CINEMAテーブルのページ |
![]() |
毎年、CINEMAテーブルという小冊子を発行しています。冊子の体裁での発行は1991年からです。 |
内容見本(他の参加者の了解を得ていないので、僕自身の評のみ、それも一部だけ) | |||
タイトル | 監督 | 船越の評価 | |
Arc アーク 2021年 | 石川慶 | 4点 現代から今世紀後半、そして来世紀までピョ〜ンと飛んでいくストーリー。言葉ではなく行動で示しなさいと寺島しのぶは言うのだが、映画は言葉で説明し続ける。永遠の生命を得ることは人にとって幸せなことなのかと、この映画が問いかけることもセリフで問うている。どの役者も感情を伝えないロボット。〔船〕 | 人類で初めて永遠の命を得た女性 芳根京子、岡田将生 |
アーミー・オブ・ザ・デッド 2021年 | ザック・スナイダー | 8点 主演のデイヴ・バウティスタがなんともいい面構えで、それだけで観る気になった。実際いい動きで、60歳とは思えない。抗いようのない身内の死に対する悲しみが全編貫かれているように感じ、他のゾンビ映画とは同列には扱えないものがある。[Netflix]〔船〕 | ゾンビの大量発生で外界から隔絶されたラスベガスから現金回収 真田広之 |
アーミー・オブ・シーブズ 2021年 | マティアス・シュヴァイクホファー | 7点 終わってから主演が監督と知った。このあとに『アーミー・オブ・ザ・デッド』につながるという、前日譚。別個の映画と思って観るべきと思う。[Netflix]〔船〕 | 難攻不落の三つの金庫に挑む泥棒たち |
アイアムアヒーロー 2016年 | 佐藤信介 | 8.5点 ゾンビものアクションとしては(世界で)トップクラスの出来栄え。好きでなかった主演の大泉洋に入れ込む。すでに日本(世界も?)は壊滅状態に近いだろうから、映画の中で生き残ったって、その後は相当厳しいでしょうけど。前日譚映像もいちおうは観た。こちらは特にどうということもなし。[YouTube]〔船〕 | ウィルス感染した元人類と戦う 長澤まさみ、有村架純 |
アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 2015年 | ギャヴィン・フッド | 6点 終盤まで緊迫感が続く。だがストーリー設定は感心しない。英国がケニヤ人少女一人のために攻撃を躊躇する。ありえない。傷ついた少女一人を、過激組織の兵士たちが兵器を放り捨ててまで病院へ搬送する。ありえない。〔船〕 |
無人機からテロリストを爆殺 ヘレン・ミレン、アラン・リックマン |
アウトポスト 2019年 | ロッド・ルーリー | 7点 リアルな戦場シーンに満足感は大きい。戦闘でない日常シーンもリアルだ。と思っていたが、戦闘が終わって、戦死した米軍兵士の人数に違和感が。1桁。圧倒的に不利な位置関係から、圧倒的な戦力で急襲され、で、結果は圧勝。これって盛りすぎてない?〔船〕 | 2009年アフガニスタンで圧倒的多数のタリバン兵に囲まれた米軍基地 |
茜色に焼かれる 2021年 | 石井裕也 | 6点 老人施設にオンラインで配信する尾野真千子の一人アングラ芝居。客観的な視点として、配信先の老人や職員の呆然リアクションがほしかった。独り善がりを作り手は理解しないのか。映画全体を通じて険悪な空気が漂う。〔船〕 | 7年前に夫を亡くし、母子家庭に 片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏 |
悪女 AKUJO 2017年 | チョン・ビョンギル | 8点 韓国映画ならではの体を張ったアクション。長回しのまま、主演女優がノースタントでハードなアクションをこなす。バイクチェイスしながらの乱闘はさすがにスタントだろうけど。韓国版のニキータは情が深い。けっして悪女ではありません。〔船〕 | キム・オクピン、シン・ハギュン |
悪人伝 2019年 | イ・ウォンテ | 8点 主演3人の存在感で映画のグレードがぐっと上がる。容疑者を殺人犯と断定する物的証拠がないという設定はおかしい。本人の血液がどんなに少量でも照合は可能なのだから。[Netflix]〔船〕 | マ・ドンソク |
悪魔はいつもそこに 2020年 | アントニオ・カンポス | 7点 話がバラバラのまま大量の登場人物で沈没しかけた。トム・ホランド演じる若者を中心にしてすべてがつながってるとわかって、ついていけた。米国の地方都市というのはそんなにも暗黒世界なのかね。[Netflix]〔船〕 | ロバート・パティンソン、ライリー・キーオ、ジェイソン・クラーク、ミア・ワシコウスカ |
朝が来る 2020年 | 河瀨直美 | 8点 前半の夫婦と養子のエピソードでちっとも乗れず。出産のための施設シーンでドキュメンタリ調になったとたん、ぐっと引き寄せられる。この映画で主演はどう見ても蒔田彩珠。なのに助演女優賞なんて、おかしいよな。[Netflix]〔船〕 | 辻村深月原作 浅田美代子、永作博美、井浦新、山下リオ |
アジアの天使 2021年 | 石井裕也 | 8点 日本語と韓国語。相互コミュニケーションがとれないロードムービー(オダギリジョーはいちおうバイリンガル設定)。池松壮亮の息子役の子役、佐藤凌がこの映画の中心軸になっていると感じた。8歳だと。たいしたものだ。天使が登場する。世界の映画史上最もブサイクな天使だと断言できる。〔船〕 | 人生うまくいかない日韓6人の道行き チェ・ヒソ、芹澤興人 |
明日の食卓 2021年 | 瀬々敬久 | 6点 一本の映画に詰め込みすぎた印象。しかも一本調子。この映画を若い女の人たちが観たら、子供作るの諦めそう。〔船〕 | 石橋ユウを殺害した母親 菅野美穂、高畑充希、尾野真千子 あしたの〜 |
アダム&アダム 2022年 | ショーン・レヴィ | 8点 ライアン・レイノルズのキャラに当て書きされたかのような主人公。本人の少年時代との凸凹コンビのなりたちも含め、シナリオがよくできている。少年のウォーカー・スコベルのキャラもひねりが効いてていい。[Netflix]〔船〕 | <30年前に戻って改変された過去を修正しようとする男/td> |
アド・アストラ 2019年 | ジェームズ・グレイ | 6点 悲惨なほどだるい。巨額の予算を投じた意味があるのか。結局はチマチマした父親と息子の話に収斂するのだから。リヴ・タイラーはどのシーンも、顔が鮮明に映らないようにしていた。ワケあり、かな?〔船〕 | ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ |
ANNA アナ 2019年 | リュック・ベッソン | 7.5点 ベッソンは今では本命ならず、もはや「穴」かと、あまり期待せずに観た。それが幸いし、かなり楽しんで観られた。展開に少々穴もあるが、つまずくほどでもなかった。〔船〕 | 切れ者の女殺し屋 サッシャ・ルス、ヘレン・ミレン |
アナイアレイション 全滅領域 2018年 | アレックス・ガーランド | 7点 シマーの正体についてどこまで考えて作ってるか、疑問。で、ラスト、あれ、なんよ。あのあとどうなんのよ。[Netflix]〔船〕 | 突如現われた未知のゾーン ナタリー・ポートマン |
あのこは貴族 2021年 | 岨手由貴子 | 8.5点 上級階級の女と下層階級の女とが一人の男を通じて出会い、飛躍する。岨手(そで)さんの映画は『グッド・ストライプス』とこれ、2本しか観てないけど、人を描くことに秀逸なものがある。気持ちが高まって爆発寸前。〔船〕 | 山内マリコ原作 門脇麦、水原希子、高良健吾、石橋静河、山下リオ |
ある男 2022年 | 石川慶 | 8点 細かい配役にいたるまで神経が行き届いてる感じで、安心して観ていられる。『嘘を愛する女』を思わせる設定だが、こっちのほうが格段に上。『罪の声』を思わせる部分もあるが、そこまでの密度はなかった。〔船〕 | 3年と9か月一緒に暮らした男は誰だったの? 窪田正孝、安藤サクラ、妻夫木聡 |
アンネ・フランクと旅する日記 2021年 | アリ・フォルマン | 9点 傑作だが、メルマガ紹介で書いたからくり返さない。フォルマンの前の映画『戦場でワルツを』は印象的なシーンでショパンのワルツ7番を使っていた。この映画ではショパンの夜想曲の7番。べつに意識してるわけじゃないんだろうけど。〔船〕 | アンネのイマジナリーフレンドが現代に出現する |
アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場 2017年 | アク・ロウヒミエス | 9点 戦場に叩き込まれた気分。フィンランド人なら人ごとじゃないので激しく心揺さぶられただろう。涙なくしては見れないだろう。カレリア地方の大半は今もロシア領だと、あとで調べて知った。ロシアの自治共和国だった。ここはフィンランドだろう。〔船〕 | フィンランドの対ソ戦争 |
イカゲーム 2021年 | ファン・ドンヒョク | 8.5点 『カイジ』のパクリだという批判は侮りすぎ。見る者の良心を突き刺す秀逸なストーリーがある。『カイジ』にそんなものあるか。脚本や演出の力技をこそ見るべき。俳優で強い印象を残したのは、ほぼ新人といっていい二人の若い女優、チョン・ホヨンとイ・ユミ。[Netflix]〔船〕 | 大金に命を賭けるサバイバルゲーム イ・ジョンジェ、パク・ヘス、コン・ユ |
イカロス 2017年 | ブライアン・フォーゲル | 8点 トーマス・バッハが登場する。クロと決まったロシアの国家ぐるみのドーピングに対し、シロと言いくるめてオリンピックに復帰させる。さもありなん。ロシア政府の厚顔無恥な言い草もまた。[Netflix]〔船〕 | ロシアの国家主導のドーピングを追い詰めるドキュメンタリ |
生きてるだけで、愛。 2018年 | 関根光才 | 8点 トータルとして好きな映画。脇役でも目立つ趣里がここでは主演全開でぶっ飛んでいる。対する菅田将暉は「動」に対する「静」で、立ち位置が難しい。仲里依紗が面白い役どころを楽しそうにやっている。まるで地のまま。〔船〕 |
本谷有希子原作 田中哲司、西田尚美、松重豊、石橋静河、織田梨沙 |
