
でごっちゃになってます。

 CINEMAテーブルのネット公開に関してはいくつか意見をいただきました。明
確な反対意見もあります。限定的なミニコミ発行とネット公開ではまるっきり変わっ
てしまうだけに心配は大きいです。安易には進められないことを感じました。

 この件についてはより多くの意見を採り入れたいと思います。次のパーティでも取
り上げてみましょう。


「長岡京市立図書館の棚」4.4 ラウラ・ガジェゴ・ガルシア『漂泊の王の伝説』
「ボツ画供養塔」3.28「適当に並べ」
「船越屋新製品」327「いもむしパン」
「極楽貧乏」3.25「貧乏生活入門講座」
「長岡京市立図書館の棚」3.23 キャサリン・パターソン『聖なる夜に』
「船越屋の出版案内」3.6 ひょっこり通信
「船越屋画廊」2.28 『人為的回廊』と『その向こうまで』
「出版案内」2/26 CINEMA,CINEMA,CINEMA 映画館に行こう!関西映画館情報
「御漫画」2.11「どこまでも落ちて行くぞ」

『いのちの戦場アルジェリア1959』‥シビアな戦争映画の傑作
『昴 スバル』‥‥‥‥‥‥残念ながら凄みのある映像はなかった
『サルサとチャンプルー』‥‥‥‥‥‥移民の話よりも音楽に心酔
『ご縁玉 パリから大分へ』‥‥‥‥‥自然体のクテュリエがいい
『フィッシュストーリー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥大満足のおとぎ話
『ヤッターマン』‥深田恭子はもっとはじけていなくてはならない
『チェンジリング』‥凡百の専業監督をあざ笑うかのごとくの秀作
『チョコレート・ファイター』‥‥アジア・パワーを象徴する一本
『懺悔』‥‥‥‥‥‥‥思ってたよりユニーク度の高い映画でした
『そして、私たちは愛に帰る』‥‥‥‥‥素晴らしいシナリオ構成
このあとは『レイチェルの結婚』に期待
 

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 楽 ┃ ┃┃ ┃  ┃ ┏━━┓ ┃2009.4.23
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Contents
 ・『フィッシュストーリー』
 ・ネット版のCINEMAテーブル
 ・今年の米国アカデミー賞

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◎ 公開中の新作から……… 『フィッシュストーリー』  2009年度作品
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 監督:中村義洋 原作:井坂幸太郎 
 出演者:濱田岳、大森南朋、伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、森山未來、高橋真
唯、波岡一喜、石丸謙二郎、上田耕一、草村礼子

 fish storyの意味は「ほら話」。釣った魚がどんなに大きかったか、というアレです。
ジョン・G・ファーニホウJohn G. Ferneyhoughの小説"A Fish Story"からタイトルが
とられている。と、映画の中で語られるが、そんな作家は存在しなかった。井坂幸太
郎が創造した架空の人物のようです。

 この物語は四つの時代がばらばらに語られ、一見なんのつながりもないように見え
る。いちばんあとの2112年は地球滅亡まであと数時間という設定。地球を救うヒ
ーローが誕生するの最初のきっかけが、1975年の録音されたパンクバンド「逆鱗」
の『フィッシュストーリー』という歌にある、ということだけがわかっている。その
あとは「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話がつながっていき、まったく先が読めない。

 ありえないふざけた話と思うが、これはほら話なのです。


 大半が若い男優ながら、それぞれが適材適所。中で最もユニークなのは森山未來。
子供のころ、正義の味方になるべく、星飛雄馬みたいに父親からビシバシしごかれた
というキャラ。マジなのかギャグなのかわからない。俳優を志した気持ちが解せない
顔立ちなのに、加藤ローサや蒼井優の恋人役(『銀色のシーズン』と『百万円と苦虫
女』)を務めたりするから、変な男優です。

 大森南朋もいちおう若手のうちと思うが、伊藤淳史や多部未華子、波岡一喜、高橋
真唯あたりは若くてもうまいの当り前なので安心して観てられる。日本の若手もけっ
こう層が厚い。

 誰がヒーローになるのか最後まで読めなかったが、わかるわけない。ろくに伏線を
張ってないんだもん。でも、この人で正解と、納得しました。


 展開に甘い部分も多々あり、大傑作とはならなかったが、仕掛けもたっぷり、遊ん
で楽しめる映画です。まじめにふざけたこんな映画を飄々と撮れる中村監督は大物と
思います。次の『ジェネラル・ルージュの凱旋』には懸念材料もありますが、やっぱ
り観るべき。


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◎ これは必見かな、という映画
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 4月以降、大御所の新作が勢ぞろいです。

『レイチェルの結婚』
 4月25日京都公開 2008年度作品 監督:ジョナサン・デミ
   出演:アン・ハサウェイ、デブラ・ウィンガー

 息子のテッド・デミ(映画監督)に先立たれ、日本公開作も久しぶりとなるジョナ
サン・デミ。作品の評判もよく、なんとか立ち直ったみたいですす。



『バーン・アフター・リーディング』
 4月24日全国公開 2008年度作品 監督:コーエン兄弟
   出演:ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、フランシス・マクド
ーマンド、ブラッド・ピット、ジョン・マルコヴィッチ

