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Contents
 ・『ハラがコレなんで』
 ・『二十四の瞳』の24の曲
 ・北欧の音楽ピクニック
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◎ 公開中の新作から……… 『ハラがコレなんで』  2011年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:石井裕也
 出演:仲里依紗/中村蒼/稲川実代/大野百花/近藤芳正/螢雪次朗/目黒真希/
    石橋凌/斉藤慶子
 配給:ショウゲート

 お勧めできる映画ではないけど、発行間隔が空きすぎた。CINEMAテーブル発
行後、一度も出してないんです。

 とりあえずアウトラインを。二十台半ばの光子(仲里依紗)が妊娠9か月。金欠で
一人暮らしのアパートを追い出される。黒人とくっついて米国へ渡って妊娠して捨て
られて戻ってきた結果、ハラの子しか何もなし。所持金ほぼゼロなのに、困ってそう
な他人に全額(といっても三百円余り)を恵んでしまう。

 この映画、開き直ったお気楽風のチラシイメージと違ってます。ヒロインは眉間に
しわ寄せ、常識外れな思い込みで暴走する。前々作の『川の底からこんにちは』の佐
和子(満島ひかり)はどん底で開き直り、切り替えも瞬時。光子は一途に思い込む。
粋と人情が生活よりも優先する。

 この思い込みの根拠は説明されない。きっかけは明示されるが、頑固な固着に至る
プロセスは明示されない。手助けのつもりの、しばしば迷惑なお節介をする。日本古
来の美意識と勝手に思ってるものを信奉しているだけだが、僕の目には時代ずれした
コンサバ(保守)思考にしか見えない。

 彼女以上に時代遅れな人物が登場する。石橋凌演じる中年男は喫茶店の女主人(斉
藤慶子)に惚れて、若い頃から毎日通う、だけで、何もしない。女主人は結婚し、出
産し、離婚するが、そのまま。ここまでいくとギャグだが、ギャグにしないで肯定す
る姿勢を映画は示す。同様に光子の暴走も映画の中では否定されない。

 いくらでも笑いに転化できる素材なのに、しない。どう見ても彼らのコンサバ意識
を監督も信奉している。映画の中へ入り、彼らの顔をひっぱたいて目を覚まさせてや
てやりたかった。


 今年の日本映画は低調です。特に後半は壊滅状態。期待された『うさぎドロップ』
『ツレがうつになりまして。』と本作がイマイチで、盛り上がらない。『セイジ 陸
の魚』や『ヒミズ』のある来年ほうがまだ期待できそうです。

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◎ これは見逃せない、かも、という映画
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『灼熱の魂』
 12月17日公開(京都は公開日未定) 2010年度作品
   監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
   原作:ワジ・ムアワッド
   出演:ルブナ・アザバル、メリッサ・デゾルモー=プーラン、マキシム・ゴー
      デット、レミー・ジラール、ほか
   配給:アルバトロス・フィルム

 ひそかに期待している映画。ヴィルヌーヴ監督は『渦』しか知らないし、映画の印
象は薄かった。一転して本作では緊迫感がみなぎり、ひょっとしてすごい映画ではな
いかという期待感を抱かせる。


『ロボジー』
 1月14日全国公開 2012年度作品
   監督:矢口史靖
   出演:五十嵐信次郎(ミッキー・カーチス)、吉高由里子、濱田岳、田畑智子、
      小野武彦、ほか
   配給:東宝

 このところ吉高由里子の活躍が目立つが、この映画ではかわいらしいロボットオタ
ク少女の顔を見せてくれる。完成が間に合わなくなって、ロボットを動かすため中に
放り込むじいさんがミッキー・カーチス。とりあわせの妙がなんとも言えず。


『哀しき獣』
 1月7日公開 2010年度作品
   監督:ナ・ホンジン
   出演:ハ・ジョンウ、ほか
   配給:クロックワークス

 監督・主演が『チェイサー』のコンビというだけで総身の粟立つ思いがする。コリ
アン・ノワールの傑作の再来となるか。


『ヒミズ』
 1月14日公開 2012年度作品
   監督:園子温  原作:古谷実
   出演:染谷将太、二階堂ふみ、光石研、吉高由里子、西島隆弘、ほか
   配給:ギャガ

 『愛のむきだし』のあとの2本をパスして、ようやく観たい映画が出てきた。ちょ
っと『愛のむきだし』とテイストが近そう。まだ十代だが、若手男優の中で染谷将太
の突出ぶり(出演本数ではない)は際立つ。そのほかのきゃスティングもいいし、大
いに期待。

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◎ 映画雑話……… 『二十四の瞳』の24の曲
───────────────────────────────────────

 僕のサイトのデータベース「クラシックが使われている映画」にはヘルパーさんが
ついてて、ちょくちょく情報をメールしてこられます。ひんぱんに送ってこられたの
は今まで三人。そのうち一人が面白い情報をもたらしてくれました。

 『二十四の瞳』(1954年、木下恵介)には大量の歌が登場します。いずれ調べなき
ゃいけないな、面倒だなと思ってましたが、意を決して先日調べました。ユーチュー
ブにあったのは松竹の抗議で抹消されてた。しかたなくつたやでレンタル。

 わからなかった2曲を「この曲なんです」ページに挙げといたらヘルパーさんが回
答してくれました。その際、「23曲もあって大変でした」と書いたら、彼は24曲
じゃないの?と疑問を持ち、調べまくったようです。で、僕が聞き落とした『庭の千
草』を見つけてしまった。

 曲目数は意図的でしょう。誰も指摘してない新発見だと思います。

 ふと思う。1987年の『二十四の瞳』(田中裕子主演)にも歌は使われてるだろう。
何曲あるのだろう。2005年のテレビドラマ版はどうだったのだろう。調べる方法はな
いのか。

 ちなみにヘルパーさんたちはネット調査が趣味みたいな人たちです。何時間でも調
べ続けて平気なようです。僕にはとてもそんな根気はありません。

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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 北欧の音楽ピクニック
───────────────────────────────────────

 11月12日、万博公園で「北欧の音楽ピクニック」という、大きな音楽イヴェン
トがあった。北欧音楽好きとしては外すことができない。公園入場料250円のみで、
ライブは無料です。

 行く途中、ワークショップありという案内をミニパンフに発見。内容を十分理解し
ないまま、面白そうだとワークショップ会場へ行くと、すでに始まっていた。スウェ
ーデンのダンス曲をみんなで演奏している。笛を出し、仲間に加わった。イヴェント
最後のフォークダンスで合奏するという。講座のあと、引き続いて各自別個に練習。

 練習したりライブを聴いてたり。もう一度パンフを確認すると「受付終了」とある。
申し込み制。普通、申し込み制だよね。あきれた。現地でもらったリーフレットを見
ると「参加費500円」とある。あきれはてる。タダで参加し、講師に質問までして
る。無知ほど強いものはなかった。

 こうなったらもう開き直り。最後のダンス伴奏まで参加した。日頃の練習不足のせ
いで、指はついていかなかったけど。


「船越屋新製品」12/22「切り紙遊び パラフラ」
「壁紙ギャラリー」12/20「マイルドテイスト」
「長岡京市の裏百景」12.13「ヘアサロン S-mileの店頭人形」
「山歩き・里歩きMap」12.13「沢ノ池」
「突然!ネタばれしても委員会」12.8『二十四の瞳』の24の曲
「長岡京市の裏百景」12.6「おかえりなさいのランドマーク」
「船越屋画廊」12.1『SLIT』
「長岡京市の裏百景」11.30「窓の風景」
「御漫画」11.29「ハシットラーおじさん祝当選」
「じべたでひろたもん」11.24「自転車のタイヤ」
「出版案内」11.15「CINEMAテーブル2011」
「突然!ネタばれしても委員会」10.18『シベールの日曜日』

『密告・者』‥‥‥‥‥‥充実の香港サスペンスの典型、みたいな
『ハラがコレなんで』‥‥‥‥‥‥コンサバを笑いものにせんかい
『緑子/MIDORI-KO』‥‥‥‥‥‥‥‥‥質の高いアニメでした
『カメリア』‥‥‥‥‥デコボコなオムニバスながら楽しめました
『マネーボール』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥かなり地味でした
『バトルフィールド・ヒーロー 平壌城』‥‥‥‥‥味のある佳作
『コンテイジョン』想定通り、娯楽性の希薄な好みのタイプの映画
『ミッション8ミニッツ』‥‥‥‥‥‥‥‥観るべし!の秀作SF
『ランゴ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥乗れないと観るのが苦痛
『ウィンターズ・ボーン』‥‥‥‥‥‥‥たぶん今年のナンバー1
このあとは『哀しき獣』に期待
 

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Contents
 ・『ウィンターズ・ボーン』
 ・映画を観る動機

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◎ 公開中の新作から……… 『ウィンターズ・ボーン』  2010年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:デブラ・グラニック
 原作:ダニエル・ウッドレル
 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、シェリル・リー、ギャレッ
    ト・ディラハント、ほか
 配給:ブロードメディア・スタジオ
 原題:Winter's Bone

 父親が失踪。裁判所に引きずり出さなければ、保釈金のカタに入った地所と家屋が
差し押さえられる。一家の生活を守るために17歳の女の子、リーが一人で父親を探
そうとする。

 舞台はミズーリのさびれた山村。どこにも説明はないが、アイルランド系移民の村
のようで、村じゅうが一家のような世界だ。

 これといった産業のない村は違法ドラッグ製造で生き延びているようなもので、村
全体が小規模なマフィアのようなもの。父の失踪も彼の不始末がからんでいるので、
ほじくり返されては困る。リーの捜査を村民は妨害する。彼女はいわば蛇穴に手を突
っ込んでるようなもので、危ないっていってるのに嗅ぎ回るのではらはらする。

 脅されてもひるむ気配も見せない強情なヒロインを、ジェニファー・ローレンスが
見事に体現している。他のめぼしい出演作は『あの日、欲望の大地で』『X−MEN
 ファースト・ジェネレーション』ぐらいしかないが、この一作で若手の有望株とし
てのしあがった感がある。

 密度の濃いドラマで、一瞬たりとも気が抜けない。観終わっていろんなことが頭の
中をかけめぐった。米国の貧困は第三世界のそれとは質的に違うが、底なしの貧困が
底辺に広がっている。米国の病の源泉がこの映画の中に見えているような気がする。

 チラシに「父親を捜す旅に出る」なんてことが書いてあるので、ロードムーヴィー
かと勘違いしそうですが、映画の舞台は村から一歩も出ません。いつ出発するんかい
なと、僕も途中まで錯覚してました(苦笑)。


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◎ これはたぶんおすすめ、という映画
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『コンテイジョン』
 11月12日全国公開 2011年度作品  監督:スティーヴン・ソダーバーグ
   出演:マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュ
      バーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ウィンス
      レット、ほか
   配給:ワーナー

 Contagion = 接触感染。またしてもウィルスパニック映画。と思うんですけど、配
役が豪華すぎませんか。これだけの顔ぶれでスカやったら怒ります。



『やがて来たる者へ』
 10月22日大阪公開 2009年度作品  監督:ジョルジョ・ディリッティ
   配給:アルシネテラン

 第二次世界大戦末期にボローニャ近郊の山村で起こった虐殺を描く。8歳の少女の
目を通して事件が描かれる。『トンマッコルへようこそ』のようにはいかなかったよ
うです。


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◎ 映画雑話……… 映画を観る動機
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 つい、自分の行動様式をスタンダードだと勘違いしがちですが、映画を観る動機っ
て、いろいろありますね。ストレス解消・発散、自分へのご褒美、映画館へ行くのが
日課。他にもいろいろあるでしょう。