1917 命をかけた伝令 2019年 | サム・メンデス | 7点 カットを割らずに続けるから、間を持たせるための四苦八苦が露骨に見える。飛行機があるのだから、メッセージを投下すれば伝令より確実な気がするのだが。〔船〕 | 攻撃停止命令を届ける二人の兵士 |
1987、ある闘いの真実 2017年 | チャン・ジュナン | 9点 リアリティを損なう演出で残念な出来の『タクシー運転手』と同傾向なので懸念したが、上質の娯楽映画に仕上がっていた。人権も民主主義もない独裁社会。そっちの方向へフラフラ向かっている国が今ある。国民が自分の頭で考えなくなると、口先ばかりの独裁元首が立ち現われる。最後に「アレ?あんた主演じゃなかったの?」という人が出てくる。〔船〕 |
拷問死を隠蔽する公安 ハ・ジョンウ、ユ・ヘジン、キム・テリ |
1秒先の彼女 2020年 | チェン・ユーシュン | 8点 ラブコメでSFでミステリー。おまけに一部ファンタジー。てんこ盛りの内容で、本筋と関係なさそうなあれこれの小ネタにも目配りを忘れず。主演のリー・ペイユーが絶好調で、ラストまで引きずり回された。一日が消失する設定部分で明白な矛盾を見つけた。と思ったら、きっちり矛盾を回避するひねりを入れていた。〔船〕 | バレンタインデーの1日の記憶がない |
イット・カムズ・アット・ナイト 2017年 | トレイ・エドワード・シュルツ | 5点 重苦しく救いがない。暗い話で、主人公の自業自得。ホラー映画でも娯楽映画でもなかった。[Netflix]〔船〕 | ウィルス蔓延を逃れて森に住む一家 ジョエル・エドガートン、ライリー・キーオ |
犬は歌わない 2019年 | エルザ・クレムザー、レビン・ペーター | 8点 最初、役者犬が野良犬を演じてるのかと思った。が、演技では無理なシーンが続いて、純粋に野犬のドキュメンタリだとわかった。メイキング映像でも確認。演技と思ったのは、犬たちが撮影班や撮影機材を完全に無視し、1メートル以内に近づいても見ようとしないから。そこに至るまでの入念な準備があったからだと思う。〔船〕 | 宇宙に飛び立った犬たちとモスクワを徘徊する犬たち |
命みじかし、恋せよ乙女 2019年 | ドーリス・デリエ | 5点 樹木希林が『ゴンドラの唄』を歌っている。黒澤明が志村喬に歌わせたことで世界的に有名になった歌。志村はミュージカル(『鴛鴦歌合戦』)でも華麗にこなすほどの力量があったが、樹木の声は弱々しい。樹木の遺作だが、すでに死相が漂っている。[Netflix]〔船〕 | 人生にゆきづまったドイツ人男性を一人の日本人女性が訪れる |
THE INFORMER 三秒間の死角 2019年 | アンドレア・ディ・ステファノ | 8点 FBIとNY市警。縦割り組織が重複してマフィアに潜入し、無駄を生んでいる。ロザムンド・パイク映画にはハズレなし。でも、今年の出演作に大当たりもなかった。顔つきから見て、冷酷な役柄が合いそうなんだが。〔船〕 | 麻薬組織に潜入 ジョエル・キナマン、コモン、アナ・デ・アルマス いんふぉーまー〜 |
インフル病みのペトロフ家 2021年 | キリル・セレブレンニコフ | 8点 映画を理解することは観る前すでに諦めている。ロシアという国のずさんさをあばいてるような気も。後半に出て来た若い女は、映画の中でどういう位置づけなのか、さっぱりわからず。いかにもロシアっぽい音のバヤーンという楽器がこんなにも多用されるの、『聖なる鹿殺し』以来。〔船〕 | インフルエンザが蔓延する2004年のロシア |
ウィッチ 2015年 | ロバート・エガース | 8点 どいつがワルかというミステリー的な興味もあったが、伏線がほとんどなくて先が見えん。悲惨なストーリーで、目は釘づけ。ヒロインのアニャ・テイラー=ジョイは『スプリット』よりもこちらが格段に魅力的。要注目の女優。〔船〕 | 狂信的な男の一家で、赤ん坊が神隠しに |
ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 2021年 | ジョー・ライト | 6点 サスペンスなのに展開が妙に重たい。ネタバレの中心部分は途中でバレてる。考えさせるスキを与えてるのがいけない。猫アレルギーの件は伏線になってないよね。[Netflix]〔船〕 | 殺人を目撃した広場恐怖症の女 エイミー・アダムス |
嘘八百 京町ロワイヤル 2020年 | 武正晴 | 7点 ツッコミ・文句は多々あれど、今回は封印。この連作は脇の役者たちそれそれの持ち味を生かす映画だ。特に森川葵が秀逸。もっと映画に出てほしい。〔船〕 | 中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子、加藤雅也、友近 |
えいがのおそ松さん 2019年 | 藤田陽一 | 7.5点 原作を無視したシュールなファンタジー。感情移入など無理なほど悲惨な成れの果ての6つ子。エンドクレジット後に前半のさりげない伏線を回収している。そこで妙に感動![Netflix]〔船〕 | 大人になった6つ子たち |
エクストリーム・ジョブ 2019年 | イ・ビョンホン | 7点 抜けたおばかギャグとハードなアクションのギャップ。韓国のこの路線はなかなかイケる。〔船〕 | 張込みのために唐揚げ屋を営業する警察チーム リュ・スンリョン、シン・ハギュン |
エクス・マキナ 2015年 | アレックス・ガーランド | 8点 日本公開が決まる前から注目してた一作がついに京都公開。生身の肉体よりロボットの体のほうがエロいと感じさせるCGデザイン。デザインというものはこうでなくっちゃ。〔船〕 | ロボットは人を恋するか? アリシア・ヴィキャンデル |
SNS 少女たちの10日間 2020年 | バーラ・ハルポバー、ビート・クルサーク | 8点 エサを投げ入れたとたん、一斉にゴキブリが集結したみたいな映画。こういった輩は更生する可能性がないので、一生豚箱入りがよろしい。この映画が公開されただけでも犯罪者たちにとっては打撃だろう。顔が加工されてるといっても知人が見ればわかるし。〔船〕 | 18歳以上の女優を12歳に化けさせてSNSでおとりに |
エッシャー 視覚の魔術師 2018年 | ロビン・ルッツ | 8点 遊び心満載の映像が楽しい。できたらもう一度じっくり観たい。グラハム・ナッシュがエッシャーに電話した。「アーティストじゃなく数学者だ」と言ったそうな。たしかにアーティストとは対極にある人生とライフスタイルだ。〔船〕 | エッシャーのドキュメンタリ |
オールド・ガード 2020年 | ジーナ・プリンス=バイスウッド | 7点 痛すぎるバトルアクション。言葉と写真で語られるそれぞれの歴史の厚みを、現物の各メンバーから感じとれない。それなりの大物俳優を並べるべきだった。[Netflix]〔船〕 | 不死身の軍団 シャーリーズ・セロン、キキ・レイン |
オキシジェン 2021年 | アレクサンドル・アジャ | 8.5点 謎の密閉容器に缶詰状態で蘇生し、自分が誰かも何もわからないという設定。刻々と酸素が少なくなっていく中、懸命に生き残り&脱出をはかる一人の女性。何を書いてもネタバレになってしまう。撮影空間は小さなセット一つだけで、登場人物はほぼ一人。こんな低予算でも、脚本次第でいくらでも面白く作れるという一例。[Netflix]〔船〕 | メラニー・ロラン、マチュー・アマルリック |
オケ老人! 2016年 | 細川徹 | 8点 『がんばれ!ベアーズ』老人楽団篇とでもいうべきか。フランス映画の『オーケストラ!』ともどことなく響きあう。去年の『マエストロ!』も大好き。オーケストラコメディと相性がいいのかも。〔船〕 | 杏、笹野高史、左とん平、黒島結菜、坂口健太郎 |
オクジャ 2017年 | ポン・ジュノ | 7点 観てから知ったが、ポン・ジュノの映画は短編を除いて全部観ていた。これまで失敗作や不満な映画がなく、ほとんどが高いレヴェル。この映画は、俳優が元々のイメージの範囲内に収まる。映像に気をとられたのか、ストーリーが弱い。[Netflix]〔船〕 | スーパーピッグを巨大企業から守ろうとする少女 ティルダ・スウィントン、ポール・ダノ、アン・ソヒョン |
お父さんと伊藤さん 2016年 | タナダユキ | 8点 かなり久しぶりの上野樹里。予感はあったが低迷を脱して完全復活。というより、以前以上。円熟味がにじむ。勝手に主演女優賞に推しときますから。親子の和解に向かう話は苦手です。藤竜也演じる自己中老人が目をむいてがなる姿には嫌悪感を覚える。僕の父親からあんなふうに怒鳴られたことはないけど。〔船〕 | カップルの部屋に親父がころがりこむ 上野樹里、藤竜也、リリー・フランキー |
おとなの事情 スマホをのぞいたら 2021年 | 光野道夫 | 6点 スマートフォンをみんなにオープン!と決めても、いざかかってくると、全員が一瞬無意識のうちに隠そうとする。誰しも心に一抹のやましいものが…。米国のオリジナル版は観てないけど、本来はコメディのはず。あまりにも深刻になりすぎ。ゲスなやつをリアルに演じる田口浩正は、正真正銘のゲスに見える。〔船〕 | 東山紀之、常盤貴子、木南晴夏、鈴木保奈美 |
回帰 2022年 | アレハンドロ・モンティエル | 7点 以前観て気になりつつ短評を書かなかった一本。書くために観直しました。米国のサスペンスアクションとはひと味違った風味に惹かれる。アルゼンチン映画で、原題はヒロインの愛称のPipa。いい映画なのに『回帰』なんていうタイトルでは印象がぼやける。もったいない。[Netflix]〔船〕 | 田舎町に住む元警察官の所有地で死体が発見される |
海底47m 古代マヤの死の迷宮 2019年 | ヨハネス・ロバーツ | 7.5点 シリーズ第2作だと知らずに観ました。緊迫感一直線で押しまくる。食われながらも戦うヒロイン。満足したが、一年たったら全部忘れてるのかも。〔船〕 | 海底遺跡にホオジロザメが乱入 |