 暗い重たい『ノーカントリー』はあまり評価できなかったけど、今回はお笑い+犯
罪ものなので期待したい。傑作『ファーゴ』ほどではないと思うけど。



『グラン・トリノ』
 4月25日全国公開 2008年度作品 監督:クリント・イーストウッド
   出演:クリント・イーストウッド、ビー・バン、アーニー・ハー、クリストフ
ァー・カーレイ

 『チェンジリング』で演出力の充実を見せつけたイーストウッド。今回は主演です。
相変わらず映画ではリベラル派です。『チェンジリング』並みか、それ以上のものに
仕上がってたらたいしたものと思う。



『それでも恋するバルセロナ』
 6月27日全国公開 2008年度作品 監督:ウディ・アレン
   出演:レベッカ・ホール、スカーレット・ヨハンソン、ペネロペ・クルス、パ
トリシア・クラークソン

 スカーレット・ヨハンソン三部作の最後、かな。今回はメインの主役ではなさそう
です。 女優陣はかなり贅沢です。アレンは女性の趣味はいいというか、女好きだか
ら映画を撮ってるというべきか。


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◎ ネット版のCINEMAテーブルについて
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 要望のあったネット版CINEMAテーブルのサンプルページを作りました。

 ネット版の懸念や問題を列挙します。

 1.紙版とちがって不特定多数に公開されるので、個々の執筆者に了解を取る必要
があります。本名は困るという人は当然おられるでしょうし、ネット版は基本的にペ
ンネームにすべきと思います。紙版とネット版、署名欄が変わる場合があります。ま
た、ネット版への掲載を断られることもありえます。煩雑ですが、これらはたいした
問題ではありません。

 2.多くの執筆者はネット発信に慣れていません。戸惑うこともあるでしょう。ス
タンスが変わってしまうこともありえます。好き勝手なこと、個人的なことを書いて
もらっていいのですが、不特定多数に読まれることを意識して萎縮してしまうという
可能性があります。

 3.ネット版の存在により、紙版の存在意義が低下し、冊子が消滅に向かうのでは
ないか。冊子が消滅すれば、ネット版も消滅することになります。

 4.ネット情報は基本的にリアルタイム。ネット上で年一回更新の情報は存在意義
が薄い。もし紙版をなくしてリアルタイム更新に移行したとしたら、どこにでもある
掲示板と同じになり、独自性がなくなります。CINEMAテーブルとして存続する
意味がありません。

 最も大きな問題は4です。CINEMAテーブルはアナログでアナクロなミニコミ
情報だからこそ、かえって存在価値が際立つのだと思っています。ネット版を作ると
しても、リアルタイムを犠牲にし、年一回、同時期発信というスタンスは崩せないと
思っています。

 以上のことを考えに入れて作りたいと思うのですが、みなさんはどう思われますで
しょうか。

 サンプルページはちょこっとずつ作っていって、そのうちに完成させます。紙版と
同じ複雑なレイアウトにして文字を埋め込んだら目が死にそうなページになってしま
いました。ネット上では、文字ばかりぎっしり詰まってるページなんか、誰も読んで
くれません。で、すき間をあけたシンプルなレイアウトに変更。レイアウトなどに関
して何かいいプランがあれば提案してください。


───────────────────────────────────────
◎ 映画雑話……… 今年の米国アカデミー賞
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 『おくりびと』の外国語映画賞は見事に予想を外しました。あんな純和風のウェッ
トなドラマなんか米国人は評価しない、なんて思ってましたから。それを別にしても
今年のアカデミー賞はなんだか僕の好みとずいぶんずれまくってるようです。

 去年は作品賞ノミネート5本を全部観ました。ノミネートされたからではなく、珍
しく質の高い映画が揃ったからです。今年は少ない。他部門のノミネート全体を見て
も去年とは様変わり。すでに観た+これから観る映画は全体でたったの9本。去年は
その倍ほど観てたのに。

 9本のタイトルを挙げておきますね。『ベンジャミン・バトン』『ダークナイト』
『それでも恋するバルセロナ』『おくりびと』『ウォーリー』『レスラー』『チェン
ジリング』『レイチェルの結婚』『トロピック・サンダー』。

 クリント・イーストウッドの『チェンジリング』と『グラン・トリノ』が作品賞監
督賞で黙殺されたのは異常だと思う。『チェンジリング』は作品としても演出面でも、
ノミネートの5作品すべてを束にしてもそれらを上回っているはず。未見の『グラン
・トリノ』も世間的には非常に評価が高い。2本あって得票が分散したというだけで
は説明しきれないものがある。ときおり、協会員たちのどうしようもない感性の鈍さ
と、流されやすい主体性のなさを感じることがある。