 僕はただ、「観たい映画がそこにある」だけです。なければ観ません。禁断症状も
ありませんし。メルマガなどに書くために観るということもしていません。

 ほかに選択肢がないので面白くなさそうな映画でも観てしまうというのが理解でき
かったんですが、ようやくわかりかけてきました。映画って、一定時間、何もしない
で座ってただ見てるだけでいいんですから、お手軽な娯楽なんだ。そういう認識は持
ってなかった。

 僕にとってストレス解消はなんだろう。「食べる」ぐらいですかね。太ってるわけ
ではないですよ。人よりストレスが少ないんでしょう。ムリしない。できないことは
断る。葛藤をためこまないで片づける。で、いってます。

 評を書くのにストレス感じてます? 僕は観たら書いて記録するのが習慣づいてる
ので、苦にならないんです。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 CINEMAテーブルの版下にOpenOffice.orgという新しいソフトを導入して作業
してます。それなりにバグがあって苦慮します。フリーウェアでタダなので文句も言
えません。特性を理解したうえでうまく飼い馴らしていくしかありません。


 長岡京市サポートセンターのHPにシネマージュのパーティの様子が写真入りでア
ップされました。9月11日のパーティのとき、取材に来られてました。アップされ
てるの知ってたんだけど書くの忘れてました。
 僕は後ろ姿のみです。

http://blog.livedoor.jp/siminsup/archives/cat_50077044.html?p=3


「長岡京市の裏百景」10.30「二條茶屋の仕掛け時計」
「突然!ネタばれしても委員会」10.18『シベールの日曜日』
「新曲のページ」10.15『ウィンドブロー Wind Blow』
「長岡京市の裏百景」10.11「まちくさ長岡京」
「船越屋画廊」10.5『除染』
「変神探訪」9.22「芸能神社」
「シネマージュのページ」9.12 パーティは盛況のうちに終了
「変神探訪」9.11「亀峰山平成院」
「出版案内」9.10「ひょっこり通信発行」
「新編図解辞典 大誤解」9.10「新規追加」

『ランゴ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥乗れないと観るのが苦痛
『ウィンターズ・ボーン』‥‥‥‥‥‥‥たぶん今年のナンバー1
『カウボーイ&エイリアン』‥‥‥B級映画の鑑というべき面白さ
『ツレがうつになりまして。』‥‥‥もう少し軽みがあったほうが
『探偵はBARにいる』‥‥‥‥‥‥‥‥面白かったが続編は不要
『飯と乙女』‥‥‥‥‥‥‥‥‥期待しなかったせいか面白かった
『猿の惑星 創世記』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥没頭しました、傑作
このあとは『ハラがコレなんで』に期待
 

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Contents
 ・『猿の惑星 創世記』
 ・韓国の日本映画

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◎ 公開中の新作から……… 『猿の惑星 創世記』  2011年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:ルパート・ワイアット
 原案:ピエール・ブール
 出演者:アンディ・サーキス、ジェームズ・フランコ、フリーダ・ピント、ジョン
     ・リスゴー、ほか
 配給:20世紀フォックス

 監督の名前は初めて目にする。ストーリー的に難しい企画だが、上質の娯楽映画に
仕上げてくれた。結果がわかってるストーリーを、矛盾なく一本のドラマに仕立て上
げるのは難しいはずだ。

 本作は旧シリーズ第一作の前日譚ということになる。旧シリーズ5作は、3が1の
過去に戻り、時間軸で4から5、そして1に戻っていくはずが、まったく整合性に欠
けてループがつながらない、ということになっている。

 リメイクの本作は3から5に相当する。人類が破滅することになる原因は、残念な
がらありきたりなネタだった。このあとのストーリーは第一作に向かって突き進むこ
とになるはずだが、映画はここまででストップだろう。

 いちおうの主演は科学者役のジェームズ・フランコだが、実質的な主人公はチンパ
ンジーのシーザー(アンディ・サーキス)。人間よりも猿に感情移入してしまう不思
議さがある。虐げられた猿たちが奔流のように都会を疾走していく。市警との決戦に
突入する。人間である警官が蹴散らされていくのを見るのはなぜか爽快。

 ティム・バートンが作った番外篇も魅力的だが、この新作の出来が最もよさそうだ。
もう一度、番外篇を観直してもいいが。

 ちなみに一作目の原作(ピエール・ブール)では、手記が発見されて読むというス
タイルになっている。エンディングは異なり、自由の女神も登場しない。しかし皮肉
なラストは一読するに十分な価値がある。


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◎ これは要チェック、という映画
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『ゴモラ』
 10月29日東京公開 2008年度作品  監督:マッテオ・ガローネ
   出演:トニ・セルヴィッロ、サルヴァトーレ・アブルツェーゼ、ほか
   配給:紀伊國屋書店、マーメイドフィルム

 『ドゴラ』というフランス映画もありましたが、どちらも怪獣映画ではありません。
世界最大級の犯罪組織「カモッラ」を描くイタリア映画。タイトルの意味はわからな
いのですが、演出の切れのいい予告篇に魅かれます。



『永遠の僕たち』
 12月23日公開 2011年度作品  監督:ガス・ヴァン・サント
   出演:ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮、ほか
   配給:ソニー

 葬式にもぐりこむのが趣味みたいな青年と、余命いくばくもない女の子との恋物語。
一風変わってるのは、死の世界から来た青年(加瀬亮)を、彼だけが見えているとい
う設定。ガス・ヴァン・サントは『ミルク』などより『パラノイドパーク』あたりの
ように、個的な世界の中で物語っていくほうが面白いと思う。



『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』
 10月8日東京公開 2010年度作品  監督:ヤルマリ・ヘランダー
   出演:オンニ・トンミラ、ヨルマ・トンミラ、ほか
   配給:アース・スター・エンターテインメント

 サンタクロースに付き添い、悪い子たちにお仕置きをする悪魔。どうやらホラーの
よう。フィンランドの映画はたいていちょっと変です。



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◎ 映画雑話………  日本の韓国映画、韓国の日本映画
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 今年日本で公開されている韓国映画は粒ぞろいです。ただ、興行的にはことごとく
不振。『戦火の中へ』『悪魔を見た』『素晴らしい一日』『ハウスメイド』『生き残
るための3つの取引』『男たちの挽歌』『昼間から呑む』『ハーモニー 心をつなぐ
歌』『アジョシ』。かなりの豊作。ただ、『息もできない』『トンマッコルへようこ
そ』クラスの、韓国映画史上の代表作には及ばない。ああいうものは奇跡が起きて生
まれ出るものなのかもしれない。

 韓国映画に限らず、若い人があまり外国映画を観ない。内向きになって外国への関
心が薄れているようだ。

 日本で韓国映画が当たらなくなっている以上に、韓国で日本映画が入らなくなって
いる。メジャー映画の観客数が日本での千分の一などということもある。かなり深刻
な状況だ。

 なぜそうなってるのかはよくわからない。韓国映画が日本映画を超えたという認識
があちらにあるのかもしれない。得意分野が異なるだけで、どっちが上とかいうもの
でもない。近い国なんだから、もっと相互に文化理解を深めてほしい。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 最近はやたらコミュニティカフェやワークショップ、パーティに参加してます。新
しい仲間を発掘してやろうという下心もあります。

 「まちくさと出会う」という、京都芸術センターでのワークショップが面白かった。
街中の野草(雑草)をデジカメで撮り、タイトルとキャプションをつけるというもの。
懸命に探すうち、次々現われる。『奥ゆかし草むら』『二段の滝』『サドル食い込み』
『表札もどき』などと名づけ、エピソードや物語を書き込む。

 長岡京市内でもやりました。サイトの裏百景コーナーで紹介しています。

 P.S.
 前号に書いたアジョシのイントネーションは、ジョではなくシに高音アクセントで
した。訂正します。


「新曲のページ」10/15『ウィンドブロー Wind Blow』
「長岡京市の裏百景」10.11「まちくさ長岡京」
「船越屋画廊」10.5『除染』
「変神探訪」9.22「芸能神社」
「シネマージュのページ」9.12 パーティは盛況のうちに終了
「変神探訪」9.11「亀峰山平成院」
「出版案内」9.10「ひょっこり通信発行」
「新編図解辞典 大誤解」9.10「新規追加」
「極楽貧乏」9.8「紙芝居『みにくいアヒルの子』」
「突然!ネタばれしても委員会」8.25『ぼくのエリ』と『モールス』

『猿の惑星 創世記』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥没頭しました、傑作
『風吹く良き日』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ダサイんだけど、妙に残る
『鯨とり』‥‥‥‥‥‥‥‥70年代の日本映画のようで懐かしい
『ゴーストライター』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥男優が女優に気迫負け
『アジョシ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥気合い炸裂のアクション
『黄色い星の子供たち』‥‥‥‥‥‥‥‥ドツボの地雷映画でした
このあとは『カウボーイ&エイリアン』に期待
 

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No.     ┃ ┃┃      ┃不定期刊
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Contents
 ・『アジョシ』
 ・911パーティ
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◎ 公開中の新作から……… 『アジョシ』  2010年度作品
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 監督:イ・ジョンボム
 出演者:ウォンビン、キム・セロン、ほか
 配給:東映

 アジョシを配給会社は「おじさん」と訳して紹介してるが、「おっさん」のほうが
ニュアンスとして近そうです。ウォンビン=おっさんではイメージ合わないと見たの
ではないか。ちなみに発音はジョに高音アクセントです。

 マフィアに拉致されたよその子を命がけで救出しに行く男。よく見りゃ話は『マイ
・ボディガード』(デンゼル・ワシントンとダコタ・ファニング共演)。元特殊工作
員だったという話も珍しくない。キレのあるシャープな演出も韓国製アクションなら
毎度のこと。この映画ならではの見どころはあるか。それは、キム・セロンだと思う。

 本作は『冬の小鳥』で主演デビューしたキム・セロンの3本目にあたる。美少女タ
イプではない。底深い意志を感じさせる面構えだけで見るものを納得させるものを持
っている。過剰な芝居やセリフは無用。いるだけで映画空間を形作る。今後どのよう
に成長していくのか、楽しみな人だ。この子、映画ではほとんど笑いませんが、笑う
と可愛らしいです。

 ウォンビンも悪くない。というか、気迫がたっぷり。スタントなしできわどいアク
ションをこなしたり。『母なる証明』とは違った顔を見せる。頼もしい俳優になって
きました。

 『レオン』との関連を云々する紹介をいくつか見かけるが、話も設定もぜんぜん違
ってて、似てる点はないと思うんだが。

 終盤、話の流れですっきりしない部分が出るのは惜しい。エンドも違った終わり方
のほうが余韻が残ったような。でも、かなりのお勧め映画。


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◎ これは久しぶりに大当たり、かもよ、という映画
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『ランゴ』
 10月22日全国公開 2011年度作品  監督:ゴア・ヴァービンスキー
   声の出演:ジョニー・デップ、アイラ・フィッシャー、アビゲイル・ブレスリ
        ン、ビル・ナイ、ほか
   配給:パラマウント

 CGギャグアニメ。カメレオンのランゴの声がジョニー・デップ。監督とのコンビ
はあの海賊映画シリーズだけど、こっちは大丈夫そうです。予告篇が観る意欲をかき
たてます。


『カウボーイ&エイリアン』
 10月22日全国公開 2011年度作品  監督:ジョン・ファブロー
   出演:ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド、サ
      ム・ロックウェル、ほか
   配給:パラマウント

 謎の腕輪をはめ、記憶をなくした男(ダニエル・クレイグ)がエイリアンと戦うは
めになるという西部劇。わけのわからん設定を大まじめに作っている。


『ハラがコレなんで』
 11月5日京都公開 2011年度作品  監督:石井裕也
   出演:仲里依紗、中村蒼、石橋凌、ほか
   配給:ショウゲート

 タイトルとチラシヴィジュアルのほっこり感。仲里依紗がハラぼてぼてでニコニコ
笑ってる写真。『純喫茶磯部』以来の当たり役ではないか。勝手に『ハラコレ』と呼
ばせてもらっています。