帰ってきたヒトラー 2015年 | デヴィッド・ベンド | 7点 事前アポなしでドイツ国家民主党などの本部を訪れ、アドリブで党首らと論争している。「どっきりカメラ?」なんていうリアクションでドギマギしてる政党関係者たちが面白い。街に出ると大うけで、ツーショットされまくり。全部ナマでアドリブ。ヒトラー役者が実物と似てないからこそジョークとして受けている。似てたら拒絶感あるはず。ヒトラーが一般大衆に受け入れられる傾向が見えるという紹介は誤り。〔船〕 | 死んだはずのヒトラーが現在に現われる |
“隠れビッチ”やってました。 2019年 | 三木康一郎 | 8点 『君は永遠にそいつらより若い』のキャラとのあまりの落差に愕然となる。ワルすぎ。佐久間由衣の振り切れた演技は賞賛に値する。[Netflix]〔船〕 | 男をその気にさせてはポイ捨ての女 村上虹郎、大後寿々花、森山未來 |
かそけきサンカヨウ 2021年 | 今泉力哉 | 6点 秀作になりそこね。セリフまわりの演出とセリフそのものがゆるすぎる。主演の志田彩良は若いのに堂々とした役者ぶりだ。絵の才能ありという彼女の絵が、才能ゼロの鈴鹿央士より明らかにヘタなのは、何かの冗談か。サンカヨウの花の現物はまだ見たことない。〔船〕 | 父の再婚で義母と妹が家族に加わる 井浦新、菊池亜希子、西田尚美、石田ひかり |
勝手にふるえてろ 2017年 | 大九明子 | 8点 不器用女子の恋物語。ヒロイン(松岡茉優)は、はた迷惑なこじらせ女だが、妙にシンクロし、片時も目を離せない。トイレに行くのも我慢して、終わった瞬間すっ飛んだ。宇宙人顔の趣里はここでは外国人役。またしてもぶっ飛んだキャラ。[YouTube]〔船〕 | 綿矢りさ原作 渡辺大知、石橋杏奈 |
彼女 2021年 | 廣木隆一 | 6点 乗れないし、長すぎ。書けることはネタバレぐらいなので、パス。水原希子はセレブ+レズビアンという役柄が身についてない。[Netflix]〔船〕 | DV夫を妻の代理で殺して逃げる さとうほなみ、真木よう子、鈴木杏 |
彼女がその名を知らない鳥たち 2017年 | 白石和彌 | 8点 宣伝コピーの共感度0%は正解。全員好感度ゼロ。エンドは予測できず。阿部サダヲは不思議なキャラで、長く記憶に残りそうだ。原作そのままとはいえ、覚えにくい言いにくいタイトルはどうにかならなかったのか。〔船〕 | 蒼井優、松坂桃李、竹野内豊 |
彼女のいない部屋 2021年 | マチュー・アマルリック | 7点 極力何も考えないようにして観た。なのに途中でネタ割れしたような。まさかそんな単純な話なの?と思ったら、そのまんまで終わってしまった。いちおうネタバレ厳禁だろうから、それ以上は書けない。予告にも使われていたラモーのガヴォットは超魅力的。〔船〕 | ヴィッキー・クリープス |
KAMIKAZE TAXI 1995年 | 原田眞人 | 8.5点 何回観てるのかというほど観てるが、ヴァージョン違いがいくつかあるので、つい観てしまう。キャラや展開が定石外しのてんこ盛り状態。そこに観る楽しみがある。いちいち挙げてたらキリないが、主演の役所広司(ペルー人)、ミッキー・カーチス(ヤクザの組長)、片岡礼子(娼婦)といったあたり。そしてラストでは大きなカタルシスが待ち構えている。[YouTube]〔船〕 | 高橋和也、矢島健一、内藤武敏、根岸季衣、渡辺哲 |
COME & GO カム・アンド・ゴー 2021年 | リム・カーワイ | 8点 多国籍社会の大阪アジアン。北京からの旅行者のじいさんと台湾からの旅人のエピソードが興味深い。中国は典型的な情報鎖国で井の中の蛙。台湾人は世界の情報に通じている。越えられない落差がある。外国人差別反対の集会は映画の中で浮きまくってたが、明らかに意図的。彼らのずれたアピールよりもこの映画を観たほうが、アジア人たちの生き方への理解に近づける。〔船〕 | リー・カーション、ナン・トレイシー、渡辺真起子、兎丸愛美 |
彼らは生きていた 2018年 | ピーター・ジャクソン | 7点 生々しい戦闘シーンはない。インタビュー音源が豊富だったようだ。日本では音声を記録を残す習慣がなく、こうしたドキュメンタリが生まれにくい。戦勝帰還なのに生きて帰ったことをなじられる。そこがきつい。敗残兵撤退で大歓迎された『ダンケルク』より正直かも。〔船〕 | 第一次世界大戦の英独戦 |
渇きと偽り 2020年 | ロバート・コノリー | 8.5点 アクションシーンは一切なしで、見応えある本格的なサスペンス映画。惜しいのは最初の事件と最新の事件とが無関係で終わったこと。容疑者も別々。最初の事件の容疑者は結局どうなるんだ、というところがはっきりしない。原作を読みたくなったが、地元の図書館にあるのは続編の『潤みと翳り』だけだった。〔船〕 | 故郷に帰って事件を捜査する警察官 エリック・バナ |
ガンパウダー・ミルクシェイク 2021年 | ナヴォット・パプシャド | 7点 比較のために『355』も観ておきたい。5人の顔ぶれは『ガン〜』が上。主演のカレン・ギランは初めて見るけど、注目株だ。この映画は何年かたったらまた観たくなるような気がする。〔船〕 | 女5人の叛逆 レナ・ヘディ、カーラ・グギーノ |
消えない罪 2021年 | ノラ・フィングシャイト | 8.5点 見事な脚本だが、原作あり。このどんでん返しは想定できず。その部分ゆえに、映画が終わっても尾を引いてしまう。サンドラ・ブロックの年齢設定が気になる。5歳の妹がいるということは、せいぜいハイティーン? いやいやそれでは吉永小百合並みの年齢詐称。[Netflix]〔船〕 | 保安官銃殺で20年の刑期を終えた女 アイスリング・フランシオシ |
新喜劇王 2019年 | チャウ・シンチー、ハーマン・ヤウ | 8点 先にネット映像で観てしまったのだが、ぜひとも日本語字幕つきで観たくなった。ぐっと気持ちが熱くなった。美人でもないエキストラ女優の、踏みつけられても屈しない精神に魅せられる。〔船〕 | 売れない女優の奮闘 エ・ジンウェン、ワン・バオチャン |
菊とギロチン 2018年 | 瀬々敬久 | 8点 特別興行として割高に設定されてたのには驚いたが、内容ぎっしりで、まあ納得かな。ヒロインに抜擢した新顔の木竜麻生(きりゅうまい)が大正解。他のキャスティングも納得印。音楽センスもよく、今年の日本映画の収穫。〔船〕 | 女相撲一座とテロリストグループ |
きっと地上には満天の星 2020年 | セリーヌ・ヘルド、ローガン・ジョージ | 8点 その選択肢がありうるかもと思ったのは、実にわかりやすい伏線があったから。でも実際にそうなってしまうと、ちょっとショックだった。〔船〕 | 廃トンネルで暮らす母と娘が地上に脱出 |
君は永遠にそいつらより若い 2021年 | 吉野竜平 | 8点 佐久間由衣の役は本来なら3枚目役者の役どころ。男が誰も手を出しそうにないイケてない役柄にリアリティあるか。主人公の行動は贖罪意識からなのだが、これは人が根底に持っている正義意識に通じる。タイトルだけでアイドル青春ものかと敬遠したのは間違いであった。シビアな熱い物語であった。〔船〕 | 奈緒、宇野祥平、馬渕英里何 |
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 2020年 | 外崎春雄 | 8点 世評に流されるのを嫌いつつ、朝日の女性記者が書いた紹介記事につられて観てしまった。「これで泣ける?」と疑問は持ったが、立て続けのハードなアクションで緊迫感は最高潮。作品世界についての知識はゼロなので、いつのまにか現われた女の子がどこから出てきたのかわからず。それでも、ビギナーにも話が見えるというのは立派だ。〔船〕 | 列車で鬼退治に向かう鬼殺隊員 |
キング 2019年 | デヴィッド・ミショッド | 8.5点 シェイクスピアのフォルスタッフって実在だったんだ。と思ったが、あとで調べたらやはり架空。歴史劇に架空人物を入れるかよ。血の通った人物造形。想定を超える展開。戦闘シーンのリアルさ。すべてが花マル。〔船〕 | ティモシー・シャラメ、ジョエル・エドガートン、リリー=ローズ・デップ、トーマシン・マッケンジー |
THE GUILTY ギルティ 2021年 | アントワーヌ・フークワ | 7点 思いきりヘヴィーなテイストに置き換えられている。重たすぎる。リメイクのやり方としては感心できない。[Netflix]〔船〕 | 緊急通報番号にかかってきた電話 デンマーク映画のリメイク ジェイク・ギレンホール |
キングス・オブ・サマー 2013年 | ジョーダン・ヴォート=ロバーツ | 7点 傑作かもという期待はあっさりスカされる。大人視線で見たら、単に人騒がせな子供たちっていうだけかも。終始エイリアンなビアッジオ少年はGood!。〔船〕 | 家出してマイホームを作る高校生3人 |
キングスマン:ゴールデン・サークル 2017年 | マシュー・ヴォーン | 8点 ポピュラーソングのあの御大が老体に鞭打ってハードなアクション。ジュリアン・ムーアは『ハンニバル』のクラリスで違和感あったが、悪役だとしっくりきて、安心して見てられる。〔船〕 | コリン・ファース、タロン・エガートン、マーク・ストロング、ハル・ベリー、チャニング・テイタム |
偶然と想像 2021年 | 濱口竜介 | 8点 3話目は女二人(占部房子、河井青葉)がある種の「遊び」に突入した時の没入ぶりがリアルで楽しく、随所で笑いがもれる。この第3話を最後に持ってきたのは正解。おかげで深刻な最初の2話の印象が薄らいだ。〔船〕 | 3話オムニバス 古川琴音、中島歩、渋川清彦 |
グッド・ナース 2022年 | トビアス・リンホルム | 8点 良質な社会派サスペンスの趣。彼は犯行の動機について、ついぞ語ることがなかったと。そりゃそうだろう。やってることの意味を自覚してたら、こんな大事件、起こらない。犯罪者はみな動機を自覚してるというのは、よくある世間の誤解の一つ。[Netflix]〔船〕 | ジェシカ・チャステイン、エディ・レドメイン |
グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇 2020年 | 成島出 | 7点 小池栄子の絶世の美女設定は無理すぎ。戸田恵子を除き、俳優はみな、自分の持ちキャラの一つを律儀に通している。その分、話が通りやすく、わかりやすい。[Netflix]〔船〕 | 女たちと別れるために偽の妻を仕立てる 大泉洋 |