 アカデミー協会員全体と僕の好みが合致してるわけでもないから、去年のがまぐれ
だったのでしょう。『おくりびと』も海外での評価ほどには僕は評価してません。そ
れでも賞を獲ったことは嬉しいんですよ。日本の映画、日本の文化、日本の俳優が外
国で評価されるというのは嬉しいものです。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
───────────────────────────────────────

 一週間前に配信したばかりなので、今回は何もありません。


「長岡京市立図書館の棚」3.23 キャサリン・パターソン『聖なる夜に』
「船越屋の出版案内」3.6 ひょっこり通信
「船越屋画廊」2.28 『人為的回廊』と『その向こうまで』
「出版案内」2/26 CINEMA,CINEMA,CINEMA 映画館に行こう!関西映画館情報
「御漫画」2.11「どこまでも落ちて行くぞ」
「日本で公開された外国映画の題名と原題」2.9 2008年分を更新
「山歩き・里歩きMap」1.29 大山崎・天王山周辺
「じべたでひろたもん」1.27「シャープペンシル」
「風光明媚」1.26「神戸港」
「極楽貧乏」1.25「ゴミラの逆襲」

『フィッシュストーリー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥大満足のおとぎ話
『ヤッターマン』‥深田恭子はもっとはじけていなくてはならない
『チェンジリング』‥凡百の専業監督をあざ笑うかのごとくの秀作
『チョコレート・ファイター』‥‥アジア・パワーを象徴する一本
『懺悔』‥‥‥‥‥‥‥思ってたよりユニーク度の高い映画でした
『そして、私たちは愛に帰る』‥‥‥‥‥素晴らしいシナリオ構成
『少年メリケンサック』‥‥‥宮崎あおいはすでにベテランの貫録
『罪とか罰とか』‥‥‥‥‥‥‥ハチャメチャ度がすぎるが、満足

 

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No.┃      ┃ ┃     ┃不定期刊
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Contents
 ・『チェンジリング』
 ・ネタ割れする紹介
 ・広岡由里子
 ・パーティのことなど
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◎ 公開中の新作から……… 『チェンジリング』  2008年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:クリント・イーストウッド(出演せず)
 出演者:アンジェリーナ・ジョリー、ガトリン・グリフィス、ジョン・マルコヴィ
ッチ、コルム・フィオール ほか

 苦手の主演女優でパスするつもりが、結局観てしまう。で、イーストウッドのドラ
マ作り、演出センスにまたもや舌を巻く。観客をスクリーンぎりぎりまで引き寄せる
力があるんだ。

 シングルマザーと息子の二人暮らし。息子は行方不明となるが、警察が発見して戻
ってきた子は別人だった。ミスを認めず、もみ消そうとまでする警察と闘っていく。
観る前はなるべく知らないほうがいい映画なので、話の紹介はここまで。

 見ず知らずの少年は何者? 息子はどこへ行った? 警察はこの犯罪にどこまでか
かわっているのか? 謎で引きつける話術は達者です。見事なエンディングについて
もひと言書きたくなりますが、封印封印。


 母親を助ける人物がすべていいキャストですが、中心になってフォローする人物に
ジョン・マルコヴィッチを配したセンスは見事。善玉なんか過去何十年とやったこと
ない印象のベテランが、腹に一物ない善人を難なく演じています。悪玉の警部のほう
がはるかに善玉っぽい顔なんですが、警察権力が一市民に対して牙をむくときの怖さ
を表すにはぴったりのキャスティングだ。


 舞台は1928年のロサンゼルス。女性の社会的地位がまだあまり高くなかったこ
ろ。その時代の闘う女性を描いたところに、イーストウッドらしい視線が感じ取れま
す。

 イーストウッドはゴリゴリの保守派なんですが、不思議に映画ではリベラルの本家
本元よりずっとリベラルなのです。リベラル人権派を自任する輩たちよりずっと巧み
に人権を語っているように思います。

 タイトルのChangelingは、アイルランド妖精伝説の「取り替えっ子」です。妖精は
可愛らしい子供を見つけたら盗み、かわりに醜い子供を置いてきてしまうというおそ
ろしい伝承です。これ以上ない、ぴったりすぎるぐらいのタイトルですね。


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◎ これは注目していいかな、という映画
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 日本の女優がコメディエンヌに挑戦する映画が相次いで公開される。コメディをや
るというのはいいことです。深田恭子の『ヤッターマン』、宮崎あおいの『少年メリ
ケンサック』はすでに公開されています。

『おっぱいバレー』
 4月18日全国公開 2009年度作品 監督:羽住英一郎
   出演:綾瀬はるか、仲村トオル

 弱小バレー部の顧問になったアホな女教師が「優勝したら、おっぱい見せてあげる」
なんてアホな約束をしてしまうという、アホなお話。綾瀬がチラシでアホ丸出しな顔
してます。
 興行的なネックは直截的なタイトルです。券売窓口でタイトル言うの、抵抗ありま
せんか?