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◎ これは紛らわしいかも、という映画
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『スリーデイズ』 The Next Three Days
 9月23日全国公開済 2010年度作品  監督:ポール・ハギス
   出演:ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス、ブライアン・デネヒー、オ
      リヴィア・ワイルド、ほか
   配給:ギャガ

 殺人の罪を着せられ、投獄された妻を刑務所から脱獄させようとする男をラッセル
・クロウが演じる。フレッド・カヴァイエ監督の『この愛のために撃て』をリメイク。
オリジナルも気になる。


『4デイズ』 Unthinkable
 9月23日東京公開済 2010年度作品  監督:グレゴール・ジョーダン
   出演:サミュエル・L・ジャクソン、ほか
   配給:ショウゲート

 爆破テロリストを拘束するが、爆弾は4日以内に爆発。死を覚悟したテロリストと
対決するのは全米一凶暴な"尋問のスペシャリスト(サミュエル・L・ジャクソン)。
4月公開予定だったが大震災理由の延期で、なぜか『スリーデイズ』と同日公開。


『5デイズ』 5 Days of War
 10月?日全国公開 2011年度作品  監督:レニー・ハーリン
   出演:ルパート・フレンド、アンディ・ガルシア、ほか
   配給:アルバトロス、インターフィルム

 民族紛争を抱えていたグルジアにロシアが軍事介入したことで始まった戦争。とこ
とんグルジア寄りで作られたロシア・グルジア戦争。


 日本映画のほうでは冗談みたいな競作があります。『はやぶさ』(20世紀フォッ
クス)『はやぶさ 帰還』(角川映画)『はやぶさ 遥かなる帰還』(東映)『おか
えり、はやぶさ』(松竹)。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 9月11日にパーティをしました。9・11十周年は忘れてました。ぶつけたわけ
ではないのです。

 参加者は最近では多いほうで11人でした。よく盛り上がっておりました。今回初
参加予定だったお一人は和歌山のボランティアへ行かれて、次回こそは参加、という
ことでした。

 CINEMAテーブルのほうも何人か、初参加の予定です。次回のパーティは2月
下旬ぐらいでどうかと思ってるのです。花粉症の発症時期が3月。それを外してはど
うかと。風邪引いたといって休む人も出るかもしれませんが。


「変神探訪」9.22『芸能神社』
「シネマージュのページ」9.12 パーティは盛況のうちに終了
「変神探訪」9.11『亀峰山平成院』
「出版案内」9.10「ひょっこり通信発行」
「新編図解辞典 大誤解」9.10「新規追加」
「極楽貧乏」9.8「紙芝居『みにくいアヒルの子』」
「突然!ネタばれしても委員会」8.25『ぼくのエリ』と『モールス』
「船越屋画廊」8.13 コラージュ作品『逆夢』
「長岡京市の裏百景」8.8「えほん島」

『アジョシ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥気合い炸裂のアクション
『黄色い星の子供たち』‥‥‥‥‥‥‥‥ドツボの地雷映画でした
『ハウスメイド』‥‥‥‥予想外に高レヴェルなサスペンスでした
『ライズアップ』‥‥‥‥‥‥ストレートな青春ものだが、感動!
『陰謀の代償』‥‥‥‥‥‥‥うまく騙された、ミステリーの秀作
『日輪の遺産』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥期待せず、楽しめた
『ハンナ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥期待過剰だった
『七つまでは神のうち』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥前半0点、後半8点
このあとは『ゴーストライター』に期待
 

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Contents
 ・『陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル』
 ・幻の映画を探す
 ・アフィの『ディフィカルト』

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◎ 公開中の新作から…『陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル』2011年度作品
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 点 〔聡〕

 監督:ディート・モンティエル(脚本も)
 出演:チャニング・テイタム、レイ・リオッタ、ジュリエット・ビノシュ、アル・
    パチーノ、ケイティ・ホルムズ、ほか
 配給:日活

 評判はよくない。iMDbサイトの点数は6.3(採点者196人平均)。期待せ
ず、予告篇映像の雰囲気がいいというだけで観ました。

 警察組織の不正をテーマにしたミステリーです。新人警官ジョナサン(チャニング
・テイタム)が少年時代に犯した犯罪を告発する手紙が新聞社に届き始め、彼の元に
脅迫電話が次々かかる。彼の父は殉職した警官で、その元相棒(アル・パチーノ)は
現在、市警幹部。ジョナサンのかつての犯罪をもみ消して迷宮入りさせたのは元相棒。
そして今度は組織ぐるみで告発記事をもみ消そうとする。

 あっさり騙されました。背後にいるものが誰なのか、最後に明かされるまでわから
なかった。ちゃんとていねいに伏線を張ってあるし、ルール違反をしてるわけでもな
い。思い込みを誘い、引っかかるよう計算した脚本に負けました。

 北川れい子さんはキネマ旬報8月上旬号で冷淡に切って落としました。5段階の1
(0はない)。「つまり、全てが以前に観た警察ものの寄せ集めのような。」と。表
層的なものを除き、僕が今まで観たことのあるエピソードも設定もありません。隅々
までオリジナルが敷き詰められた映画だと僕は思う。

 ミステリーの秀作ではあるが、欠点は地味なこと。キャストに華はなく、派手なア
クションシーンは皆無。絶対ヒットしない映画の典型。しかし個人的にはこの映画の
空気感や演出の呼吸が好きです。観る人により、受け止め方はさまざまですが、勘の
鋭い人はこの映画の構図をあっさり見破ってるのかもしれませんね。


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◎ これは必見、という映画
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 前号で紹介したチョン・ドヨン主演のスリラーサスペンス『ハウスメイド』は、東
京では8月27日公開、京都は9月3日公開でした。今年は韓国映画に意欲的な小品
が目立ちます。リヴァイヴァルでは『鯨とり』と『風吹く良き日』の公開もある。楽
しみです。


『アジョシ』
 9月17日全国公開 2010年度作品  監督:イ・ジョンボム
   出演:キム・セロン、ウォンビン、ほか
   配給:東映

 京都はT・ジョイ京都のみ上映。誘拐された少女(キム・セロン、『冬の小鳥』主
演)を、少女とは無関係なはずの男(ウォンビン)が命を懸けて救い出すアクション
映画。この手の映画には弱い。ちなみに「アジョシ=おじさん」です。


『ウィンターズ・ボーン』
 10月29日全国?公開 2010年度作品  監督:デブラ・グラニック
   原作:ダニエル・ウッドレル
   出演:ジェニファー・ローレンス、ほか
   配給:ブロードメディア・スタジオ

 ジェニファー・ローレンスは『あの日、欲望の大地で』の子役。『X−MEN フ
ァースト・ジェネレーション』ではミスティーク役で準主演。最近急に伸びてきた若
手です。
 失踪した父親を捜しに旅に出る少女の物語。キャストは地味なのですが、作品評価
が非常に高いので注目です。


『ゴーストライター』
 10月1日京都公開(東京は8月27日)
   2010年度作品  監督:ロマン・ポランスキー
   原作:ロバート・ハリス
   出演:ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、キム・キャトラル、オリ
      ヴィア・ウィリアムズ、トム・ウィルキンソン、ほか
   配給:日活

 英国元首相のゴーストライターとして雇われた男が、元首相の秘密事項に接触した
ことによって事件に巻き込まれていくサスペンス。これも評判がすごくいい。


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◎ 映画雑話………  幻の映画を探す
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 幻の映画。観たけどもう一度観たい。観逃したままになっている。特定の映画につ
いて思い入れを語りたいのではありません。上映されない。ソフトがどこにもない。
そんな映画について。

 思いついて今年に入ってからネット上で探し始めました。基本的に日本映画のみで
す。字幕ついてないとさっぱりわからないから。映像だけで十分理解できる『民族の
祭典』は別です。『意志の勝利』も含め、レニ・リーフェンシュタールの代表作が二
つともユーチューブにありました。まだ観てませんが、楽しみに取っておいてます。

 捜索はまだこれからです。「土豆网」という台湾かな?っていうサイトにもたくさ
ん挙がっています。ここで『花よりもなほ』が見つかったんですが、これは幻の映画
でもなんでもありません。もっといろんなサイトがあるのかもしれません。ご存知の
方がおられましたらお教えください。

 ほんとは『影の爪』や『黒い雨』を観たかったんですが、見つけられませんでした。
品ぞろえの悪いTSUTAYAは当然のように、こういう名作を置いてません。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 BGMではありませんが、本日の音楽。アフィUffieの『ディフィカルトDifficult』。
 http://www.youtube.com/watch?v=HVpir5vSA78
 これは曲だけ聴いてもたいして面白くない。映像を見なければ。

 ついでに彼女がトムトムクラブの曲をカバーした『Wordy Rappinghood』も。
 http://www.youtube.com/watch?v=HtB0il5yMjg
 アレンジは同じなのですが、今風にして全体にキレをよくしています。


「極楽貧乏」9.8「紙芝居『みにくいアヒルの子』」
「突然!ネタばれしても委員会」8.25『ぼくのエリ』と『モールス』
「船越屋画廊」8.13 コラージュ作品『逆夢』
「長岡京市の裏百景」8.8「えほん島」
「じべたでひろたもん」7.13「キャラメル石」
「山歩き・里歩きMap」7.13「沢ノ池」
「シネマージュのページ」7/8 パーティは9月11日に決定
「新曲のページ」7/7『クーリ・クーラウCool it cool out』
「極楽貧乏」6.23「洞窟探検絵本の読み聞かせ」

『陰謀の代償』‥‥‥‥‥‥‥うまく騙された、ミステリーの秀作
『日輪の遺産』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥期待せず、楽しめた
『ハンナ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥期待過剰だった
『七つまでは神のうち』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥前半0点、後半8点
『エッセンシャル・キリング』‥‥‥‥捉えそこなったような気が
『うさぎドロップ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥後半、きれいごとで失速
『ツリー・オブ・ライフ』‥‥‥‥‥‥‥‥マイペースの芸術映画
『モールス』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥驚くほどリメイク元に酷似
『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』‥‥映画的な魅力がない
『シベールの日曜日』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥懐かしきゴツジと再会
『4月の涙』‥‥‥‥‥‥フィンランドの近代史を知りたくなった
『ドリーム・ホーム』‥‥‥‥‥‥‥‥皮肉なエンディングが効く
『大鹿村騒動記』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥冨浦智嗣の才能を再発見
このあとは『アジョシ』に期待
 

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Contents
 ・『シベールの日曜日』とパトリシア・ゴッジ
 ・原田芳雄

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◎ 午前十時の映画祭から……… 『シベールの日曜日』   1962年度作品
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 監督:セルジュ・ブールギニョン
 出演者:ハーディー・クリューガー、パトリシア・ゴッジ、ニコール・クールセル、
     ダニエル・イヴェルネル、ほか
 原題:Les Dimanches de Ville D'Avray(ダヴリー村の日曜日)

 ダヴリーはパリ郊外の村。のどかな仏語タイトルですが、中身はきわどい部分もあ
って、牧歌的ではない。30歳の青年と12歳の少女の悲恋なのですから。

 個々のエピソードはきれいさっぱり忘れ去てますが、パトリシア・ゴッジは鮮明で
す。この映画はゴッジがすべてです。彼女の出現によって奇跡的に成り立った記念碑
的な映画です。ストーリー説明は割愛します。ゴッジだけ見てればいいのです。

 子供と女。両面を表現しきっている。今の映画界ならこれぐらい達者な子はたくさ
んいそうですが、当時は衝撃的でした。子供っぽい可愛い子はいましたけど。

 再見してあらためて思うことは、なぜ主演がドイツ人なんだろうということ。役名
はピエールで、ドイツ人の役ではない。ハーディー・クリューガーを想定して企画が
立ち上がったという。フランスの男優にないイメージを彼はまとっていたようだ。