グッバイ・クルエル・ワールド 2022年 | 大森立嗣 | 7点 クルエルは英語だけど、「狂える」の意も含んでいそう。悪党ばかりの中でも、きちんと感情移入できる人物を配してるのは立派。かなり展開がゆっくりなので、50%増しの早回しで演出してもらえたら、と思う。〔船〕 | 一夜限りの強盗団 ⻄島秀俊、斎藤工、宮沢氷魚、玉城ティナ、大森南朋、三浦友和 |
KUBO クボ 二本の弦の秘密 2016年 | トラヴィス・ナイト | 6点 フルCGかと思ったが、人形アニメをベースにしてることをエンドクレジットのメイキング映像で知った。ヴィジュアルはいいけど、問題は脚本だな。[Netflix]〔船〕 | 魔法の三味線と折り紙を操る片目の少年 |
蜘蛛の巣を払う女 2018年 | フェデ・アルバレス | 8点 ノオミ・ラパスからルーニー・マーラへ、そしてクレア・フォイ。三代目のリサベット。なかなかいい面構えだ。山場の連続演出で、一瞬たりとも気を抜いて観られない。なぜかデータベースサイトでの一般投票の評価がかなり低い。何が気に入らなかったのか。〔船〕 | 「ミレニアム」シリーズ |
クリーピー 偽りの隣人 2016年 | 黒沢清 | 7点 香川照之って、『ゆれる』の頃からまともな人間性を持ってないと密かに思い続けてたが、やはりそうなんですね。creepyだから「不気味さ」をかもさなきゃいけないのに、顔に出るのは「不愉快」のみ。ほぼノーメイクでそれを出せる役者は世界的にもほとんどいない。原作を読みたくなった。映画には明示されなかったことが多すぎる。〔船〕 | 西島秀俊、香川照之、東出昌大、竹内結子 |
グリーンブック 2018年 | ピーター・ファレリー | 8点 思うんだけど、ヴィゴ・モーテンセンの出腹は「自腹」なんだろうか。あんなに出たら引っ込められるんだろうか。くだらないことばかりを考える。映画は二重丸。〔船〕 | イタリア人の運転手を雇ってコンサートツアーをする黒人ピアニスト マハーシャラ・アリ |
グレイマン 2022年 | アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ | 8点 本作はお笑い系抜きのライアン・ゴズリング。街中のド派手なぶっ壊しアクションはセットじゃなくロケ撮影みたいだけど、むちゃくちゃ金かかっていそう。毎度ながらてんこ盛りのアクションでした。[Netflix]〔船〕 | CIAの秘密兵士 アナ・デ・アルマス |
クロース 孤独のボディーガード 2019年 | ヴィッキー・ジューソン | 7.5点 男まさりが似合うノオミ・ラパス。女性のハードなアクションヒーローが最近増えた。それを女性監督が演出することも。ヴィッキー・ジューソンも女性。ちゃっかりというか、監督は妹をチョイ役で起用していた。[Netflix]〔船〕 | 富豪の令嬢を守護する女 |
クワイエット・プレイス 2018年 | ジョン・クラシンスキー | 7点 息をひそめて一家を見守った。設定などに関してはツッコミ多数あり。ずっと裸足だが、スニーカーを履けばいいのに。視力のない生物の多くは嗅覚が発達する。そうした生物学の常識に疎すぎる。ミリセント・シモンズは当たり役が続く。聾唖俳優というハンデを乗り越えてビッグになれるか。〔船〕 | ジョン・クラシンスキー、エミリー・ブラント |
クワイエット・プレイス 破られた沈黙 2021年 | ジョン・クラシンスキー | 6点 一作目は納得いかないシーンが多く、この二作目を無視するつもりだった。気になって観たら、やっぱり納得いかないシーンが多い。[Netflix]〔船〕 | 音に反応して襲ってくる謎の生物 ミリセント・シモンズ、エミリー・ブラント |
軍中楽園 2014年 | ニウ・チェンザー | 8.5点 娼婦であるヒロインにリアリティがないという批判が出そうだ。が、高貴で美しいレジーナ・ワンに目が釘づけ。俳優が魅力的なのは全配役、徹底している。役者がいいと観るほうも気合が入るというもの。今年の外国映画を代表する一本になった。〔船〕 | 台湾金門島の軍人専用娼館に勤務する若い兵士 |
工作 黒金星と呼ばれた男 2018年 | ユン・ジョンビン | 9点 近過去の政治状況を描く韓国映画は秀作が多い。北朝鮮の対外経済委員会所長を演じるイ・ソンミンがいい。韓国側のスパイ、ファン・ジョンミンとの友情が温かく、リアルに感じられる。〔船〕 | 工作員として北に潜入 |
幸福路のチー 2017年 | ソン・シンイン | 7点 本来は地味なはずの物語を、ファンタジックにぶっ飛んで描き出す台湾アニメ。引き込まれたが、途中から「ちょっと長いな」と感じたり。主演の声はグイ・ルンメイだった。声に特徴ある人じゃないので気づかなかった。[Netflix]〔船〕 | 台湾の1女性の半生を台湾史に重ねて描く |
傲慢な花 2022年 | モニカ・ミッチェル | 6点 やけに既視感があると思ったら、二度目だった。主演のアリッサ・ミラノが製作者も兼ねている。ストーリー忘れてるから誰が連続殺人犯か見当がつかず、楽しめた。IMDbでのレイティングは4.1と、かなり悲惨。主演に華がないからね。[Netflix]〔船〕 | 妹を殺された作家が捜査する アリッサ・ミラノ |
荒野にて 2017年 | アンドリュー・ヘイ | 8点 孤独に米国を漂流する少年。自分的には体にしっくりくる映画だけど、地味すぎてシネコンでロードショー公開するのは無理すぎ。馬と激突した車のボディーが無事というのは引っかかった。〔船〕 | チャーリー・プラマー、スティーヴ・ブシェミ、クロエ・セヴィニー |
荒野の誓い 2017年 | スコット・クーパー | 7点 主演トリオはいずれも出演作のレヴェルが高く、信頼の証。しかし演出はどこか締らず。特にラストの緩みは残念すぎる。ロザムンド・パイクは今年一気に主演作が3本も公開。嬉しい気分。〔船〕 | 敵対していた米国先住民のリーダーを故郷に搬送する軍人 クリスチャン・ベール、ウェス・ステューディ |
声もなく 2020年 | ホン・ウィジョン | 8.5点 予告篇で僕好みの韓国映画だと確信し、期待通りだった。誘拐された女の子がなかなかの存在感を見せる。こういう悲惨な世界を描くと韓国は元気いっぱいだ。知った顔が少ない映画だが、みな個性的で、キャラが立っている。〔船〕 | 犯罪組織の下請けが誘拐された少女を預かる |
ゴーストバスターズ アフターライフ 2021年 | ジェイソン・ライトマン | 7点 記憶はないけど記録では第一作を観たらしい。有望な新人女優(マッケンナ・グレイス)をしっかり見ておきたかった。ツッコミは入れだすときりないので、封印。〔船〕 | 辺鄙な田舎町で化け物退治 |
コーダ あいのうた 2021年 | シアン・ヘダー | <8点 演出はオリジナル版を踏襲してると思うけど、終盤のオーディションで感動。使用曲は別だったようだが、『青春の光と影』の歌詞はストーリーとよく響き合っていた。話の見えてる感動ドラマでリメイク。米アカデミー賞の値打ちを下げた受賞だった。〔船〕/td> | 『エール!』の英語版リメイク エミリア・ジョーンズ、マーリー・マトリン |
氷がすべてを隔てても 2022年 | ペーテル・フリント | 7点 ニコライ・コスター=ワルドーが主演だが、技術屋を演じたジョー・コールばかりが目立った。[Netflix]〔船〕 | 遠征隊が残した地図を回収するためにグリーンランドを探検する2人 |
COLD WAR あの歌、2つの心 2018年 | パヴェル・パヴリコフスキー | 7点 『芳華 Youth』のような出だしだが、映画の空気は大きく異なる。主人公男女二人の気持ちがつかめず、入り損ねる。なんでこういう展開になっていくのかもわからないまま。帰ってからポーランドの民族音楽について猛烈に調べた。テーマ曲はソ連の曲らしい。〔船〕 | 別れと再会をくり返す歌手とピアニストの15年 ヨアンナ・クーリク |
哭声 コクソン 2016年 | ナ・ホンジン: | 8.5点 肝心なことを明らかにしないまま終わる。しかし今年ここまで観た映画のベスト。何を書いてもネタバレっぽくなるので、サイト(ネタバレしても委員会)に書くことにする。〔船〕 | オカルトホラー |
心の傷を癒すということ 劇場版 2021年 | 安達もじり | 8.5点 ドボドボに泣きを入れる映画だったら劇場から逃げてたかも。杞憂でした。その方向へ行きそうになるのを抑え、リアルに徹した。役者は女優陣がよかったけど、その中でも特に平岩紙!〔船〕 | 阪神淡路大震災後に心のケアを尽くした若い医師 柄本佑、尾野真千子、濱田岳、濱田マリ、谷村美月 |
孤独なふりした世界で 2018年 | リード・モラーノ | 7点 ラストが不気味だ。そこにいるはずのない人間がうじゃうじゃいる、みたいな。主演のピーター・ディンクレイジが深刻すぎ。そういう話じゃないんだろうけど、ユーモアのセンスもほしい。[Netflix]〔船〕 | 人類が絶滅した世界に生きる エル・ファニング |
この茫漠たる荒野で 2020年 | ポール・グリーングラス | 8.5点 西部劇の秀作が現われた。これまで一度もトム・ハンクスをいい役者と思ったことなかったけど、風格を感じさせて素晴らしい。心を通いあわせることになるドイツ人少女(ヘレナ・ゼンゲル)も。『ペーパームーン』のテイタム・オニールを連想させる。[Netflix]〔船〕 | 孤児の少女を親族のもとに送り届ける赤の他人 |
コリーニ事件 2019年 | マルコ・クロイツパイントナー | 8.5点 インパクトある映画だった。久しぶりのフランコ・ネロ。演技以上のものが出てます。〔船〕 | 殺害の動機を語らない容疑者 エリアス・ムバレク |
この世界の片隅に 2016年 | 片渕須直 | 8点 日本映画の良品がヒットしてるのは嬉しい。戦前戦中の生活を淡々と描いている。あえてドラマティックに盛り上げるのを避けているかのような。現実を歪めまいとするかのように。〔船〕 | 原作:こうの史代 声:のん(能年玲奈) |