『罪とか罰とか』
 2月28日全国公開 2009年度作品 監督:ケラリーノ・サンドロビッチ
   出演:成海璃子、安藤サクラ

 これもすでに公開。もう観てしまってます。キャストはにぎやかで小劇場的な乗り
です。かなり笑えましたけど、出来映えはちょっと物足りない。
 成海の次の出演作は竹中直人監督主演のホラー『山形スクリーム』。こっちも面白
そう。


『のんちゃんのり弁』
 公開予定未定 2009年度作品 監督:緒形明
   出演:小西真奈美

 離婚して実家に帰り、下町で日本一おいしい弁当屋を開業する元気な女性。ひょっ
とすると今年最も期待できる日本映画ではないかと、ひそかに期待してます。



 今年の外国映画の(興行的な)目玉作品は『007慰めの報酬』『レッドクリフ
Part2』『ハリー・ポッターと謎のプリンス』『天使と悪魔』『ターミネーター4』
といったところ。すべてシリーズ作や続編ばかり。『マンマ・ミーア!』は大ヒット
の舞台劇の映画化です。

 ハリウッドメジャーはこれまででもリスク回避のため、確実にヒットできるものに
集中してましたが、景気の急落下で資金が集まりにくくなり、リスク回避の傾向がさ
らに強まってるようです。どこも悪戦苦闘です。

 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は原作があるとはいうものの、メジャーな
小説ではありません。ハリウッドの大手(ワーナー)にしては意欲的な企画と言える
でしょう。出来はともかくとして。


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◎ 映画雑話………   ネタ割れする紹介
───────────────────────────────────────

 映画で面白いどんでん返しがあったら吹聴したいと思うんでしょうね。それを新聞
や雑誌でやられるとたまったものではありません。「結末を明かしてますのでご注意
ください」と注意書きのある場合はいい。前置きなしに書いてしまうライターが少な
くないので困る。書いてる本人はネタばらししてる認識がないんですが。

 『クライング・ゲーム』は朝日新聞の紹介であっさりネタを割ってました。この場
合、ジェイ・デヴィッドソンがアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたから、す
でに秘密ではなかったのかもしれません。

 『アザーズ』のネタバレも反則でした。『シックス・センス』と同じだとほのめか
したら、書いてるのと同じ(時効と思うので書く)。公開中の『7つの贈り物』も、
書きたがりがあちこちで結末を書いてます。なぜかみんな書いてしまう。つなぎあわ
せれば観たのと変わりない。新作なのでそれ以上は書きませんが、それほどのたいし
たネタかな?

 『ミラーズ』もキネマ旬報のコラムで微妙にエンドを書いていましたが、この場合
はわからない書き方でした。エンディングの似た別のホラーサスペンス映画(タイト
ルは書かない)との関連をほのめかされたら気づいたでしょうけどね。

 「これぐらい書いても読者は気がつかないだろう」と、何人かのライターは思って
しまうらしい。人は自分より鈍いと思ってるのかな。傲慢ですね。


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◎ 映画の中の気になるあの女(ひと)……… 広岡由里子
───────────────────────────────────────

 1965年5月31日生 千葉県出身

 広岡由里子は映画によく出ている人でありながら、あまり知られていない。いつも
端役でちょこっと顔を出してる変なおばさんです。最近では『罪とか罰とか』に出て
いた。強盗が押し入ったコンビニで、うろたえまくって一人目立っているおばさん。
同じ日に観た『少年メリケンサック』にもエンドクレジットで名前を見たが、見落と
したようで、残念ながらどこに出てたのかわからなかった。

 『狗神』ではバイクでズデッとコケるだけの役だった。たったそれだけのことです
ごく目立ってしまう得な人。この人が登場するだけで映画世界が楽しく見えてしまう。

 一度花嫁姿で現われたことがあった。『三文役者』で、主人公のモデルとなった殿
山泰司(演じるのは竹中直人)の娘役。変なおばさんではなく、珍しくまともな役。
なんとなく嬉しかった。


 確認できているもので他に観た映画は、『愛を乞うひと』『ISOLA 多重人格
少女』『学校の怪談』『ゲゲゲの鬼太郎』『ザ・中学教師』『卓球温泉』『ちぎれた
愛の殺人』『東京兄妹』『トキワ荘の青春』『秘密』『ファンシイダンス』『マリア
の胃袋』。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 2008年度のCINEMAテーブルは残り少なくなりつつありますが、まだ残部
があります。希望がありましたらお送りします。2007年以前のはほとんどなくな
ってます。古いのはもういらないと思いますが。

 15日のCINEMAテーブルのパーティは11人の参加があり、盛況でした。初
参加が2人おられました。年2回にしたら参加意欲が薄れるかなと心配してました。
気楽におしゃべりする場として年2回ぐらいは必要みたいです。