 ラスト近くのカットされたシーンが一部で問題になっている。なくてもおおよそ見
当はつく。ピエールがふざけてナイフを手にフランソワーズ(=シベール)に迫ると
いうシーン。そのシーンを見たかどうかも定かではありませんが、ぼんやりしたイメ
ージがあります。後付けの記憶かもしれません。

 セルジュ・ブールギニョンはこれが長編デビュー。作品数は少なく、他は特に目立
ったものがなさそう。

 パトリシア・ゴッジは正しくはゴッツイなのですが、女の子に「ごっつい」はさす
がにまずいでしょう。ゴッツイGozziという名字からも想像できるようにイタリア系
です。デビュー作はギャング映画。これが4本目で、1本のTV映画を含めて7本の
み。惜しまれつつ十代で引退しました。ちなみに僕より年上です。


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◎ 追加の雑話……… 『シベールの日曜日』のカットされたシーンについて
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 キネマ旬報5月下旬号で鬼塚大輔が気になることを書いていた。20年ほど前に劇
場で観たヴァージョンには、ラストシーンでDVDには存在しないカットが存在して
いた、と。それがどういうシーンか知りたくて調べました。そのシーンの有無で作品
の解釈がガラッと変わってしまうという、重大なシーン。うるわしき純愛を否定する
ようなシーンだと。

 結論として、観客に誤解を抱かせるようなまぎらわしい演出があったということら
しい。いかにもピエールがシベールを殺そうとしてるかのようなシーン。それまでの
シーンをよく観てればそんな誤解はしないと思うんですけど。

 午前十時の映画祭ヴアージョンでもそのシーンはないんですが、とりたてて必要も
なかったと思う。


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◎ これはかなり怖そう、という映画
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 夏場はホラー映画が満開。香港のスプラッター・ホラー『ドリーム・ホーム』(監
督:パン・ホーチョン)もなかなかよかったです。


『モールス』
 8月5日全国公開 2011年度作品  監督:マット・リーヴス
   出演:クロエ・グレース・モレッツ、ほか
   配給:アスミック

 『ぼくのエリ 200歳の少女』のリメイク。人間兵器(『キック・アス』)から
吸血鬼へ。これまでのモレッツのキャラとはまったく違うシリアスなイメージ。どん
な顔を見せているのか、楽しみです。



『ハウスメイド』
 ?月?日公開 2010年度作品  監督:イム・サンス
   出演:チョン・ドヨン、イ・ジョンジェ、ほか
   配給:ギャガ

 富豪のお手伝いさんをチョン・ドヨン。韓国のホラー・サスペンスは半端じゃない
ので心して観にゆくことにしましょう。



『七つまでは神のうち』
 8月27日京都公開 2011年度作品  監督:三宅隆太
   出演:日南響子、飛鳥凛、藤本七海、霧島れいか、ほか
   配給:S・D・P

 ただの和製ホラーかもしれませんけど。いちおう観る予定です。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず。
 されど、人は変わろうとすればするほど、同じまま。

 今年に入って、Xデイが気になりだしていた原田芳雄がとうとう亡くなりました。
71歳。意外と若いんじゃないかという気がしました。

 観た出演作の多さというより、作品密度の高さは他のどの俳優にもないものです。
僕にとっては日本映画の歴史でした。


「じべたでひろたもん」7.13「キャラメル石」
「山歩き・里歩きMap」7.13「沢ノ池」
「シネマージュのページ」7/8 パーティは9月11日に決定
「新曲のページ」7/7『クーリ・クーラウCool it cool out』
「突然!ネタばれしても委員会」7.2『心中天使』
「長岡京市の裏百景」7.2「ミケニャンジャロ」
「極楽貧乏」6.23「洞窟探検絵本の読み聞かせ」
「CINEMAテーブル総索引」5.25

『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』‥‥映画的な魅力がない
『シベールの日曜日』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥懐かしきゴツジと再会
『赤い靴』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥本格派のバレエ映画を堪能
『4月の涙』‥‥‥‥‥‥フィンランドの近代史を知りたくなった
『ドリーム・ホーム』‥‥‥‥‥‥‥‥皮肉なエンディングが効く
『大鹿村騒動記』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥冨浦智嗣の才能を再発見
『イリュージョニスト』‥‥‥‥‥‥‥‥美術作品のごときアニメ
『X−MEN』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥シリーズの最高傑作
『アリス・クリードの失踪』‥‥‥‥‥超低予算の傑作サスペンス
『スーパーエイト』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥面白いけど残らない
『軽蔑』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥古めかしい空気の映画
『キラー・インサイド・ミー』‥狂悪殺人鬼にシンクロしてしまう
『心中天使』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥エンディングの絶妙な面白さ
このあとは『ハンナ』に期待
 

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Contents
 ・『ロシアン・ルーレット』
 ・外国映画離れ

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◎ 公開中の新作から……… 『ロシアン・ルーレット』  2010年度作品
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 監督:ゲラ・バブルアニ
 出演:サム・ライリー/ジェイソン・ステイサム/ミッキー・ローク/レイ・ウィ
    ンストン/マイケル・シャノン/ベン・ギャザラ
 配給:プレシディオ

 映画的な興奮に満ちた傑作です。その反面、あまりにヤバすぎておススメするのを
躊躇する映画でもあります。ヤバさの緊迫感、高いテンション、異様な盛り上がり。
心拍数がはね上がる。

 17人のプレーヤーが輪になって並び、隣の男の後頭部に銃口をつきつけ、いっせ
いに引き金を引く。ロシアン・ルーレット競技です。勝敗に大金を賭ける人たちが会
場に群がる。人命をゲームの駒にして一晩で億単位の金を動かすという、鬼畜の世界
です。

 米国メジャー映画なら絶対に手を出さない危ないテーマ。話の面白さを突き詰めず、
派手に飛んだり爆発したりのマンネリ映像を多用するメジャーとは対極にある。この
映画のように、脚本の面白さで見せるのが本来の映画の姿だ。

 クセ者俳優たちがそれぞれに正しい持ち場を与えられて存在感を発揮しているのも
嬉しい。プレーヤーの一人、ミッキー・ロークは憎めない悪党役を割り振られて、楽
しんで演ってるかのようだ。


 大金が必要になった主人公の青年(サム・ライリー)は、ゲームの中身を知らない
まま飛び込んでしまう。プレーヤー唯一のカタギの人間で、銃などさわったこともな
い。

 絶対にハッピーエンドにならないとわかるだけに、最後まで安心できない。案の定、
皮肉なエンドで、重たい後味を残す。


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◎ 映画雑話………  外国映画離れ
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 日本の映画興行の週末ランキングを毎週チェックしている。2日間の10位までの
リスト。やけに外国映画の影が薄いと感じ、本数を拾った。3本から5本。一年間の
平均では3.725本。おおよそ三分の一。

 これは本数なので、興行成績の数字はこの比率にならない。しかしこのぶんでは今
年、興行で日本映画が外国映画を上回りそうだ。自国の映画がマーケットで過半数の
成績を記録するのは米国・インド・日本以外にほとんどありません。

 日本の場合、外国映画の興行比率は年によって浮き沈みがあって、半数を超えたり
下回ったりしている。近年は半数を割り込むことが多くなった。原因として若い年齢
層の外国映画離れが指摘されている。わかりやすく言うと、若い人はテレビに出てる
タレントを観に映画館へ行く。顔になじみのない人ばかりの外国映画は観ない。外国
映画を観るのは主に中高年、ということになる。

 こんなところにも若い人たちの内向き志向が出てるのか。知ってる人や知ってる世
界ばかりじゃなく、知らないものにも興味を持ってほしいと思うんだけど。それもア
メリカばかりじゃなく、アジア・アフリカ・ラテンアメリカなどにも少し目を向けて
ほしいなと思う。


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◎ これはとにかく観ておこう、という映画
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 前号の『テンペスト』紹介で、主演をティルダ・スウィントンと書いてしまいまし
た(苦笑)。何を見て書いたのか不明ですが、ヘレン・ミレンだったような気がしな
がらも、確認せずに流してしまいました。ヘレン・ミレンが正解です。


『スーパーエイト SUPER 8』
 6月24日全国公開 2011年度作品  監督:J・J・エイブラムス
   出演:カイル・チャンドラー、エル・ファニング、ロン・エルダード、ノア・
      エメリッヒ、ほか
   配給:パラマウント

 製作のスピルバーグは体質的に合わないし、監督は過去にたいしたものを作ってな
いみたい(一つも観てない)。けど、これは大当たりの感触がある。8ミリのカメラ
で偶然とってしまった映像に映った◯◯◯◯◯。チラシには「この秘密は誰にも話し
てはいけない」なんて書いてあるけど、秘密というほどのもんかな。


『ハンナ』
 8月27日全国公開 2011年度作品  監督:ジョー・ライト
   出演:シアーシャ・ローナン、エリック・バナ、ケイト・ブランシェット、他
   配給:ソニー・ピクチャーズ

 またしても、仕立て上げられた少女殺人兵器もの。『つぐない』や『ラブリーボー
ン』のシアーシャがその少女。殺された少女は今度は殺す番です。この手のエッジの
立ちまくった映画は日本の興業ではことごとく不入りになる。主演が地味顔というだ
けで「またしてもだめ」が読めるのが悲しい。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 『マイ・バック・ページ』は自分の青春時代とはなんの接点もなく、退屈しながら
観ていました。観終わってから自分の今の状況に共通点があることを発見。

 この映画は学生運動や過激派を描くのが主眼ではありません。ニセモノ人間と、そ
いつにたぶらかされて利用された間抜けな若者の物語です。ニセモノ人間というやつ
は、過大な像を自分に投影し、他人と自分を偽ってしまう。過大な自己像を正当化す
るため、周囲を巻き込んでニセモノの王様になる。

 この梅山(松山ケンイチ)というやつがどういう自己像を持っていたのかはわから
ない。映画では一人、沢田(妻夫木聡)の先輩記者のみがニセモノと喝破していた。
もっと目をよく見開き、見抜かなければいけない。


「ボツ画供養塔」6.5『霧の中の風景』
「船越屋画廊」6.4『闇の奥の風景』
「変神探訪」6.3「霊源寺(大国教会、慶昌院)」
「CINEMAテーブル総索引」5.25
「長岡京市の裏百景」5.23「小泉川の目玉岩」
「五番組の催し案内」5.23  6月の「探偵団」企画
「新曲のページ」5.18 『音階うた』
「Jエスニックのページ」5.12 新規ページ
「長岡京市の裏百景」5.9「O157のお店」

『マイ・バック・ページ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ぜんぜん入れない
『ロシアン・ルーレット』‥‥‥‥‥‥‥映画的興奮に満ちた怪作
『赤ずきん』‥‥‥‥‥‥‥ネタばれしないが伏線がないのは反則
『クロエ』‥‥‥‥‥‥‥‥おそろしく早くネタばれしてしまった
『神々と男たち』‥‥‥‥‥‥悪い映画ではないが、しんきくさい
『アジャストメント』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥SFサスペンスの秀作
『大木家のたのしい旅行』‥‥‥‥‥‥‥‥今年の失敗映画第一号
『ブラックスワン』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥想定の範囲内
『ナンネル・モーツァルト』‥‥‥‥‥‥どっぷりのめりこみ状態
『阪急電車』‥‥‥‥‥‥‥‥‥テンポが悪くてストレスがたまる
『アンノウン』‥‥‥‥‥‥‥‥切れのいいサスペンス映画を堪能
『八日目の蝉』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥女優たちの存在感が圧倒的
このあとは『ハンナ』に期待
 