婚約者の友人 2016年 | フランソワ・オゾン | 8点 いかにもミステリーっぽい予告篇。どんなどんでん返しがあるのかと期待してしまった。ストーリーは脇に置いて、妙な雰囲気が全体を覆う。監督はフランス人なのにドイツ中心。モノクロ中心のパートカラー。どういう意図があるのか。〔船〕 |
戦死した婚約者の墓参りに来た元ドイツ兵を迎える女 パウラ・ベーア、ピエール・ニネ |
心と体と 2017年 | イルディコー・エニェディ | 8点 監督の名前だけで映画観るの、何十年ぶりだろう。奇妙な恋愛風景。見ているうちにこの二人に対する愛着が強くなった。監督のデビュー作『私の20世紀』はもう一度観たい映画のトップに挙げられる。夢の中の鹿の撮影がうまいと思ったら、2頭の鹿はともに役者鹿だった。エンドクレジットに名前が挙がっている。〔船〕 | 眠ると同じ夢の世界にいる男と女 |
孤狼の血 2018年 | 白石和彌 | 8点 ずしっ、どしんっ、とくる感触。役所広司にはできたら心底から悪い奴を演じてほしかった。阿部純子は吉永淳という芸名で出演していた『2つ目の窓』とは別人のような成長ぶりで、喜ばしい。今後も期待している。〔船〕 |
広島のマル暴の刑事 松坂桃李、真木よう子、滝藤賢一、ピエール瀧、石橋蓮司、江口洋介 |
search サーチ 2018年 | アニーシュ・チャガンティ | 8点 パソコン慣れしてない人は置いてきぼりの映画。終盤の解決に至る部分でボロが出たが、スピーディーな展開で息もつかせない。僕もあれぐらいの粘りで調査探求したい。[Netflix]〔船〕 | パソコン画面だけで展開する映画 娘の失踪を調査する父親 |
再会の夏 2018年 | ジャン・ベッケル | 7点 愛すべき掌編ながら、海外での評価の低さも納得する。主人公の若い兵士のとった行動の動機。ラストで一気に矮小化する。これはもう一人の主人公たる「名なしの黒犬」を見る映画だったか。〔船〕 | 犬に勲章をくれてやる兵士 |
サイコキネシス 念力 2018年 | ヨン・サンホ | 7点 全体にゆるめだけど、そのぶん気楽に見られるB級映画。たまにこういうの見てリフレッシュ。主演のリュ・スンリョンは『神弓』などとの印象の振れ幅がでかくて、本当に同一人物なのかと疑ってしまった。[Netflix]〔船〕 | 地上げ屋に対抗して商店街が徹底抗戦 シム・ウンギョン |
The Witch 魔女 2018年 | パク・フンジョン | 6点 前半のトロさは後半の過激さを際立たせるためだろう。それにしてもタラタラと2時間超。長い。本作はシリーズ第1作だが、なぜか続編が制作されていない。[Netflix]〔船〕 | ミュータントに改造させられた子供たち |
サイレント・トーキョー 2020年 | 波多野貴文 | 6点 人物のつながりがいまいち呑み込みにくく、重要人物のはずの佐藤浩市って、結局なんなの?で終わってしまった。たぶんPKOの元自衛隊員だろうけど、だからなんなの?って感じ。佐藤を含め、役者が自分の動機を体現してないのが問題だと思う。[Netflix]〔船〕 | 爆破テロ事件 石田ゆり子 |
ザ・コール 2020年 | イ・チュンヒョン | 6点 『オーロラの彼方へ』のリメイクかと思ったほど前半が酷似する。後半は独自の展開で、韓国らしい胸糞悪い展開になる。思い出すのもいやなほど。新型コロナウィルスが居座っているこのご時世、こういう希望のかけらもない映画はペケ。[Netflix]〔船〕 | 一本のコードレス電話を介して過去の殺人鬼とつながってしまう |
ザ・サイレンス 闇のハンター 2019年 | ジョン・R・レオネッティ | 8点 『クワイエット・プレイス』の二番煎じのような映画だが、出来栄えはこちらのほうが上の印象。怪物より恐ろしい人間が強烈だ。[Netflix]〔船〕 | 空とぶ怪物の集団に襲われた地球 スタンリー・トゥッチ、キーナン・シプカ |
砂上の法廷 2016年 | コートニー・ハント | 8点 ラストに明かされるまで裏を読めず、疑いもせず。終わってから逆回転で反芻するも、真実の読めない部分がいくつも残る。たぶんあの証言は虚偽だったんだろうな、ぐらい。ネタバレ回避のために書きにくいが、ちょっとずるい手法を使っている。〔船〕 | 父親殺し容疑の青年を弁護する キアヌ・リーブス、レニー・ゼルウィガー |
ザ・スクエア 思いやりの聖域 2017年 | リューベン・オストルンド | 4点 エキストラを含め、スクリーンは徹底して嫌悪感をもよおす人物で埋めつくされている。前作は観てないが、監督は人間嫌いか。最も不快だったのは、女性記者(猿男ではなくて)。〔船〕 | 現代アートの展覧会を準備する美術館 |
ザ・テキサス・レンジャーズ 2019年 | ジョン・リー・ハンコック | 8.5点 ボニー&クライド事件を追っ手の側から描く。端正に作られた名作。悪党二人組が大衆から支持されてたんだと。収穫を貧民にばらまいたわけでもないのに。ドナルド・トランプ現象と同じか。そう思うとこの映画が制作された意味が見えてくる。[Netflix]〔船〕 | ボニーとクライドを追う二人 ケヴィン・コスナー、ウディ・ハレルソン |
ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野 2021年 | ジェームズ・サミュエル | 7点 黒人ばかりの西部劇アクション。悪党のレジーナ・キングの面構えが頼もしい。映像はスタイリッシュで音楽も監督が全部手掛けてるらしい。才気がほとばしる。それだけの映画。[Netflix]〔船〕 | イドリス・エルバ |
ザ・ハント 2020年 | クレイグ・ゾベル | 8.5点 大満足のB級サスペンス。久しぶりに見かけたエイミー・マディガン。おばあちゃんになってたが、元気元気。〔船〕 | 人間狩りゲーム ヒラリー・スワンク、ベティ・ギルピン |
ザ・ファブル 2019年 | 江口カン | 7点 面白くしようという熱意は伝わる。けど、観終わったらすっと抜けていく。[Netflix]〔船〕 | 殺さない殺し屋 岡田准一、木村文乃、山本美月 |
ザ・ファブル 殺さない殺し屋 2021年 | 江口カン | 8点 アパート壁面のアクションはあちこちで真似されそう。近年の日本映画ではコメディ系のシリーズの成功例がちらほらと。『探偵はBARにいる』シリーズも大好き。『ザ・ファブル』も役者それぞれの持ち味を生かしている。堤真一、悪役ハマりすぎ。こんな顔見せたらもう、善玉役は無理ね。[Netflix]〔船〕 | 伝説の殺し屋 岡田准一、平手友梨奈 |
ザ・フォーリナー 復讐者 2017年 | マーティン・キャンベル | 8点 密度の高いサスペンスアクション。ジャッキー・チェンの老けぶりは、後半の変転とのギャップを際立たせるためと思った。が、最後まで老人のまま大暴れしている。家族の最後の一人である末娘の仇を討つためだが、やることが派手すぎ。歴史の厚みを感じさせる北アイルランドの熾烈な争いに比べ、問題が小さく感じられた。[Netflix]〔船〕 | ピアース・ブロスナン |
サムジンカンパニー1995 2020年 | イ・ジョンピル | 8点 冒頭に「実話をもとにしたフィクションです」と出る。フィクションだと宣言することにより映画は面白く作られるという、いい例。見事なほどキャラがはっきりした俳優ばかりなので、見分けがつかずに混乱することがない。観ててどんどん熱くなっていく。ラストシーンも見事。パク・ヘスは『スウィング・キッズ』の人だが、印象が一変した。〔船〕 | 大企業の犯罪を高卒の女子社員たちが告発する コ・アソン |
ザ・モール THE MOLE 2020年 | マッツ・ブリュガー | 6点 スパイのプロジェクトとしては偉業に値する。しかし10年間も素人が潜入捜査してバレないは考えにくい。しかも同時に何台もの隠しカメラで撮影し、大量の映像素材を得ている。隠しカメラの常として、見づらいし、映画は長い。相当疲れる。〔船〕 | 元料理人が北朝鮮の闇取引の実態を暴くドキュメンタリ |
ザ・ライフルマン 2019年 | ジンタルス・ドレイベルグス | 8点 交戦相手のドイツにではなく、味方であったはずのソ連に対する敵意が強く表れる。第2次世界大戦を舞台としたフィンランド映画『アンノウン・ソルジャー』と似ている。ロシアの性悪は未来永劫変わらず。〔船〕 | 第1次世界大戦で前線に配置されたラトビアの少年 |
ザリガニの鳴くところ 2022年 | オリヴィア・ニューマン | 8.5点 原作ファンには不評のようだが、個人的には納得印で大満足。若い男性二人のキャラが紋切り型なのは残念。女性目線ばかりでなく、男性目線も必要だ。〔船〕 | 殺人の嫌疑がかけられた「沼の娘」 |
シークレット・アイズ 2015年 | ビリー・レイ | 8点 エンドがリメイク元とちょっと違っている。シナリオが巧みで、オリジナルに負けてない。ただ、13年の歳月の差が顔に出てないのは気になる。観ててまごつくし。〔船〕 | キウェテル・イジョフォー、ニコール・キッドマン、ジュリア・ロバーツ |
シークレット・ヴォイス 2018年 | カルロス・ベルムト | 8.5点 トリッキーな撮影に惑わされ、ラスト近くのシーンを2回観直した。ずしっと大きな手応えを感じる話で、深く心に残った。前作の『マジカル・ガール』もぜひ観たい。「家に電話してみて」と言って携帯電話を渡すシーンは、さっぱり意味がわからない。[Netflix]〔船〕 | 記憶喪失になった国民的歌手リラ・カッセン |
ジェイソン・ボーン 年 | ポール・グリーングラス | 8点 シリーズ原作(ラドラム『暗殺者』)からは遠く離れて。満足はしたけど、当然ながら第2作を超えてない。マット・デイモンもジュリア・スタイルズもずいぶんお年を召したという感じ。これで最終なんだよね。え?まだ出るの? シュワちゃんじゃあるまいし。〔船〕 | CIAが生み出した秘密兵器が自らの出自を調べる マット・デイモン、アリシア・ヴィキャンデル |