 終了後に来られ、間に合わなかった方もおられました。わざわざ自宅までパーティ
用に用意した菓子箱を持ってきてくださいました。申し訳ないことでした。15日は
あれこれイヴェントが重なったようです。なかなか難しい。

 今年は9月に大きな連休があります。19日が土曜日。23日まで休みが続きます
(なんの日だっけ?)。行楽に参加者が奪われるかもしれないけど、次のパーティは
この時期でもいいかと思っています。

 パーティで出た要望に、CINEMAテーブルのネット公開はできないのかという
のがありました。技術的には可能です。技術以外でいくつかネックとなる点があるの
で整理してみたいと思います。

 年度ごとにばらけて載っている映画をまとめたら、それだけでも意味はあるでしょ
う。他の方々もこのことに関して問題点や要望などがございましたら、知らせてくだ
さい。


『チェンジリング』‥凡百の専業監督をあざ笑うかのごとくの秀作
『チョコレート・ファイター』‥‥アジア・パワーを象徴する一本
『懺悔』‥‥‥‥‥‥‥思ってたよりユニーク度の高い映画でした
『そして、私たちは愛に帰る』‥‥‥‥‥素晴らしいシナリオ構成
『少年メリケンサック』‥‥‥宮崎あおいはすでにベテランの貫録
『罪とか罰とか』‥‥‥‥‥‥‥ハチャメチャ度がすぎるが、満足
『ハルフウェイ』‥‥‥‥‥‥‥大選択ミス、映画をなめんなよ!
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』‥‥‥‥‥半端でモヤモヤ
『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』‥‥‥‥‥途中で腰折れ
『誰も守ってくれない』‥‥‥‥しびれるほどシビアな傑作ドラマ
『アリア』‥顔がスクリーンに貼り付くほど中に入り込んでました
『ディファイアンス』‥‥‥‥‥‥‥‥‥主人公がよくわからない
『感染列島』‥‥‥‥‥‥‥‥‥檀れいがいいような、悪いような
『1408号室』‥‥‥‥‥‥‥エンドに余韻を残すホラーの佳作
『ダークナイト』‥‥‥‥禍々しいが、傑作と言って過言ではない
このあとは『ヤッターマン』に期待
 

極楽news No.38
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 楽 ┃ ┏━━┓ ┃┃  ┗┛  ┃2009.2.17
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Contents
 ・『誰も守ってくれない』
 ・映画館の予告篇
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◎ 公開中の新作から……… 『誰も守ってくれない』  2009年度作品
───────────────────────────────────────

 監督・脚本:君塚良一(映画オリジナル脚本)
 出演者:佐藤浩市、志田未来、松田龍平、柳葉敏郎、石田ゆり子、佐々木蔵之介、
佐野史郎、津田寛治、木村佳乃

 予告篇が不出来でパスを決め込んでたが、評判がいいようなので観ました。パスし
ないでよかった。ビターでシビアな秀作でした。きれいごとがカケラもないのが清々
しい。

 テーマの目のつけどころがよかった。警察による容疑者家族の保護が実際に行なわ
れてるのかどうかは知らない。場合によってはきわめて合理的な処置になる。追いつ
められて自殺されたら尋問できず、貴重な手掛かりを失う。困るのは警察。家族のた
めではなく、警察のためにやっている。

 映画では容疑者家族に有無を言わせず、事務的に淡々とこなしている。最初に容疑
者の両親を離婚させ、再婚させる。苗字を変えさせるために。「ハイ、これにサイン、
拇印。次、この書類に」と、淡々と。プロセスからうかがえる警察の目的主義一辺倒
の冷淡な描写はこの映画の魅力でもある。

 容疑者家族を追いつめるのはハイエナのような報道陣なのだが、さらにたちの悪い
のが無数のネットユーザー。建て前の正義を振りかざし、家族に暴言を吐き散らす。
だけでなく、住所・氏名・写真その他、個人情報を見つけてきてはばらまく。カメラ
を持って隠れ家にハエのようにたかってくる。

 いじめと構造は同じ。鬱屈した思いの吐き出し場を求める膨大な数のユーザーがタ
ーゲットをつかまえ、追い込んでゆく。誰が標的になってもおかしくはない。正義を
隠れ蓑にしたいじめだ。成敗することに正義の御旗を立てられる対象で、目立つ存在
であれば誰でもいい。目をつけられたら悲惨。悪質だが、一概に彼らを責められない。
彼らもまた、自分たちの日常世界では誰かから追い込まれているから。


 この映画では未成年容疑者の、15歳の妹が保護対象になっている。演じた志田未
来の風貌は確実に映画のグレードを上げている。「理不尽」という言葉が顔にくっき
り浮かび上がっている。

 他のキャストもベストに近い。柳葉敏郎や木村佳乃のキャラクターなど、いい味出
てる。松田龍平もまた、日本映画に欠かせない顔になってきた。


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◎ これは必見、かな、という映画
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『ハルフウェイ』
 2月21日京都公開 2009年度作品 監督:北川悦吏子
   出演:北乃きい