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Contents
 ・『センチュリオン』
 ・田中好子

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◎ 公開中の新作から……… 『センチュリオン』  2010年度作品
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 監督:ニール・マーシャル
 出演者:マイケル・ファスベンダー、ドミニク・ウェスト、リーアム・カニンガム、
オルガ・キュリレンコ、イモージェン・プーツ

 傑作サスペンスの『アンノウン』でメルマガを発行すべきところを、ついじゃまく
さがってサボりました。『アンノウン』は必見です。『ナンネル・モーツァルト 哀
しみの旅路』も紹介したかったが、これは個人的な好みだったかも。

 今回取り上げる『センチュリオン』は日本で劇場未公開。DVDで観ました。セン
チュリオンcenturionというのは古代ローマ帝国の百人隊長。主人公は百人隊長です。
舞台は紀元後117年の英国ブリテン島。北部のスコットランドが主な舞台です。

 ブリテン島に派遣されていたローマ帝国精鋭の第9軍団に関する記録が、2世紀の
初め頃にふっつり途切れている。なぜ消えてしまったのか。そんな謎から物語が始ま
る。同じテーマを扱った傑作小説に『第九軍団のワシ』(ローズマリ・サトクリフ、
岩波書店)がある。少し似てるが映画はオリジナルのストーリーです。

 監督は『ディセント』や『ドゥームズデイ』といった切れ味のいいアクション系の
娯楽映画を作った人。映像の質が高いので劇場で観たかった。

 第9軍団は地元民族のピクト人にはめられ、最初のほうであっさり壊滅と、あっけ
ない。わずかに残った兵が必死で逃げるのをピクト人たちがしつこく追ってくる。

 ピクト人というのはスコットランド人の先祖筋にあたるケルト系民族です。カレド
ニア人とかスコット人とか、いろいろ言い方があるようです。戦闘に赴くときに青い
塗料を顔に塗ります(『キング・アーサー』でもそうだった)。それがピクトという
言葉のもとになっている。英語のpictureです。

 ピクト人は敵役ですが、ワルとして描かれるわけではありません。彼らは侵略して
くるローマ帝国人の残虐で卑劣な行為に憎しみを抱いてるのです。明確にローマ帝国
側をワルに描いていて、翻弄されて第9軍団が犠牲になる。

 ローマ帝国は、占領地の民を徴用して新たな植民地へ送り込むというやり方で帝国
を拡大していました。第9軍団はイベリア半島(スペイン辺り)から徴用されてます。

 建造が始まったばかりのブリテン島版の万里の長城、ハドリアヌスの長城が登場す
るなど、歴オタ狂喜な映像もあり。男ばかりの中、オルガとイモージェンの英国美人
が華を添えるのもみもの。観て損はない映画と思うぞ!


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◎ これは興味をそそられる、という映画
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『テンペスト』
 6月4日京都公開 2010年度作品  監督:ジュリー・テイモア
   出演:ティルダ・スウィントン、ほか
   配給:東北新社

 シェークスピアです。大公がジョン・ギールガッド版の『プロスペローの本』も観
ましたが、これは女優のティルダ・スウィントンが大公です。プロスペローではなく
プロスペラ大公。ヘレン・ミレン同様、最近は英国のベテランの活躍が目立つ。


『ラスト・ターゲット』
 公開日未定 2010年度作品  監督:アントン・コービン
   原作:マーティン・ブース『暗闇の蝶』
   出演:ジョージ・クルーニー、ヴィオランテ・プラシード、ほか
   配給:角川映画

 クルーニーが引退した殺し屋で、請負仕事の関係で事件に巻き込まれていく、とい
う話。予告篇映像を見ただけなんだけど、なかなかキレのいい映像で、そそられる。
あとの配役、ぜんぜん知らん人ばかりだけど。


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◎ 映画雑話………  田中好子さん
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 年末に高峰秀子、4月は田中好子。大物女優が相次いで亡くなった。高峰秀子は追
悼の回顧特集上映があったが、田中好子の特集は難しい。格が違う。

 田中好子の映画は『黒い雨』『鉄道員(ぽっぽや)』『明日への遺言』といったA
級の映画よりも、『土佐の一本釣り』『サラリーマン専科』『真夜中のボクサー』と
いったB級のほうが印象深い。こういう機会でもなければ再見できない映画ばかりな
ので、なんとかやってほしいと思うのだが。

 引退した高峰秀子とちがい、田中好子は現役。まだまだ活躍できたと思うだけに、
惜しい。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 下の署名欄にあるように「CINEMAテーブル総索引」をサイトに載せました。
利用される方はご自由に。メール以外にはどこにもリンクされていません。


「CINEMAテーブル総索引」5.25
「長岡京市の裏百景」5.23「小泉川の目玉岩」
「五番組の催し案内」5.23  6月の「探偵団」企画
「新曲のページ」5.18 『音階うた』
「Jエスニックのページ」5.12 新規ページ
「長岡京市の裏百景」5.9「O157のお店」
「新曲のページ」5.2 『JRvs.阪急 遮断機対決』
「じべたでひろたもん」4.20「白い傘」

『アジャストメント』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥SFサスペンスの秀作
『大木家のたのしい旅行』‥‥‥‥‥‥‥‥今年の失敗映画第一号
『ブラックスワン』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥想定の範囲内
『ナンネル・モーツァルト』‥‥‥‥‥‥どっぷりのめりこみ状態
『阪急電車』‥‥‥‥‥‥‥‥‥テンポが悪くてストレスがたまる
『アンノウン』‥‥‥‥‥‥‥‥切れのいいサスペンス映画を堪能
『八日目の蝉』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥女優たちの存在感が圧倒的
『エンジェルウォーズ』‥‥‥‥TVドラマ並みの吹替にげっそり
『ザ・ファイター』‥‥‥‥‥実話映画ゆえの歯切れの悪さが出た
『SOMEWHERE』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥巨匠の芸術映画?
『塔の上のラプンツェル』‥‥‥‥‥‥‥映像の厚みがすばらしい
『ザ・ライト エクソシストの真実』‥‥‥地味だけど面白かった
『わたしを離さないで』‥‥淡々と進行する悲劇に胸ふさがる思い
『ランナウェイズ』‥‥‥絶賛!クリステン・スチュワート最高!
このあとは『七つまでは神のうち』に期待
 

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 極 ┃     ┃ ┃      ┃
 楽 ┃ ┏━━━┛ ┃ ┏━━━━┛2011.5.2
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Contents
 ・『八日目の蝉』
 ・ニューフェイス女優篇

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◎ 公開中の新作から……… 『八日目の蝉』  2011年度作品
───────────────────────────────────────
  ※「蝉」は異字体
 監督:成島出
 原作:角田光代
 出演:井上真央、永作博美、渡邉このみ、小池栄子、森口瑤子、田中哲司、市川実
    和子、劇団ひとり、風吹ジュン、平田満、余貴美子、田中泯、ほか
 配給:松竹

 サスペンス映画じゃないんですが、その要素もあります。ストーリーの核心部分に
も多少触れます。気になる方は観るまで読まずに置いといてください。

 不倫関係の女が本妻の赤ん坊を奪って逃走する。4年逃げた末に逮捕される。女の
子は両親の元に戻る。

 4年の間、女は自分の娘として、最大限の愛情を注いで育てる。限られた期間でし
かないことを自覚してるから目一杯の愛情を注げるわけで、ごく普通の実の親ならそ
うもいかないのではないか。

 誘拐事件は一家のそれぞれに長く深刻な傷跡を残すが、娘の恵理菜一人にとっては、
必ずしも悪いことばかりじゃなかったのでは、と思う。偽母からの滅私で濃密な愛情
体験は恵理菜にとってマイナスとなっていない。

 とはいえ、4歳で自分を取り巻く世界が一変したことは大きなショックだ。自分の
名前すら変わってしまう。精神的な混乱は想像を超えるかもしれない。

 4歳の恵理菜を演じた渡邉このみが素晴らしい。最近の日本映画の子役はどれもす
ごい。20歳の恵理菜を演じたのは井上真央で、映画では彼女が主演となる。ラスト
シーンを除き、大仰な芝居をやらずにその場のシーンを支配する存在感は立派なもの
だ。将来の大物の気配が漂う。

 脇の俳優もそれぞれにいい。恵理菜の幼なじみを演じた小池栄子は相変わらず達者
だ。あるメルマガで「背中を丸めて生きている女」という的確な表現があった。最近
のキャラとは逆の人物に彼女をキャスティングしたセンスもいい。妹の市川実日子と
較べて影の薄かった市川実和子も、ここでは抑えた演技で好演している。

 20歳の恵理菜は偽母と再会しない。そのほうがありがたかった。恵理菜の両親は
16年のタイムラグをほとんど無視したかのように変わってないので、永作博美もま
た、老けメイクもなく同じような顔で出てくるんじゃないかと心配していた。思いき
り落ちぶれた顔して出てこられるのもまた、なんともありがたくなかったし、これで
よかった。


───────────────────────────────────────
◎ これはとても気になる、という映画
───────────────────────────────────────

 今年の映画はもともとラインナップが薄かったが、震災で公開中止や延期が相次い
だ。把握するかぎりでは15本にも及ぶ。中にはこれがどう災害と結びつくのかわか
らないものもある。「いま公開しても十分な収益を上げられないから」と、便乗延期
が横行してたという噂も聞く。

 観たい映画が激減したおかげで出費が大幅に少なくなりました。配給会社さんあり
がとうね、と言いたい。


『CHLOE クロエ』
 5月28日全国公開 2009年度作品  監督:アトム・エゴヤン
   出演:ジュリアン・ムーア、リーアム・ニーソン、アマンダ・セイフライド他
   配給:ブロードメディア・スタジオ、ポニーキャニオン

 非常に気になる心理サスペンス映画です。アマンダ・セイフライド(『マンマ・ミ
ーア!』のヒロイン)は今年、出まくりの感があります。6月10日公開の狼男映画
『赤ずきん』でも主演。ブレイク中の女優を見るという意味でも、要注目。


『キラー・インサイド・ミー』
 5月18日京都公開 2010年度作品  監督:マイケル・ウィンターボトム
   原作:ジム・トンプソン
   出演:ケイシー・アフレック、ジェシカ・アルバ、ケイト・ハドソン、ほか
   配給:日活

 これもサスペンスですが、異常心理ものといっていい。かなりヤバめな雰囲気があ
って思案中。


『素晴らしい一日』
 公開未定(東京は4月16日) 2008年度作品
   監督:イ・ユンギ  原作:平安寿子
   出演:チョン・ドヨン、ハ・ジョンウ、ほか
   配給:エスピーオー

 韓国のラブコメはベタすぎてたいていパスなのですが、これはからっとしていてシ
ニカルで、いい雰囲気です。主演の二人の作品経歴も水準が高く、「これは当たりだ
ろう」という感触があります。


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◎ 映画雑話……… ニューフェイス女優篇
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 フレッシュな顔が次々出てきて映画を彩ると、うきうきします。なに観ても似たり
寄ったりな顔ぶれで、組み合わせを変えてるだけは、つまらない。

 最近の個人的な赤丸急上昇株はキャリー・マリガン。『わたしを離さないで』での、
演技を超えた存在感が忘れられません。生存に対する諦念というものを初めて見た気
がした。そういうふうに作り上げられたコピー人間にも感情はある。けど、生きるこ
とをはなから諦めている。物悲しい。
 『17歳の肖像』と『ウォール・ストリート』は観ていません。助演では目立たな
いタイプのようで、『パブリック・エネミーズ』『プライドと偏見』『マイ・ブラザ
ー』ではどこに出てたのかさえ覚えていません。