ジェラルドのゲーム 2017年 | マイク・フラナガン | 8.5点 スティーヴン・キングが原作だった。ひょっとして『ミスト』を超えるバッドエンドかもと、緊張した。妄想炸裂部分が面白い。特にブルース・グリーンウッドのねちっこいいやらしさはなんとも言いようがない。[Netflix]〔船〕 | 倒錯プレーの最中に思わぬ事故 カーラ・グギノ |
ジオラマボーイ・パノラマガール 2020年 | 瀬田なつき | 8点 前日観た『おらおらでひとりいぐも』とは対照的。若さがはじけ、気分は高揚する。山田杏奈は動きのリズムが面白い。他の映像と写真を見て、この映画できっちり役を作り込んでたのがわかった。〔船〕 | 岡崎京子原作の青春映画 鈴木仁、滝澤エリカ、成海璃子 |
シカゴ7裁判 2020年 | <アーロン・ソーキン/td> | 8点 実話ものを好かないのは、映画では潤色が加わるので、すべての描写を信用できないから。しかしこの映画の場合、インパクトあるラストシーンが丸ごと創作てことはなさそう。肌が粟立つほどに興奮した。[Netflix]〔船〕 | 暴動を煽動したとして訴追された7人 |
死刑にいたる病 2022年 | 白石和彌 | 8点 阿部サダヲは演技賞級のキャラ。好感度の高い極悪人。ひそかに自分の妄想ゲームを楽しんでる。他人を自分の妄想世界の駒として使って遊ぶやつは地元長岡京にもいる。この手の輩を検出するセンサー機器があればいいんだけど。〔船〕 | 一人だけは自分の被害者じゃないと言いだす死刑囚のシリアルキラー 岡田健史 |
7月22日 2018年 | ポール・グリーングラス | 9点 同年の『ウトヤ島、7月22日』とは別の映画です。孤独で単細胞の右翼がインテリ層を憎悪する典型的な犯罪だ。子供たちを襲ったのは、親たちに深刻な打撃を与えるためだと容疑者は言っている。醜悪で胸糞悪い。容疑者を演じた俳優は強烈な存在感を見せつけた。[Netflix]〔船〕 | ノルウェー、ウトヤ島の乱射事件 |
6アンダーグラウンド 2019年 | マイケル・ベイ | 7点 監督の名前で不安があったが、まずまず。『オールド・ガード』に似た設定のハードなアクションで、ストーリーは異なる。マイケル君には過大な要求で申し訳ないが、派手なドンパチ以外で酔わせてくれる何かがほしいよね。[Netflix]〔船〕 | 正義を執行する地下組織の軍隊 ライアン・レイノルズ、メラニー・ロラン |
ジャドヴィル包囲戦 6日間の戦い 2016年 | リッチー・スマイス | 8点 ちっちゃなポイントとしての戦闘地と地球規模での国際的な思惑の衝突。そこんところのギャップから150人のアイルランド兵が踏みつぷされそうになる。史実とのことだが、この戦闘で戦死者ゼロっていうの、どういうことかな。戦闘シーンは派手に盛りすぎてるだろ。[Netflix]〔船〕 | 1961年のコンゴで行われた国連平和維持活動におけるアイルランド陸軍部隊 マーク・ストロング |
13時間 ベンガジの秘密の兵士 2016年 | マイケル・ベイ | 9点 傾向の似た『モガディシュ 脱出までの14日間』とは比較にならないほどの出来栄え。というか、あちらは意図的なゆるさだったのに対し、リアルな演出に徹していて見応えある(史実そのままという意味ではなく)。[Netflix]〔船〕 | リビアのCIA秘密基地で大使館員たちが籠城 ジョン・クラシンスキー |
12年の長い夜 2018年 | アルバロ・ブレッヒナー | 8点 ホセ・ムヒカのみにスポットを当てた映画ではなかった。厳しい映画ながら、独特なユーモア感覚もあって、高評価。[Netflix]〔船〕 | 12年間投獄されたウルグアイの3人の政治囚 |
ジュピターズ・ムーン 2017年 | コルネル・ムンドルッツォ | 8.5点 どうやって撮影したのかがわからないようなシーンが頻発する。気がついたら長回し撮影。カットを割らずに浮遊するシーン。CGや合成ではなさそう。映像や音響のセンスは抜群で、快適だ。ハンガリー映画なんだ。いつのまにか世界の映像の最先端をいっている。〔船〕 | 宙を舞う青年 |
少年の君 2019年 | デレク・ツァン | 9点 チンピラと優等生の女子高校生との恋。チョウ・ドンユイ、いいね!〔船〕(メルマガ「極楽news」で紹介したので大部分を省略した) | 過酷な中国の受験戦争 |
ジョーカー 2019年 | トッド・フィリップス | 8点 ハリウッドメジャーの大作とは信じられないほど陰鬱な映画。娯楽色が乏しすぎる。作品的な水準が高いことは、認めざるをえない。〔船〕 | ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ |
ジョジョ・ラビット 2019年 | タイカ・ワイティティ | 8点 愛すべき映画ながら、大傑作ならず。アカデミー賞ジョ・ジョ対決などと勝手に決めていたが、やや弱い。スカーレット・ヨハンソンは傑作『ゴーストワールド』以外にコメディ映画に出てないが、いわゆる「抜いた」芝居のできる彼女はコメディ向き。逆の熱演タイプは好かん。〔船〕 | ヒトラー・ユーゲント少年のイマジナリー・フレンドはヒトラー サム・ロックウェル |
新感染 ファイナル・エクスプレス 2016年 | ヨン・サンホ | 8.5点 韓国映画なので覚悟してたつもりだけど、あまりの熾烈なストーリーに押されまくり。観るべき映画です。[Netflix]〔船〕 | 高速鉄道の車内で起きた感染爆発 |
新感染半島 ファイナル・ステージ 2020年 | ヨン・サンホ | 8点 スペイン語吹替で日本語なし。でもほぼ無問題。ゾンビたちを徹頭徹尾モノ扱いする割り切りように感心する。しかしあんな状況では飛沫感染しまくるでしょうに。観たあとになって、レースクィーンみたいに飛ばしまくる子が『犬どろぼう完全計画』の女の子(イ・レ)だと知った。日本人的な美少女だ。[YouTube]〔船〕 | 朝鮮半島が封鎖された4年後 カン・ドンウォン |
新聞記者 2019年 | 監督藤井道人: | 8.5点 シム・ウンギョンは初めて見る。田中哲司はおぞましいほどの悪辣キャラを、まるで地のままのように演じている。この二人に圧倒される。〔船〕 | 官邸の疑惑を追う 松坂桃李、本田翼、西田尚美、高橋和也、北村有起哉 |
新聞記者 2022年 | 藤井道人 | 8点 希望が感じられるラストだが、現実はこの時点よりさらに悪化している。長いドラマの中、小野花梨のエピソードに最も心惹かれる。田中哲司の悪党ぶりは今さらだけど、ユースケ・サンタマリアにはメゲた。ほんっっっとに不愉快になってくる。悪党は正論を述べる。国民は基本的に変化を望まない。野党はそれ、わかってるのか。[Netflix]〔船〕 | 官邸が関与する犯罪を追及する 米倉涼子、綾野剛 |
スウィング・キッズ 2018年 | カン・ヒョンチョル | 8点 『シング・シング・シング』が頭の中でずっと鳴り続けている。曲とステップで気持ちがゆさぶられる。音楽の力をストレートに押し出し、心地よい。終盤、いくつかの点ですっきりしないものがあり、ぼやけた印象を残したのが惜しい。〔船〕 | 北朝鮮捕虜収容所でタップダンスのチームを作る |
鈴木家の嘘 2018年 | 野尻克己 | 8点 岸本加世子が正統派おばはん女優めざしてまっしぐら。主役はこの映画の場合、木竜麻生だね。キラキラ輝いている。この調子でさらなる成長を。〔船〕 | 長男が自殺したことを母親に隠す家族 岸部一徳、原日出子、加瀬亮、大森南朋 |
スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち 2020年 | エイプリル・ライト | 6点 インタヴューがメインだけど、現場映像をもっと見たかった。映像はあるはずだけど、制作会社が出し渋ったのかな。物足りない。〔船〕 | 女性の映画スタントのドキュメンタリ |
ストーリー・オブ・マイ・ワイフ 2021年 | イルディコー・エニェディ | 7点 以前の『私の20世紀』『心と体と』と比べても難解さが上がった気がする。これをまたシネコンでやっている。ミスマッチも甚だしい。わからない部分がたくさん残ったが、曖昧度を全編にまぶした演出によるようだ。それでもなぜか好感度は高い。〔船〕 | レストランへ最初に入った女性に結婚を申し込む レア・セドゥー |
ストレイ 犬が見た世界 2020年 | エリザベス・ロー | 7点 イスタンブールの街中を、犬たちといっしょになってうろついた、みたいな。『犬は歌わない』もだったけど、犬たちがカメラ(+カメラマン)を意識しないのが不思議だ。焦点深度の浅さから、たいていは1メートル以内で撮影してるのはわかるのに。〔船〕 | 殺処分ゼロの国トルコ、路上で生きる犬たち |
ストレイ・ドッグ 2018年 | カリン・クサマ | 8点 いきなりすごい顔で、メグ・ライアンかと思った。ニコール・キッドマンは老け・若両面で作りすぎ、17年ではなく30年以上の年齢差になっている。日系の女性監督は珍しいと思うが、ことさらそれを意識させるのではなく、しっかりした力量を感じさせる。このタイトル(野良犬)は日本だけですが、いいタイトル(他国では「破壊者」)になっている。〔船〕 | 17年前の捜査ミスを取り返そうとする女性刑事 |
砂の城 2017年 | フェルナンド・コインブラ | 8点 すでに観てたのを忘れてまた観てしまう。戦地で米軍が駐屯しながら、戦闘シーンがほぼなしという珍しい映画。イラクの人々も複雑で一枚岩ではない。そうした背景をていねいに描き出す。地味だけど、いい映画。[Netflix]〔船〕 | イラクの僻村で給水施設の修理を担う米軍 ニコラス・ホルト |
スパイの妻 2020年 | 黒沢清 | 6点 とりたてて期待していたわけではなかった。それでも1箇所ぐらいは「ウ〜ム」とうならせてくれるシーンがあるかと思ったのだが…。〔船〕 | 軍部の不正義を告発しようとする貿易商 蒼井優、高橋一生、恒松祐里、東出昌大 |
すばらしき世界 2021年 | 西川美和 | 6点 映画はストーリーの先が見えないからこそ面白くなりうる。ていねいに伏線を張りすぎで、ほぼ方向が見えてしまう。〔船〕 | 出所して堅気になろうとした元ヤクザ 役所広司、仲野太賀、六角精児、北村有起哉 |