 この映画は北乃きいに尽きる。彼女を見に行くだけで価値がある。


『フィッシュストーリー』
 3月20日京都公開 2009年度作品 監督:中村義洋 原作:井坂幸太郎
   出演:大森南朋、伊藤淳史、高良健吾、濱田岳、多部未華子

 今をときめく若手俳優がずらりと並んで壮観。『ジェネラル・ルージュの凱旋』も
あるし、中村監督、最近やけに忙しいですね(去年も2本あった)。井坂幸太郎の映
画化も『重力ピエロ』がそのあと公開。この人の原作映画も立て続けです。


『ヤッターマン』
 3月7日全国公開 2009年度作品 監督:三池崇史
   出演:櫻井翔、福田沙紀、深田恭子、生瀬勝久、ケンドーコバヤシ

 ドロンジョさまは深田恭子。相当はじけそう。ボヤッキーの生瀬も似合いそう。ア
ニメの実写版としては成功しそうだ。



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◎ 映画雑話………  映画館の予告篇
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 映画の予告篇は同じものを二回見せられるとたいがい飽きてしまいます。一度見れ
ばどんな映画かだいたいわかります。くり返し流さないでほしいけど、年に一二回し
か映画館に来ない人に向けてしつこく流したいという意図もよくわかる。

 メジャー映画は年に一二回しか来ない人のための映画、マイナー(インデペンダン
ト)映画は年に十本以上観る人のための映画。そんな乱暴な区分けができてしまいそ
う。狙いとする観客ターゲットが違ってるから、合わないのはしかたありません。

 ときどき、一回目なのにアクビをもらしてしまう予告篇がある。「よくこんなつま
んない映画を作るな」と感心してしまう。そういう映画を一本ずつ挙げていくと、全
部メジャー配給会社の映画でした。すべてのメジャー映画の予告がつまらないという
ことではありません。つまらなかったのは全部メジャーだったというだけ。

 メジャーは予算が豊富なので予告篇の回数も多い。マイナーは予算がないから予告
篇の数は少ないが、質にはこだわります。マイナーは観客に関心を持ってもらうよう
必死になります。その必死さが、メジャーの予告篇作りには足りず、どこか弛緩して
いるように見える。

 メジャーとマイナーの区別にはっきりした基準はありません。僕がメジャーと認識
してるのは、東宝、松竹、東映、ソニー、ディズニー、ドリームワークス、パラマウ
ント、20世紀フォックス、ワーナー・ブラザース、東宝東和、です。東宝東和は去
年から米国メジャーのユニヴァーサル映画を配給することになったので、メジャー扱
いです。


 予告篇ではありませんが、以下は20世紀フォックスの映画、『オーストラリア』
の紹介です。

 イギリス人貴族のサラ(ニコール・キッドマン)は、夫を探すため故郷を離れてオ
ーストラリアへ。しかし、夫が何者かに殺されたことを知る。彼女は残された広大な
牧場と1500頭の牛を守るため、カウボーイのドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)
と共に北オーストラリアの土地を横断する過酷な旅に出る。

 『ムーラン・ルージュ』でハリウッドのミュージカルを再燃させた巨匠バズ・ラー
マン監督が、壮大で美しいオーストラリアの大自然を舞台に1人の女性の情熱的な愛
と冒険を描く。

 以上です。この紹介を読んでこの映画にそそられる人はどれだけいるんでしょうか。
予告篇もこの紹介文と五十歩百歩です。これが「よくこんなつまんない映画を作るな」
の一例なのです。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 『CINEMA,CINEMA,CINEMA 映画館に行こう!関西映画館情報』(創風社出版)
が2月14日に発行。発行にたどりつくまで、ずいぶん長くかかりました。編集執筆
はCINEMAテーブル執筆者の犬塚芳美さんです。

 気合いが入り、密度の濃い内容です。関西の全映画館89館の交通機関アクセス、
館ごとの料金サービスなどのデータがびっしり網羅。税込1365円ですが、この中
身なら安いと思います。

 エリアごとの映画館地図は僕が担当しました。コラムも一箇所入ってます。映画っ
ぽいイラストを入れたらよかったかなとか、映画マンガはどうかなとか、できてしま
ってから思うことは多々あります。


 犬塚さんの出版案内のページは、 
http://eiganotubo.blog31.fc2.com/blog-entry-136.html

 扱っている書店・映画館などの詳細は把握してないんですが、大型書店にはだいた
い置いてるんじゃないかな。映画館も、みなみ会館や七藝あたりはあると思います。


「御漫画」2.11「どこまでも落ちて行くぞ」
「日本で公開された外国映画の題名と原題」2.9 2008年分を更新
「出版案内」2/9 CINEMA,CINEMA,CINEMA 映画館に行こう!関西映画館情報
「山歩き・里歩きMap」1.29 大山崎・天王山周辺
「じべたでひろたもん」1.27「シャープペンシル」
「風光明媚」1.26「神戸港」
「極楽貧乏」1.25「ゴミラの逆襲」
「船越屋画廊」1.19 『底なし』と『ストリーム』
「船越屋新製品」1.19「ハイテク布団」