 『ブラック・スワン』は、個人的にはナタリー・ポートマンの映画ではなく、ミラ
・クニスの映画です。初めてミラ・クニスを見たのはアクション映画の『マックス・
ペイン』。強い女というイメージがこびりついている。キャリー・マリガンとは対極
にあるキャラクターだが、強い女にも魅かれます。観てない『ザ・ウォーカー』でも
強そうだ。

 クリステン・スチュワートは『ランナウェイズ』と『パニック・ルーム』しか観て
ません。『パニック・ルーム』のときはまだ子供でした。『ランナウェイズ』の彼女
は素晴らしかったんです。『トワイライト』のシリーズも観ておきたいですね。

 今年急に出てきたという感のあるアマンダ・セイフライド。『マンマ・ミーア!』
のときは「これっきりかな?」と思ってたのに今年前半、主演作が日本で3本公開さ
れる。『CHLOE クロエ』『ジュリエットからの手紙』『赤ずきん』。華のある女優
で、この人も赤丸急上昇株。

 ほかにも大勢いるので簡単に紹介するにとどめます。『ジュノ』『インセプション』
『ローラーガールズ・ダイアリー』のエレン・ペイジ。『ウルフマン』『ヴィクトリ
ア女王 世紀の愛』『アジャストメント』のエミリー・ブラント。『それでも恋する
バルセロナ』『ザ・タウン』『フロスト×ニクソン』のレベッカ・ホール。『プレデ
ターズ』『ザ・ライト エクソシストの真実』『アイ・アム・レジェンド』『正義の
ゆくえ』のアリシー・ブラガ。『オーケストラ!』『イングロリアス・バスターズ』
のメラニー・ロラン。『メッセージ そして、愛が残る』『ハート・ロッカー』のエ
ヴァンジェリン・リリー。『プレシャス』『ミラーズ』のポーラ・パットン。『プロ
ヴァンスの贈りもの』『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』『エンジェルウ
ォーズ』『キャンディ』のアビー・コーニッシュ。『エンジェルウォーズ』のエミリ
ー・ブラウニング。そしてもちろん『キック・アス』『(500)日のサマー』のク
ロエ・グレース・モレッツも忘れてはならない。

 全員わかります? わかったら重度の映画ファンですよ。男優篇は、またそのうち
に(やる、かも)。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 パーティの日の3月13日、CINEMAテーブル執筆者の森田純夫さんが亡くな
られたことを後日知りました。2年前の6月に胃がんで手術をされていて、いっとき
は余命一年と宣告されながらも、快癒の方向に向かっていると言っておられたところ
でした。

 3年あまりのかかわりでした。その間、精力的に映画を観、評を書き、ここ2年は
中国新疆ウイグル自治区への旅行は控えてたでしょうけど、絵を描き、出展されてま
した。密度の濃い3年だったのではないでしょうか。


「新曲のページ」5.2 『JRvs.阪急 遮断機対決』
「じべたでひろたもん」4.20「白い傘」
「新曲のページ」4.11 『トゥリッピング Tripping』
「五番組の催し案内」4.7「自然  驚き  発見!」
「長岡京市の裏百景」4.5「新六斉橋のメジロ」
「船越屋新製品」3.28「スーパー防波堤」
「新編図解辞典・大誤解」3.14 新規追加
「CINEMAGEシネマージュ」3.13 パーティ終了
「出版案内ページ」3.13 ひょっこり通信
「壁紙ギャラリー」3.13「障子」
「ボツ画供養塔」3.8「顔」
「船越屋画廊」3.8 『文字盤』

『八日目の蝉』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥女優たちの存在感が圧倒的
『エンジェルウォーズ』‥‥‥‥TVドラマ並みの吹替にげっそり
『ザ・ファイター』‥‥‥‥‥実話映画ゆえの歯切れの悪さが出た
『SOMEWHERE』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥巨匠の芸術映画?
『塔の上のラプンツェル』‥‥‥‥‥‥‥映像の厚みがすばらしい
『ザ・ライト エクソシストの真実』‥‥‥地味だけど面白かった
『わたしを離さないで』‥‥淡々と進行する悲劇に胸ふさがる思い
『ランナウェイズ』‥‥‥絶賛!クリステン・スチュワート最高!
『毎日かあさん』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥しんみりしてしまう
『漫才ギャング』‥‥‥‥‥‥‥‥‥拾い物の秀作で爆笑しまくり
『トゥルー・グリット』‥‥‥‥‥‥‥‥‥あまりにも地味で当惑
『英国王のスピーチ』‥‥‥‥‥‥‥‥ドラマ、映像、音楽、満足
『モンガに散る』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥傑作です、台湾映画強し
このあとは『アンノウン』に期待
 

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 極 ┃     ┃ ┃ ┃┃ ┃
 楽 ┃ ┏━━━┛ ┃ ┃┃ ┃2011.4.1
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Contents
 ・『わたしを離さないで』
 ・『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』と『毎日かあさん』

───────────────────────────────────────
◎ 公開中の新作から……… 『わたしを離さないで』  2010年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:マーク・ロマネク  原作:カズオ・イシグロ
 出演者:キャリー・マリガン、キーラ・ナイトレイ、アンドリュー・ガーフィール
     ド、シャーロット・ランブリング、ほか
 配給:20世紀フォックス

 医療の画期的な進歩により、人類の寿命が驚異的に延びた「現在」という設定の物
語。不具合を起こした臓器を代替提供するためのコピー人間が大量に作られ、養育さ
れる。彼らは生かされる。日常生活では非人道的な扱いを受けてはいないが、必要に
なるときまで生かされている。

 この設定部分はチラシでも予告篇でも伏せられているが、オープンにして宣伝すべ
きだったと思う。映画の中ではかなり早い段階で語られている。肝になるドラマ部分
は極力書かないようにします。

 ドナー人間である若い男女。彼らは自らの行く末を知っている。オリジナルに臓器
を提供して消えていくだけの消耗品だと。介護士を志願してしばしの猶予期間を得た
キャシー(キャリー・マリガン)にも、ついに「赤紙」が届く。

 主演のキャリー・マリガンが素晴らしい顔を見せる。哀しみとも空しさとも諦めと
もつかないその顔は、ストーリーはまったく違うが『悪魔を見た』のイ・ビョンホン
のラストを思わせる。遠くを見つめている。地平線のかなたから何かが現われてくる
のを期待しているかのように。

 静謐で美しい映像の中で綴られる若者たちの悲劇が心を打ち、尾を引きます。原題
は"Never Let Me Go"。「わたしを離さないで」とは違うが、この邦題は悪くなかった
と思う。

 『ランナウェイズ』も取り上げたかったけど、公開からあまりにも日がたちすぎた
ので、断念。書きたいことは山のようにあったんだけど。


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◎ これはぜひとも、という映画
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『キミとボク』
 5月14日東京公開 2011年度作品  監督:窪田崇  原作:やまがらしげと
   出演:中村蒼、坂本真綾(声)、小林優斗、中村映里子、谷川昭一朗、、ほか
   配給:アーク・フィルムズ

 中村蒼クンとアメリカンショートヘア(子猫)との運命的な出会いとラブラブな日
々を描いている。ピュアなラブストーリー。予告篇映像を見てぜひとも観たくなった。
男子が中村蒼というのが絶妙です。
 大阪も5月に公開予定。しかし京都はまだ予定がありません。



『イリュージョニスト』
 ?月?日京都公開 2010年度作品  監督:シルヴァン・ショメ
   声の出演:、ほか
   配給:クロックワークス、三鷹の森ジブリ美術館

 フランスのアニメ。『ベルヴィル・ランデブー』の監督です。バンド・デシネの国
ですから、独特な映像センスでこだわりまくり。美しい映像。ノスタルジー色が濃厚。



『アンノウン』
 5月7日全国公開 ?年度作品  監督:ジャウマ・コレット=セラ
   出演:リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、ジャニュアリー・ジョー
      ンズ、エイダン・クイン、ブルーノ・ガンツ、ほか
   配給:ワーナー

 娘を奪還するために暴走する父親を描いたド派手なアクション映画、『96時間』
の続編。監督はピエール・モレルから変更になりました。ジャウマ・コレット=セラ
は『エスター』と『蝋人形の館』の監督です。これを書けば身を乗り出してくる方も
おられるかと。
 ちなみにタイトルは当初『行方不明』となっていました。


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◎ 映画雑話……… 『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』と『毎日かあさん』
───────────────────────────────────────
『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』
  監督:東陽一 原作:鴨志田穣
  永作博美(園田由紀)/浅野忠信(塚原安行)/藤岡洋介(息子)/森くれあ(娘)

『毎日かあさん』
  監督:小林聖太郎/原作:西原理恵子
  小泉今日子(西原理恵子)/永瀬正敏(鴨志田穣)/矢部光祐(息子)/小西舞
  優(娘)

 比較するつもりで観たわけじゃないけど、観終わったあと、あれこれ較べている。
もとは同じ話なんだから当然だが。

 『酔い』は配給がビターズ・エンドとシグロ。『毎日』は松竹。けど、ミニシアタ
ーっぽいのは松竹の『毎日』のほう。『酔い』のほうがウェルメイドな娯楽映画にな
っている。『毎日』はシリアスでリアルだ。

 『酔い』を観たときはそれほども思わなかったが、『毎日』を観たあと、『酔い』
の西原役、永作博美のリアクションに違和感がたちのぼった。夫にどんなひどい目に
遭わされても、常にニコニコしてて気味悪い。『毎日』の小泉が鬼の形相で怒鳴り、
鴨志田(永瀬正敏)の頭をひっぱたくのが納得いく。それぐらいの怒りでなければ表
現しきれないほど夫の行状はひどい。あの小泉のキャラに違和感を覚える人もいるだ
ろうが、僕はしっくりくる。

 子役の兄妹は両作品、甲乙つけがたい。大人の俳優を凌駕するほどの表現力で魅せ
る。日本映画も子役のうまい映画が増えた。どんなふうに演技づけしてるんだろう。


───────────────────────────────────────
 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
───────────────────────────────────────

 日本の俳優でも顔と名前が一致してない人が多いことに気づき、プライヴェートな
事典(年鑑)を作ってみました。写真と生年月日、名前の読みだけの簡単な事典です
が、重宝します。

 写真はグーグル画像検索を利用しました。それぞれ味のある風貌を的確に捉えた写
真を選び取るだけで一苦労ですが、いい顔が揃ってくると嬉しくなってくる。反面、
どうして俳優になったんだろうと思うほど没個性な人もいて、いい写真を拾えない俳
優もいる。

 私的利用なので著作権うんぬんは関係ないのです。ネット公開したり、本にして一
般に販売したりはしません。訴えられる可能性は限りなく小さくても、それはやっち
ゃいけないという気持ちはあります。

 なんとなく、美男美女を大勢はべらせて悦に入ってるだけの気もしますが。

 本日のテーマ曲はカーラ・ディロンの『フォルス・フォルス』、ということで。
http://www.youtube.com/watch?v=LjhCEhWiKXk


『わたしを離さないで』‥‥淡々と進行する悲劇に胸ふさがる思い
『ランナウェイズ』‥‥‥絶賛!クリステン・スチュワート最高!
『毎日かあさん』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥しんみりしてしまう
『漫才ギャング』‥‥‥‥‥‥‥‥‥拾い物の秀作で爆笑しまくり
『トゥルー・グリット』‥‥‥‥‥‥‥‥‥あまりにも地味で当惑
『英国王のスピーチ』‥‥‥‥‥‥‥‥ドラマ、映像、音楽、満足
『モンガに散る』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥傑作です、台湾映画強し
『悪魔を見た』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥気持ちが冷え込みすぎるー
『義兄弟』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥面白かったが記憶には残りにくい
『ヒアアフター』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ラストわからん
『信さん 炭坑町のセレナーデ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥心に響かず
『戦火の中へ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥質の高い映像で大満足
『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』かなりのツッコミ映画
『ハーモニー 心をつなぐ歌』‥‥‥‥なかなかの拾い物で、満足
『キックアス』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥傑作です、興奮状態です
『ザ・タウン』‥‥‥満足度は高いが、もうちょっと期待していた
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』‥個人的には面白かったが
このあとは『SOMEWHERE』に期待
 