スプリット 2017年 | M・ナイト・シャマラン | 7点 えぐい顔のアップの多い映画で最前列。気色悪いジェイムズ・マガヴォイの顔を押しつけられたくない。ヒロインの回想で意味不明な箇所があって気になる。彼女のおじさんがやたら怪しいが、あれがなんなのか、よくわからない。〔船〕 |
24人格の男が3人の娘を拉致監禁する アニャ・テイラー=ジョイ |
スヘルデの戦い 2020年 | マシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・ジュニア | 8点 第二次世界大戦末期。見応えのある戦闘シーン、ドラマ。主人公は3人だが、映画の流れ的に関与しているのはオランダ人女性一人。英国のパイロットは単なる兵士の一人にすぎない。運命が結びつく一瞬があればさらに高評価だったが。[Netflix]〔船〕 | オランダの港湾を奪取するための戦い |
スペンサー・コンフィデンシャル 2020年 | ピーター・バーグ | 8点 大枠では新味に乏しいけど、細部の小ネタが楽しい。エンド対決も、「策がある」と言いながら、ただトレーラーで突っ込むだけ。あとは成り行きまかせのいいかげんさ。こうしたユルさを笑える人向け。アラン・アーキンはすでに亡くなってると思ってた。存命中でした(遺作かと思った)。[Netflix]〔船〕 | 警察の不正摘発に挑む元警官 マーク・ウォールバーグ |
スリー・ビルボード 2017年 | マーティン・マクドナー | 8.5点 ブラックな笑いをまぶすのが僕の好みに合う。ストレートで笑いのない『デトロイト』とは好対照。今年のベストワンの可能性もある。初顔合わせの監督さん。只者ではない。〔船〕 |
広告看板に警察への批判メッセージを設置した女性 フランシス・マクドーマンド |
生理ちゃん 2019年 | 品田俊介 | 8点 生理ちゃんをイマジナリーフレンドにしてる。爆笑コメディを装いながらも中身はシリアス。思わず感動。〔船〕 | 月一のお客さま 二階堂ふみ、伊藤沙莉 |
世界は今日から君のもの 2017年 | 尾崎将也 | 8点 門脇麦を当て書きして作ったようなキャラ。と思ったら、その通りだった。やりすぎ感もあるが、門脇麦のイメージそのまんま。絵描きさんの話なので、人ごとと思えず、つい応援してしまう。自らを振り返ると、飛び抜けた才能はないなとつくづく思う。〔船〕 |
ひきこもり女、頑張る 三浦貴大、マキタスポーツ、比留川游、YOU |
前科者 2022年 | 岸善幸 | 7点 悪くない映画だけど、言葉や映像で説明しすぎ。過剰は映画を弱める。男優陣がそれぞれ自分のキャラを十全に生かして好演してるのに対し、女優たちが全員、もう一つな感じ。〔船〕 | 出所者を見守る保護司 有村架純、森田剛、磯村勇斗、リリー・フランキー |
SEOBOK ソボク 2021年 | イ・ヨンジュ | 6点 コン・ユのギョロ目ばかりが印象に残る。どの映画でも同じだけど、CGで作った派手な映像は、作り手が思うほどには感銘を受けない。〔船〕 | 人類に永遠の命をもたらすクローン・プロジェクト |
ソング・オブ・ザ・シー 海のうた 2014年 | トム・ムーア | 8点 アイルランドのアザラシ女伝承を元に。映像ヴィジュアル、素晴らしい。アイルランドの妖精文化や伝承物語に疎い普通の日本人にとって、ストーリーをのみこむのは厳しそう。せめて「セルキー」「セルキーのコート」を「アザラシ一族」「アザラシの皮」と訳さないと。〔船〕 | アイルランド伝承をアニメに |
ターミネーター:ニュー・フェイト 2019年 | ティム・ミラー | 8.5点 そもそもこのシリーズは論理的な矛盾だらけだし、リンダ・ハミルトンは以前にもましてすごい鬼瓦になってるし。でもこのシリーズ、面白くて好きです。『3』をなかったことにしての『1』『2』の続編ということ。しかし方向性としては『3』と同じだと、僕は思ったのですが(クレア・デインズがナタリア・レイエスに置き換わっただけ)。〔船〕 | アーノルド・シュワルツェネッガー |
タイガーテール ある家族の記憶 2020年 | アラン・ヤン | 7.5点 タイトルは、故郷の田舎町の名前が龍尾ということで、ストーリーとは関係なさそう。恋人に別れも告げず、別の女と結婚して渡米する男。この時点で救いがたさが見える。人の気持ちを思いやる心の欠落した人間は、中年になってからでは治しようもなく手遅れ。[Netflix]〔船〕 | 台湾から米国へ渡った男 |
大コメ騒動 2021年 | 本木克英 | 6点 昼飯抜きの腹ペコ状態なので、社会状況がものすごくリアルだった。井上真央は目力(めぢから)の人。もっといい映画に出て、主演女優賞を獲りましょう。演出は全体にゆるい。スクリーンの細部までコントロールが効いてません。〔船〕 | 大正の米騒動の発端 夏木マリ、鈴木砂羽、室井滋、神戸浩 |
タイトル、拒絶 2020年 | 山田佳奈 | 6点 モトーラ世理奈が最初誰かわからず。でも声に記憶あった。その姉役が恒松祐里。この二人、生年月日が同じ。同い年にはまるで見えない。キレのいい予告篇に惹かれて観たが、ちょっと重たく鈍い。若くして怪優と呼びたくなるモトーラと伊藤沙莉。このあとどんな役者になっていくんだろう。[Netflix]〔船〕 | デリバリーヘルスクラブの女たち 佐津川愛美、片岡礼子 |
タイラー・レイク 命の奪還 2020年 | サム・ハーグレイブ | 8点 傭兵チームとマフィアとのド派手な戦争。こういうの観るとノリノリで元気が出てしまう。映画の中でバタバタ大量に死んでも痛くも痒くもなし。イラン美人のゴルシフテ・ファラハニも格好いいです。Wiki読んでからラストシーンだけ見直した。こんな一瞬のピンボケ映像でわかるわけない。[Netflix]〔船〕 | 誘拐された子供(犯罪王の息子)を救出 クリス・ヘムズワース |
タクシー運転手 約束は海を越えて 2017年 | チャン・フン | 8点 楽しみはしたけど、いろいろ小骨が突き刺さるような。ドイツ人記者は身の安全を考えなさすぎ。光州の韓国人が命を投げ出してまで英雄的行為に走るのも納得いかない。あれこれの違和感、なぜそういう演出をしたかはわかるが、ありえなさすぎる。〔船〕 |
1980年の光州事件を取材する ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジ |
多十郎殉愛記 2019年 | 中島貞夫 | 8点 間延びすることなく、テンポよく進む引き締まったドラマ展開。中島監督、若い。ここに書くことではないが、時代劇の「お約束」は常に気になる(刀を構えた時のカチャッという音など)。〔船〕 | 高良健吾、多部未華子、木村了、永瀬正敏、寺島進 |
ただ悪より救いたまえ 2020年 | ホン・ウォンチャン | 9点 コリアン・ノワールの秀作。「イカゲーム」の気弱な主人公(イ・ジョンジェ)が、この映画では「趣味:殺人です」という残虐な怪物を演じる。この強烈なキャラクターより惹かれるのは、オカマ(失礼、トランスジェンダー)を演じたパク・ジョンミンです。〔船〕 | ファン・ジョンミン、豊原功補、白竜 |
立ち去った女 2016年 | ラヴ・ディアス | 8点 3時間48分のモノクロ映画。フィリピン映画のマイナー系。おまけに料金割高という、三重苦を背負った映画だが、初日に駆けつけた。背景にあるフィリピンの下層世界がドラマを超えて生々しく迫る。トンデモな映画体験をした気になった。〔船〕 | 無実の罪を着せた男に復讐を目論む女 |
旅のおわり世界のはじまり 2019年 | 黒沢清 | 7点 芸達者な若手俳優ばかりで、安心して作品世界にひたっていられる。ただしツッコミどころは多い。前田敦子がウズベキスタンの知らない夜道を一人でウロウロとか。そこは安心して見てられない。〔船〕 | 染谷将太、柄本時生、加瀬亮 |
007 スペクター 2015年 | サム・メンデス | 8点 定番メニューながらハラドキ感満載で楽しめる。クリストフ・ヴァルツ、悪党をやらせたら絶品。まともな人生歩めませんね。〔船〕 | ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥー |
魂のゆくえ 2017年 | ポール・シュレイダー | 6点 この映画は予告篇の出来がいい。なので中身をほぼ知らない状態で観た。あのエンドでは映画にならない。予告篇で歌われる『リパブリック賛歌』はこの映画にしっくりくる。なのに、予告篇だけの曲だったとは。〔船〕 | イーサン・ホーク、アマンダ・セイフライド |
だれかの木琴 2016年 | 東陽一 | 7点 佐津川愛美と木村美言(娘役)以外、みんな落ち着き払いすぎてる。なのでドラマのテンションも上がらない。佐津川が一人いきり立っている。もうちょっとうろたえてほしい。ラストも次の犯行予告かと思いきや、はっきりしない。〔船〕 | 美容師をストーカーする女 常盤貴子、池松壮亮、佐津川愛美 |
ちいさな独裁者 2017年 | ロベルト・シュヴェンケ | 7点 リアリティを無視したトンデモ話を作ってくれたと喜んでたら、ラストで実話ネタとわかる。実話に寄りかかる企画なのがちょっと残念。でもエンドクレジットではハチャメチャ。現代のドイツの街中にヘロルト親衛隊を出現させ、事態をのみこんでない市民にやりたい放題。〔船〕 | 大尉の軍服を拾ったドイツの脱走兵 |
チィファの手紙 2018年 | 岩井俊二 | 8.5点 メルマガでしっかり紹介したから、点数だけにしようかと思ったが…。岩井監督の演出を中国人スタッフとキャストが間近で見ている。メイキング映像もネットにあがっている。中国映画人の中に小さくない影響を残した気がする。〔船〕 | 岩井俊二監督自身の原作『ラストレター』を中国で制作 ジョウ・シュン |
父の初七日 2009年 | ワン・ユーリン、リウ・チージェ | 7点 音曲たっぷり派手でにぎやか。『ハバ・ナギラ』(ヘブライ)『怨み節』(梶芽衣子)『ハレルヤコーラス』(ヘンデル)。実際の葬式にはこんなの使わんと思う。不思議な雰囲気の映画で、台湾の葬祭儀礼と生活をほっこり気分で眺めていました。〔船〕 | 台湾版『お葬式』 |