『誰も守ってくれない』‥‥‥‥しびれるほどシビアな傑作ドラマ
『アリア』‥顔がスクリーンに貼り付くほど中に入り込んでました
『ディファイアンス』‥‥‥‥‥‥‥‥‥主人公がよくわからない
『感染列島』‥‥‥‥‥‥‥‥‥檀れいがいいような、悪いような
『1408号室』‥‥‥‥‥‥‥エンドに余韻を残すホラーの佳作
『ダークナイト』‥‥‥‥禍々しいが、傑作と言って過言ではない
『007慰めの報酬』‥‥‥‥前作の高いテンションが続いている
『女工哀歌』‥‥‥‥‥生の中国に対しては強い関心があるのです
『ブーリン家の姉妹』‥‥‥‥‥‥‥‥‥すばらしき愛憎のドラマ
『チョコレート・アンダーグラウンド』‥‥あまりのひどさに絶句
『その男ヴァン・ダム』‥‥‥‥‥かっこ悪いけどかっこいいぞ!
『エグザイル/絆』‥‥‥‥‥‥‥‥ちょっとかっこよすぎまっせ
『バンク・ジョブ』‥‥‥‥‥‥ガツンとくるよな犯罪映画の秀作
『永遠のこどもたち』‥‥‥味わい深いきわめて上質のサスペンス
このあとは『ハルフウェイ』に期待
 

極楽news No.37
   ┏━━━━━━┓┏━━━━━━┓
 極 ┃      ┃┃      ┃
 楽 ┃ ┏━━┓ ┃┗━━━━┓ ┃2009.1.17
 n ┗━┛  ┃ ┃     ┃ ┃
 e    ┏━┛ ┃     ┃ ┃
 w    ┗━┓ ┃     ┃ ┃
 s ┏━┓  ┃ ┃     ┃ ┃
   ┃ ┗━━┛ ┃     ┃ ┃
No.┃      ┃     ┃ ┃不定期刊
   ┗━━━━━━┛     ┗━┛

Contents
 ・『永遠のこどもたち』
 ・2008年映画各賞
 ・ルネサンス・リュート曲集

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◎ 公開中の新作から……… 『永遠のこどもたち』  2007年度作品
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 監督:フアン・アントニオ・バヨナ
 出演者:ベレン・ルエダ、ジェラルディン・チャプリン ほか

 スペイン映画です。孤児院から引き取られた女の子、ラウラが大人となり、結婚し、
別の孤児院から男の子を引き取る。空き家となっていたもとの孤児院を買い取り、居
を構える。そしてその男の子が建物内から忽然と消えてしまう。

 宣伝材料を見て魅かれるものがあり、中身をほとんど確認もしないで観た。面白い
かどうかは判断しなければならないが、なるべくなら何も知らないで観るのがいちば
んだと思う。ただこの映画の場合、調べなかったので前半はファンタジー系の話なの
かどうかもわからなかった。先が読めない緊張が続いた。

 ジャンル分けするならスピリチュアル・ホラー・サスペンスということになるだろ
うか。安手のホラーとは一線を画す、格調高い、美しいドラマだった。大音響や残酷
描写、これみよがしの脅かしとは無縁です。ショッキングなシーンがまるでない、と
いうわけでもないですが、視覚的というより心理的なものかな。

 失踪した息子を捜す展開に唖然とさせられた。自宅に霊媒師を招き、過去の出来事
を浮かび上がらせようとする。失踪事件には過去の忌まわしい事件が関わっていると
彼女は考えている。霊媒は詐欺師だと警告する警察の心理分析官は追い出してしまう。
夫からも気が狂ったと思われてしまうが、考えを曲げようとはしない。夫は耐えられ
なくなって出ていくが、一人で捜索を続ける。その場にいたなら、僕でも妄執めいた
行動にはついてゆけないだろう。

 次にラウラが呼び寄せたのは、かつての孤児院仲間5人。5人の旧友は30年前、
ラウラが孤児院から出たあとに死んでいる。現われるのは子供の霊である。ラウラが
この孤児院からいなくなったあと、何があったのかを解き明かしてゆく。男の子がど
こに消えたのかも。

 どうですか。面白そうと思いませんか。ちなみに霊媒師はジェラルディン・チャプ
リンでした。スペイン語をしゃべってる!と驚きましたが、よく考えるとスペイン映
画に出演したのはこれが初めてではありませんでした(『カラスの飼育』でアナ・ト
レントの母親役)。

 原題は"El Orfanato"。「孤児院」です。愛しさを感じさせる映画。物悲しいエンデ
ィングは心に残り続けています。


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◎ こういうのをちょっと観てみたいな、という映画
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『その男 ヴァン・ダム』
 1月23日公開京都 2008年度作品 監督:マブルク・エル・メクリ
   出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム