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 極 ┃     ┃ ┃      ┃
 楽 ┃ ┏━━━┛ ┃ ┏━━┓ ┃2011.3.20
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No.┃      ┃┃      ┃不定期刊
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Contents
 ・『漫才ギャング』
 ・史実と実話
 ・13日のパーティ

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◎ 公開中の新作から……… 『漫才ギャング』  2011年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:品川ヒロシ
 出演者:佐藤隆太/上地雄輔/石原さとみ/綾部祐二/宮川大輔/成宮寛貴/金子
ノブアキ/大島美幸/大悟/西代洋/河本準一/フルーツポンチ(亘健太郎・村上健
志)/ 秋山竜次/長原成樹/新井浩文/笹野高史
 配給:角川映画

 今日は当初、『ザ・ライト エクソシストの真実』を観るつもりだったが、公開延
期となった。予定されてた同じ19日に公開された『漫才ギャング』に変更。大きな
期待を持ってなかったという枕詞つきだが、外れ1位の大当たりとなった。

 売れない漫才師(佐藤隆太)が相方にコンビの解散を告げられ、留置場で出会った
不良(上地雄輔)を相方としてスカウトするという話。佐藤隆太はいつもどおりのキ
ャラを生かして好演、というより、じつによくはまって、活き活きと演じている。ず
っとただの大根役者だと思っていた。彼のキャスティングは成功している。この映画
のキャストの成功は彼だけはないが。

 すべてのシーンを漫才スタイルで演出しようともくろんだのかと思いたくなるほど
ボケツッコミの連続で、笑いが絶えない。テレビを見ない(持ってない)ので初めて
見る顔が半分以上だが、みなキャラが立っててなじむのが早く、多数の人物が錯綜す
るわりに混乱はない。中でも取立屋の宮川大輔が、一人でボケてつっこんで一人で笑
ってて、そのテンポのよさに笑える。彼が話全体の中心軸になってたような気がする。

 舞台はどこなのかわからない。どう考えてもお笑いのかけあいで会話が進むなんて
大阪でしかありえない。城南電鉄わかば野駅なんてのが出てくるが、架空だった。

 笑いを中心に据えた若手漫才師の青春映画。この設定はありそうで、意外にもあま
りない。笑いも泣きも乱闘アクションもきっちり演出している。実を言うと泣きのシ
ーンでもキツいツッコミ入れるかもと、身構えてしまった(それはなかった)。


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◎ これはぜひ観たい、という映画
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『ランナウェイズ』
 ?月?日京都公開 2010年度作品  監督:フローリア・シジスモンディ
   原作:シェリー・カーリー
   出演:クリステン・スチュワート、ダコタ・ファニング、ほか
   配給:クロックワークス

 実在した十代の女性ロックグループの物語です。当初、ダコタ・ファニングがジョ
ーン・ジェット役だと勘違いしていて、「それは似てなさすぎるだろ」とつっこんで
いました。ジョーンはクリステン・スチュワート。似てます。ダコタはシェリー・カ
ーリー。それほどかけ離れてもいない。
 今のところ京都で公開される予定がない。これからの映画の中で、なんとしても観
たい数少ない映画だけに観逃したくないのだが。



『わたしを離さないで』
 3月26日全国公開 2010年度作品  監督:マーク・ロマネク
   原作:カズオ・イシグロ
   出演:キャリー・マリガン、キーラ・ナイトレイ、アンドリュー・ガーフィー
      ルド、シャーロット・ランブリング、ほか
   配給:20世紀フォックス

 純文学風ではなく、サスペンス風。少年少女たちがなぜそこに収容されているのか。
それはチラシを見るだけでおおよそ推測がついてしまうが、美しい予告篇映像の持つ
テイストと空気感に引き寄せられてしまう。



『ビー・デビル』
 4月23日京都公開 2010年度作品  監督:チャン・チョルス
   配給:キング・レコード

 今年は韓国映画に面白いのが揃っている。これはホラー。これも「そこまでやるか」
系の徹底した残虐映画の一つ、らしい。怖いもの見たさで。



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◎ 映画雑話………  史実と実話
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 最近観た映画にも、これから観る映画にも、史実と実話をもとにした映画が多い。

 12月に観た映画から挙げてみる。『ゲゲゲの女房』『武士の家計簿』『酔いがさ
めたら、うちに帰ろう。』『太平洋の奇跡』『ハーモニー 心をつなぐ歌』『セラフ
ィーヌの庭』『エクスペリメント』『アンストッパブル』『戦火の中へ』『英国王の
スピーチ』。

 これから観る、かもしれない映画。『冷たい熱帯魚』『ランナウェイズ』『アレク
サンドリア』『ザ・ライト エクソシストの真実』『ザ・ファイター』『アメイジン
グ・グレイス』『毎日かあさん』『ウッドストックがやってくる!』などなど。

 観ない興味ないのも挙げたらまだまだ出る。『孫文の義士団』みたいな荒唐無稽も
史実映画に含めていいのかな。『イップ・マン 葉問』は観れませんでした。

 「実話から」とか「史実をもとに」とか、紹介にはいろいろ書いてるけど、ほとん
どの映画は断片的な事実、もしくは大枠のみを引用し、あとの部分は創作です。過去
にあったことを想起し、ふり返る機会を与える意味では映画化は意義あります。しか
し結果として史実をゆがめて提示し、誤った認識を世間に広めていることにも注意す
る必要があります。

 そんなお堅いことは言うべきではない? 「ンなアホなー」「あるわきゃないやろ」
って、ツッコミ入れまくって楽しむのが本筋ですか。


───────────────────────────────────────
 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
───────────────────────────────────────

 こんなお気楽なメルマガを発行してる場合かという気もします。が、定例的なお悔
やみ文はここでは割愛させていただきます。

 ふと『生きているうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』(1985年、森崎東監
督、ATG配給)という映画を観たくなりました。原発の事故が間接的に描かれてい
るそうです。

 3月13日のパーティは、人数的には10人と、前回より1人増えただけなんです
が、前回よりもにぎやかに感じました。新しい顔ぶれが非常に多かったんですが、そ
のわりにはすぐとけこんで話題に加わっている人が多かったような。

 「パーティは何回目ですか」とくり返し聞かれたが答えられず。あとで数えました。
20回のアニバーサリーだったんですね。記念行事的なものは一切関心がないので、
知ってても何もしませんが。

 四条の名曲喫茶フランソアで毎月やってる映画の情報交換会みたいなもの(名称な
し)とこちらのパーティ(シネマージュ主催の映画ダベリングパーティ)は、どちら
も映画について語り合う会合だけど、カラーは大きく異なっています。

 フランソアでの話題は映画が主役で、ほとんど映画のことしか話しません。それに
対してシネマージュのほうの主役は各個人。各人のキャラクターや思いや個性が表に
出て、映画にからむ話が脱線しながらも転がっていく、という感じです。


「新編図解辞典・大誤解」3.14 新規追加
「CINEMAGEシネマージュ」3.13 パーティ終了
「出版案内ページ」3.13 ひょっこり通信
「壁紙ギャラリー」3.13「障子」
「五番組の催し案内」3.12 体験学習活動
「ボツ画供養塔」3.8「顔」
「船越屋画廊」3.8 『文字盤』
「長岡京市の裏百景」3.6「老ヶ辻歩道橋の夕陽」
「じべたでひろたもん」3.6「キャラベール」
「長岡京市の裏百景」2.4「奥海印寺ギャラリー」
「じべたでひろたもん」1.25「ぶなしめじ」
「船越屋新製品」1.16「画像加工ソフト ガバラス」
「新曲のページ」12.21『子猫のiPadゲーム』

『漫才ギャング』‥‥‥‥‥‥‥‥‥拾い物の秀作で爆笑しまくり
『トゥルー・グリット』‥‥‥‥‥‥‥‥‥あまりにも地味で当惑
『英国王のスピーチ』‥‥‥‥‥‥‥‥ドラマ、映像、音楽、満足
『モンガに散る』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥傑作です、台湾映画強し
『悪魔を見た』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥気持ちが冷え込みすぎるー
『義兄弟』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥面白かったが記憶には残りにくい
『ヒアアフター』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ラストわからん
『信さん 炭坑町のセレナーデ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥心に響かず
『戦火の中へ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥質の高い映像で大満足
『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』かなりのツッコミ映画
『ハーモニー 心をつなぐ歌』‥‥‥‥なかなかの拾い物で、満足
『キックアス』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥傑作です、興奮状態です
このあとは『ランナウェイズ』に期待
 

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 極 ┃     ┃ ┃      ┃
 楽 ┃ ┏━━━┛ ┃ ┏━━┓ ┃2011.2.8
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No.┃      ┃┃      ┃不定期刊
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Contents
 ・『キック・アス』
 ・ちょっと出すぎてないかこの俳優

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◎ 公開中の新作から……… 『キック・アス』  2010年度作品
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 監督:マシュー・ヴォーン
 出演者:アーロン・ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、クリストファー・
     ミンツ=プラッセ、ニコラス・ケイジ、ほか
 配給:カルチュア・パブリッシャーズ

 そっと自分の心の内だけにしまいこんでおきたくなる幸福感。でも、いい映画は多
くの人に観てもらいたい。

 Kick-Ass(ケツけっ飛ばせ)。スーパーヒーローに憧れるヘナチョコ男子高校生が
正義感に目覚め、弱いくせになりきりで無茶をやるうち、本当にヒーローになってし
まう。

 ダサいコスチュームで張りきるアーロン・ジョンソンもいいんですが、おそろしく
恰好よくアクションを決めるクロエ・グレース・モレッツにはひれ伏す思いです。美
少女タイプではなく、どっちかってえとコメディ系でしょあんた、てな顔と俊敏な動
きとの落差に魅せられる。この映画、モレッツさんにブッ飛んでしまえるかどうかが
評価の分かれ目と思います。


 「2」は制作中とか。ここで完結してもよかったんじゃないか。すでに興奮状態の
頂点を極めた気分だけに、スケールアップしただけの蛇足が出るのは勘弁してほしい。

 爽快な気分で劇場を出て、心はすでにキックアスなりきり状態。僕も悪党どもを見
つけ次第、ボコボコに・・・・してやられるほう、ですよね。


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◎ こいつはしっかりチェックしたい、というような映画
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 見ていて映画館へ行く気分が萎えてくるような劇場予告篇が多くてまいってしまい
ます。配給会社が不入りを願ってるわけもないのですが、魅力を伝えることができて
いない。魅力のない映画だから伝えることができないんでしょうか。
 それらの中で、数少ないながら魅力的なものもありますので、紹介。


『戦火の中へ』
 2月19日全国公開 2010年度作品  監督:イ・ジェハン
   出演:クォン・サンウ、T.O.P、ほか
   配給:角川映画

 朝鮮戦争の一コマ。韓国の男子高校生71人が北の大軍を前に孤塁を防御する物語。
韓国映画なのでメロドラマがからまるのは避けられないでしょうけど、この国の映画
は戦争やアクションものがうまい。


『トゥルー・グリット』
 3月18日全国公開 2010年度作品  監督:ジョエル・コーエン
   出演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ほか
   配給:

 ジョン・ウエインとキム・ダービーが主演した『勇気ある追跡』のリメイク。まだ
劇場予告はありませんので、ネット予告で見ました。元ネタがしっかりしてることも
あるんですが、『戦火の中へ』同様、センスのいいアクションが魅力的。


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◎ 映画雑話……… ちょっと出すぎてないかこの俳優
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 わけあって日本の俳優のデータを集めています。

 調べると、呆れるほど多くの映画に出演してる人が、意外に思うほどたくさんいる。
いいかげんうんざりするほど出てるよなの人から、こんなに出てたっけ?という人ま
でいろいろ。

 出まくりが目立つのは、もともとキャラが強く、なのに強引に目立とうとし、いつ
見ても同じ顔とキャラで代わり映えのしない人。要するに竹中直人ですね。出演作が
多いわりに目立ってないのは、個性が強くなく、出しゃばらず、映画のキャラクター
に溶け込んでいる人。例を挙げれば徳井優あたりか。この人も出まくってるんですけ
ど、印象が薄い。

 主演クラスでも麻生久美子や妻夫木聡、阿部寛、香川照之、加瀬亮、堺雅人、役所
広司、柄本明あたりは多いです。あまり出すぎると「またこの人か。俳優は日本でも
ほかにいくらでもいるだろうに」と思ってしまう。加瀬亮や堺雅人は最近になって特
に目立つ。とりたてて男前というわけでもないし、どうしてなんでしょう。

 谷村美月もけっこう多く出てますが、出すぎの印象はありません。これって贔屓目
かな? キャラははっきりしてるけど、映画の人物の中にしっかり入り込んでるせい
と思うけど。『行きずりの街』のような1シーンのみ登場でも、人物背景をきちんと
体現している。これってやっぱり贔屓目かな?