 ヴァン・ダムのセルフ・パロディのような映画です。おちぶれ元アクションスター、
ヴァン・ダムをヴァン・ダムが演る。ヴァン・ダムはコメディやれる人と思います。



『バンク・ジョブ』
 1月17日京都公開 2008年度作品 監督:ロジャー・ドナルドソン
   出演:ジェイソン・ステイサム、サフロン・バロウズ

 こちらはシリアスなサスペンス。少々ワケありの銀行強盗もので、王室スキャンダ
ルネタがからむ。久しぶりに切れ味鋭い犯罪物という印象で、必見と思う。



『エグザイル/絆』
 1月23日京都公開 2006年度作品 監督:ジョニー・トー
   出演:アンソニー・ウォン

 香港のフィルム・ノワール。独自のスタイルを持った監督で、評判は高いながら、
不安もあり。というのは、シナリオはおろか、ストーリーも用意しないで撮ってるか
ら。バクチみたいな映画です。


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◎ 映画雑話……… 2008年映画各賞
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 今年の正月映画以降一年間のベスト。ただのお遊びなので、気楽に見てください。

 日本映画ベスト作品 『純喫茶磯辺』(監督:吉田恵輔)
 日本映画 主演女優 竹内結子(『チーム・バチスタの栄光』)
 日本映画 主演男優 塚地武雅(『ハンサム★スーツ』)
 日本映画 助演女優 谷村美月(『神様のパズル』『リアル鬼ごっこ』『魍魎の匣』)
 日本映画 助演男優 でんでん
     (『クライマーズ・ハイ』『トウキョウソナタ』『歓喜の歌』ほか多数)
 日本映画 新人   野嵜好美(『ジャーマン+雨』『歓喜の歌』)

 外国映画ベスト作品 『ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛』
     (監督:アンドリュー・アダムソン)
 外国映画 主演女優 エレン・ペイジ(『ジュノ』)
 外国映画 主演男優 ケヴィン・コスナー(『Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼』)
 外国映画 助演女優 アン・ハサウェイ(『ゲット スマート』)
 外国映画 助演男優 ジェームズ・マカヴォイ(『つぐない』『ペネロピ』)
 外国映画 新人   イモージェン・プーツ(『28週後…』)

 他にこれがあったぞ!と思われた方はどうぞ挙げてみてください。


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◎ 最近の一枚 ……… ルネサンス・リュート曲集
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 イョラン・セルシェルのギターソロによる名曲集。ぐっと渋めの曲が並んでます。
セルシェルは「禁じられた遊び〜カヴァティーナ」というのもあったんですが、そっ
ちはぐっとポピュラーな曲が並んでいます。どっちもいいんですが、好みはこちらで
す。

 ダウランドの『題名のない小品』、ムダーラの『ガリアルダ』、ノイジードラーの
『ああ、エルスライン』などなど、秀逸なリュート曲。格調高いCD。現代の曲もい
いですが、ルネサンス時代もいいですね。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 ずいぶん待ちましたが、犬塚さんの映画館愛の本『Cinema! Cinema! Cinema!』は、
もうそろそろ発行というところにこぎつけているようです。CINEMAテーブルの
ように原稿がそろったらハイッ!ポン!一丁上がりというわけにいかないようです。

 CINEMAテーブルの懇親パーティを3/15に地元長岡京でやるんですが、来
れる範囲かなという近隣の方にしか出していません。遠方の方でも、もし行けそうだ
という方がおられたら連絡ください。あらためて案内します。


『永遠のこどもたち』‥‥‥味わい深いきわめて上質のサスペンス
『ミラーズ』‥‥‥‥‥‥エンディングの鮮やかさにうならされる
『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』‥‥‥‥‥‥派手で楽しい
『アンダーカヴァー』‥‥‥‥‥‥‥‥重厚な味わいある警察映画
『俺たちに明日はないッス』‥‥‥話をもう少し盛ってほしかった
『真木栗ノ穴』‥‥‥‥‥‥ミステリアスでぞくぞくするよな感触
『青い鳥』‥‥‥‥‥阿部寛は気色悪いが考え込ませる要素がある
『その土曜日、7時58分』‥‥少しシニカルな視点がほしかった
『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』観ごたえたっぷりのゾンビ映画
『77 BOA DRUM』‥‥一期一会、観逃さなくてよかった
『動物農場』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥今の時代にはタイミングが悪い
『ブラインドネス』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥正視しがたい地獄絵図
『青空ポンチ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥のんびりな青春物語にひたる
『ハッピーフライト』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥平岩紙にプチはまり
『ウォーリー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥予告篇ですでに見飽き感が
『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』‥‥‥‥‥‥超難解
『満月の夜』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥相変わらずのロメール節
『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』‥生ステージより面白いかも
このあとは『その男 ヴァン・ダム』に期待
 

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