 まださほど出てないけど、これからブレイクするかな、という俳優を何人か。永山
絢斗、野波麻帆、西島隆弘、中越典子、城田優、鈴木一真、塩谷瞬、青木崇高、国仲
涼子。染谷将太や太賀などはすでにブレイクしてしまったと言っていいでしょう。

 出すぎではないのですが、富田靖子と原田知世といった、似てないはずなのにしば
しば混同してしまう俳優も多いです。左時枝と吉村実子とか。田山涼成と小木茂光は
いまだによくわかりません。


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 あとがきのかわりのあれこれ……… 
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 キネマ旬報ベストテンの予想はハズレが目立ちました。案外難しいもんですね。

『カラフル』や『おとうと』、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』がもれるとは予
想できなかった。外国映画のほうでも予想外なものが入り、『オーケストラ!』が外
れるなど、意外な結果が多々ある。

 他人の選考の予想ですから、予想外が当り前。賞や興業結果など予想するのは単な
る趣味です。


「長岡京市の裏百景」2.4「奥海印寺ギャラリー」
「じべたでひろたもん」1.25「ぶなしめじ」
「船越屋新製品」1.16「画像加工ソフト ガバラス」
「長岡京市の裏百景」1.14「勝竜寺前方後円墳」
「CINEMAGEシネマージュ」1.11 ダベリングパーティを企画
「長岡京市の裏百景」12.22「飛行船の係留地」
「新曲のページ」12.21『子猫のiPadゲーム』
「長岡京市の裏百景」12.12「竹間月(竹林の三日月)」
「ハーメルンの会」12.12 バンビオ「ライブ缶」参加
「長岡京市の裏百景」11.28「西山南部エリアのハイキングルート」
「じべたでひろたもん」11.25「サツマイモ」
「アイリッシュトラッドの世界」11.24 新規
「歩きMap」11.19「八幡市の男山コース」

『キックアス』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥傑作です、興奮状態です
『ザ・タウン』‥‥‥満足度は高いが、もうちょっと期待していた
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』‥個人的には面白かったが
『アイリス』‥‥‥ドラマがやや弱いが、アクションセンスは絶品
『アンストッパブル』‥‥‥‥‥‥‥‥‥感動した、娯楽映画の鑑
『森崎書店の日々』‥‥‥‥‥‥‥リアル世界の温かさに浸りきり
『海炭市叙景』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥映画の不機嫌な気分に拒絶感
『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』‥‥‥‥‥‥‥必見の秀作!
『エクスペリメント』‥‥‥‥‥‥‥‥‥娯楽的要素がなさすぎる
『エレクション 死の報復』‥‥‥‥大傑作の香港製マフィア映画
『その街のこども』‥‥‥‥‥‥ええなあ、この二人のコンビって
このあとは『トゥルー・グリット』に期待
 

   ┏━━━━━┓ ┏━━━┓
 極 ┃     ┃ ┃   ┃
 楽 ┃ ┏━━━┛ ┗┓  ┃2011.1.5
 n ┃ ┗━━━━┓ ┃  ┃
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No.┃      ┃┃    ┃不定期刊
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Contents
 ・『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』
 ・やせ細る映画街

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◎ 公開中の新作から……『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 2010年度作品
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 監督:東陽一  原作:鴨志田穣
 出演者:浅野忠信/永作博美/藤岡洋介(子役)/森くれあ(子役)/市川実日子
/高田聖子/利重剛/甲本雅裕/渡辺真起子/滝藤賢一/志賀廣太郎/北見敏之/螢
雪次朗/光石研/香山美子
 配給:ビターズ・エンド/シグロ

 観る予定じゃなかったんです。あまりに観るものがなさすぎで侘しくて、これなら
悪くなさそうだからと観たのが、大当たり。心に染み入る名作でした。

 前号でキネマ旬報ベストテン予想をしましたが、これを落としたのが恥ずかしい。
ベストテン入りすると断言できます。

 各種映画賞の中で演技賞の争いにもからみそうです。達者な演技者がひしめく中、
それでも目立つのが医師役の高田聖子。すでにあちこちで称賛されてはいるでしょう
けど、じつにフレッシュな医師像です。こなれた関西弁で患者の浅野忠信を圧倒して
いる。これ1本で助演女優賞もありかな、と思わせる。

 ほかにも挙げたい中堅やベテランもいるんですけど、演技賞争いに関わりなさそう
な森くれあの存在にも心打たれるものがありました。4歳ぐらいでどうやって演技づ
けをするんでしょう。シナリオは読めないし、映画の内容を理解してるはずもない。
なのに全身で心象をヴィヴィッドに表現している。この一年ほどの間に見たスーパー
子役たちの中でもいちばん幼く見えるだけに、不思議でなりません。


 内容についてはいつも通り、さらっと。カメラマンの鴨志田穣のアルコール依存症
治療の話です。深刻で重たい映画ではありません。意図的にすべてのキャラを明るめ、
ハイぎみに描いてます。鴨志田を浅野忠信が演じ、妻の漫画家を永作博美が演じる。
名前は変えてるが、漫画家は西原理恵子です。

 興味深かったのは浅野が入院する精神病院の描写。かなりのリサーチをしたと見え
て、月並みや固定観念を排したオリジナリティあふれる病院像を作ってくれている。
患者仲間の自治会組織のエピソードはどれも秀逸。脚本も監督の東陽一が書いてるけ
ど、久々に会心の当たりを飛ばしてくれて、嬉しいものがあります。

 これであと、エンドのテーマ曲がなければ傑作と太鼓判が押せたが。無粋なJポッ
プではなく、忌野清志郎なんです。それまでのタブラトゥーラの音楽が映画と相俟っ
て自分的にはしっくりきてただけに、ぶち壊しとまではいわないけど、違和感のある
歌でした。


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◎ 今回ばかりは絶対的な必見、という映画
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 劇場のラインナップが相変わらず薄いんですよ。前回までに挙げたもので強引にプ
ッシュしたいのがあるので、再度取り上げます。


『ザ・タウン』
 2月5日全国公開 2010年度作品  監督:ベン・アフレック
   出演:ベン・アフレック、レベッカ・ホール、ジェレミー・レナー、ブレイク
      ・ライブリー、ピート・ポスルスウェイト、クリス・クーパー、ほか
   配給:ワーナー

 今年前半の目玉。シリアスなサスペンスアクションです。評判が圧倒的なので、四
の五のいわずにとにかく観に行くことです。


『キック・アス』
 2月5日京都公開 2010年度作品  監督:マシュー・ヴォーン
   出演:アーロン・ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、クリストファー
      ・ミンツ=プラッセ、ニコラス・ケイジ、ほか
   配給:カルチュア・パブリッシャーズ

 こちらはやや個人的趣味の入った今年前半の目玉、というところ。同じアクション
でも脱力テイスト入りのお笑い系。いやいや個人的趣味などといわず、やはりこれは
必見というべきだろう。


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◎ 映画雑話……… やせ細る映画街
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 新作ラインナップが薄くなって、映画館へ行く間隔が延びました。半月近く行かな
いこともあります(それって、普通?)。シネコンの公開本数も減った。本数を2009
年と2010年とで比較してみましょう。唯一確認できるMOVIX京都のデータから。

 10月:18本→12本。11月:14本→6本。12月:10本→11本。
 12月は増えてますが、前年の正月興行は『アバター』や『カールじいさん』とい
うメガヒットがありました(『のだめ』もあったが)。今年の正月興行は見劣りしそ
う。11月の激減は19日公開の『ハリー・ポッター』の影響があったとはいえ、少
なすぎる。今年の秋以降、デカいヒットは『ハリー・ポッター』と『ヤマト』ぐらい
かな。

 僕の場合、「その映画を観たい」という気持ちがなければ映画館へ行きません(そ
れって、普通?)。読者にはおられないと思うんですけど、観たい映画がなくても映
画館へ足を運ぶタイプの方がおられます。なぜそんな(つまらないことがわかってる)
映画を観たのかと問うても、「他に観るのがなかったから」と言われる。それって理
由になってないって。

 毎日のように映画館で映画を観てる人は習慣で映画館へ行ってるんだと思う。他人
のライフスタイルなのでとやかく言うつもりはありません。スタンスが違いすぎるの
で、映画の感想を聞く意味はなさそうですが。

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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 2010年のCINEMAテーブル在庫は6部です。ご希望される方がありました
ら連絡をよろしく願います。

 春のパーティの予定をぼちぼちと考えてるのですが、今年の春は花粉症が手強そう。
時期をずらそうかなと思案したりもしています。いつも通りだと3月。会場を予定し
てるバンビオのバンケットは常にがら空き状態で、いつでもOK状態。まだ慌てなく
ていいかと、のんびり、しすぎています。


「長岡京市の裏百景」12.22「飛行船の係留地」
「新曲のページ」12.21『子猫のiPadゲーム』
「長岡京市の裏百景」12.12「竹間月(竹林の三日月)」
「ハーメルンの会」12.12 バンビオ「ライブ缶」参加
「長岡京市の裏百景」11.28「西山南部エリアのハイキングルート」
「じべたでひろたもん」11.25「サツマイモ」
「アイリッシュトラッドの世界」11.24 新規
「歩きMap」11.19「八幡市の男山コース」
「長岡京市の裏百景」11.13「清一郎弘安自転車単車預り所」
「出版案内ページ」11.13 CINEMAテーブル発行

『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』‥‥‥‥‥‥‥必見の秀作!
『エクスペリメント』‥‥‥‥‥‥‥‥‥娯楽的要素がなさすぎる
『エレクション 死の報復』‥‥‥‥大傑作の香港製マフィア映画
『その街のこども』‥‥‥‥‥‥ええなあ、この二人のコンビって
『セラフィーヌの庭』‥身につまされるリアルなアーティスト世界
『ロビン・フッド』‥‥‥‥‥‥‥リアルな時代劇を堪能しました
『黒く濁る村』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥長すぎて話の腰がふらつく
『パラノーマル・アクティビティ第2章』ホラー映画の隠れた秀作
『行きずりの街』‥‥‥‥‥‥‥‥‥期待せずに観ればそれなりに
『ラスト・ソルジャー』‥‥‥J・チェンのプロ根性の見える秀作
『クロッシング』‥‥‥‥‥‥‥‥傑作!だけど、個人的趣味かも
このあとは『キック・アス』に期待
 

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