沈黙 サイレンス 2016年 | マーティン・スコセッシ | 6点 いろいろ文句はあるが、言語の問題に引っかかる。ポルトガル人が英語を喋り、日本人がポルトガル語+英語を喋っている。ポルトガル語はパードレとパライソのみ。それをポルトガル人がファーザー、パラダイスと言い換えている。それでポルトガル語だと言っている。変すぎる!〔船〕 |
遠藤周作原作 日本のキリシタン弾圧 |
月影の下で 2019年 | ジム・ミックル | 7点 神秘的なミステリーで心惹かれる。けど、ストーリーの骨格部分で矛盾が…。タイムパラドックスのストーリーは本来的に矛盾を避けられないので、脚本づくりが難しいのはわかるが。ラストの苦いエンディングは心に突き刺さってくる。[Netflix]〔船〕 | 9年ごとに発生する奇妙な連続殺人 |
月と雷 2017年 | 安藤尋 | 8点 草刈民代が自堕落おばさん。これだけでも観る価値がある。主演の初音映莉子にとっても大切な代表作。原作通りながら、このタイトルでは映画観客には訴求しない。〔船〕 | 角田光代原作 高良健吾、藤井武美、黒田大輔 |
罪の声 2020年 | 土井裕泰 | 8点 モデルとなった事件は単独犯。この映画のように関わった人間がいっぱいいたら迷宮入りは無理。「キツネ目の男」は捜査員の錯覚によるもので、実際はあんな顔してない。似顔絵のおかげで容疑者は逃げられたとも言える。英国のシーンで、あえて字幕翻訳を出さなかった"fossil"。サン=サーンスの『化石』です。知っててちょっぴり優越感。〔船〕 | グリコ・森永事件をモデルに 小栗旬、星野源 |
デイアンドナイト 2019年 | 藤井道人 | 6点 カタルシスを求めるタイプの映画ではなかった。人は善と悪の両面がある。その両極端を安藤政信が演じる。何が正しいことなのか。正義とは何か。観る人が考えてということなんね。[Netflix]〔船〕 | メーカーを告発したあと自殺した父親 阿部進之介、清原果耶 |
Tー34 レジェンド・オブ・ウォー 2018年 | アレクセイ・シドロフ | 8点 ズシンと響く臨場感。戦車ものと潜水艦ものは面白い映画が多く、つい観てしまう。設定は秀逸で、実話ものではないよさがある。願わくばもう少し脚本に緻密さがあれば。〔船〕 | ドイツの戦車戦の演習に駆り出されたロシア兵の捕虜 |
デッド・ドント・ダイ 2019年 | ジム・ジャームッシュ | 8点 このバッドエンドにはむしろ爽快感がある。しかしティルダ・スウィントンはいったい何しに出てきたんだろう。街の入り口看板に"A Real Nice Place"と、嫌味っぽい説明あるの、見ました?〔船〕 | 地殻変動により世界的にゾンビが多発 ビル・マーレイ、アダム・ドライヴァー |
DUNE デューン 砂の惑星 2021年 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ | 8点 わが女神、レベッカ・ファーガソンがティモシー・シャラメの母親役ですと。そんな歳ではないのに。2部作の後編も観る予定。参考のため、デヴィッド・リンチ版の断片映像を観ると、予算規模が2桁ほども違うB級だが、これも観てみたいような。〔船〕 | フランク・ハーバート原作 オスカー・アイザック |
10 クローバーフィールド・レーン 2016年 | ダン・トラクテンバーグ | 8点 エンド直前まで状況を伏せ、緊張感をあおる。反面、状況がわかってしまうと普通の◯◯ものになってしまう。ガソリンのない酒瓶は火炎瓶にならんというツッコミを別にすれば満足レヴェルです。〔船〕 | ジョン・グッドマン、メアリー・エリザベス・ウィンステッド |
天国にちがいない 2019年 | エリア・スレイマン | 5点 スレイマンは役者としては半人前なので、出番を減らし、狂言回し程度にとどめるべきだ。顔を出すたび、映像が死んでしまう。喋らないスタイルもここでは不自然。CGスズメは楽しかった。〔船〕 | 映画制作実現のためにパリとニューヨークを訪れるパレスチナの監督 |
唐山大地震 想い続けた32年 2010年 | フォン・シャオガン | 8点 涙腺決壊映画。ほぼ10年ごとに刻まれるドラマを同一俳優が演じ続けるので、容貌の変わらなさは気になる。なんでもないシーンでも映像が美しく、監督のこだわりを感じる。〔船〕 | 生き別れになった家族 |
透明人間 2020年 | リー・ワネル | 8.5点 一寸先は闇で、読めない。H・G・ウェルズ作とはなっているものの、原作小説との共通点は「男が透明人間になる」だけ。原作よりはるかに優れてるのだから、堂々と映画オリジナルとうたってほしかった。主演のエリザベス・モスは、気づかなかったが、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』の超変なジャーナリスト役だった。まともでない役が似合う。〔船〕 | |
トゥルーノース 2021年 | 清水ハン栄治 | 8.5点 想定を大きく上回る秀作アニメだった。人々の気持ちがヴィヴィッドに響く。使用言語や映像スタイルに対する違和感はすぐに消えた。ただ、事実を土台にした映画の描いてるものを信用しない人間なので、創作だという認識で観ている。創作だからこそ、優れたドラマになり得ている。〔船〕 | 北朝鮮の収容所に送られた家族の物語 |
時の面影 2021年 | サイモン・ストーン | 8点 古代遺跡発掘という地味な話が自分にフィットする。かつて学んだブリテン島古代史を頭の中でおさらいしながら観たが、ヴァイキング時代の遺物という表現に違和感があって、あとで調べ直した。やはりアングロ・サクソンの侵攻よりあとの時代だった。[Netflix]〔船〕 | キャリー・マリガン、レイフ・ファインズ、リリー・ジェームズ |
トリプル・フロンティア 2019年 | J・C・チャンダー | 8点 ビターな展開が素晴らしい。ずーっとビター続きで重苦しかったから、ラストのひねりで救われた気分。オスカー・アイザックは今や米国のトップ俳優です。[Netflix]〔船〕 | マフィアの隠し使資金強奪を狙う元特殊部隊 ベン・アフレック |
ドント・ウォーリー・ダーリン 2022年 | オリヴィア・ワイルド | 8点 監督が出てるの、知らなかった。不気味な話が監督の顔でさらに不気味になる(笑)。『ビバリウム』が脳内にちらつきだし、最悪のバッドエンドを覚悟した。〔船〕 | フローレンス・ピュー、ハリー・スタイルズ、クリス・パイン |
ドント・ブリーズ 2016年 | フェデ・アルバレス | 8点 盲人の殺人者に襲われる。思わずこっちが音たてないよう息を殺してしまう。決着つけてないので、続編作る気、満々の様子。〔船〕 | 『暗くなるまで待って』の逆パターンスリラー |
トンネル 闇に鎖された男 2016年 | キム・ソンフン | 8点 韓国のダメさ加減を自嘲する自虐を含め、てんこ盛り状態。他の映画にない突出した要素が乏しいのは難だが、ラジオ放送局で思いを吐露したあとのペ・ドゥナは、ペ・ドゥナでなければならなかった必然性を証明していた。いっしょに閉じ込められたパグのテンイは「おバカちゃん」ぐらいの意味らしい。〔船〕 |
トンネル崩落事故で閉じ込められた男 ハ・ジョンウ、オ・ダルス |
ドンバス 2018年 | セルゲイ・ロズニツァ | 7点 戦闘シーンはなく、戦争の悲劇を描くわけでもない。描かれるのは戦争の原因となる事柄。ウクライナ軍による凶行に見せかけるヤラセ。それに洗脳される愚衆が延々と描かれ、見て楽しいものではない。洗脳は解けないので永遠の地獄が続く。この映画自体、一方的なプロパガンダだということは踏まえるべき。〔船〕 | ウクライナ東部ドンバスでのできごと |
ナイチンゲール 2018年 | ジェニファー・ケント | 8.5点 報復の戦いは一直線に進まず、もどかしい。主演女優より、お供をするアボリジニの青年(バイカリ・ガナンバル)の存在が光る。全編通じて映画を支えている。19世紀の話だが、根っこのところで現在とつながっている。〔船〕 | 夫と息子を殺した男を追う女 アイスリング・フランシオシ |
永い言い訳 2016年 | 西川美和 | 9点 予告篇がアレだったので今回はペケかと誤解した。ぜんぜん別物みたいに違う。誰もが指摘しそうだが、子役が素晴らしい。特に五六才の女の子のほう。演技とは思えん。映画ごとに顔を変えるカメレオン女優山田真歩も健在だ。〔船〕 | 浮気の最中に妻が事故死 本木雅弘、黒木華、竹原ピストル、深津絵里 |
凪待ち 2019年 | 白石和彌 | 8.5点 香取慎吾のファンはみなパスするだろう。悪人ではないが、ギャンブル依存症者のダメ男。実に格好悪い。全編に暗い陰が覆ってる映画で、明るくない。絶対ヒットしない映画だが、僕的にはストライクゾーンのど真ん中。〔船〕 | 西田尚美、恒松祐里、吉澤健、リリー・フランキー |
ナチス第三の男 2017年 | セドリック・ヒメネス | 7.5点 ジェイソン・クラークの絵になる不敵な面構え。それだけで映画的な成功が約束されたようなもの。後半、視点が暗殺チーム側に移ってしまい、印象がぼやけた。暗殺側を一切描かないストーリーにできなかったのか。〔船〕 | ハイドリヒが暗殺されるまで ロザムンド・パイク、ミア・ワシコウスカ |
名もなき歌 2019年 | メリーナ・レオン | 6点 この嬰児誘拐のシステムは事業的に採算が取れてない気がする。キュアロンの『ROMA ローマ』に似た雰囲気に惹かれたんだけど。〔船〕 | 赤ん坊を奪われた母親 |
日曜日の散歩者 わすれられた台湾詩人たち 2015年 | ホアン・ヤーリー | 8点 詩を現代アートの映像作品に転換している。言葉と文章、絵と彫刻、音楽と写真と映像の総合芸術。ドキュメンタリの枠組みからは完全に逸脱している。欲張りすぎな印象もあるが、刺激的で、もう一回観たい。〔船〕 | 日本語で新しい台湾文学を作ろうとした詩人たち |
日本で一番悪い奴ら 2016年 | 白石和彌 | 6点 まるで北海道警綾野組。警察にこんなのがいたら、市民は安閑としてられません。[Netflix]〔船〕 | 警察の組織ぐるみ犯罪 綾野剛、ピエール瀧 |
寝ても覚めても 2018年 | 濱口竜介 | 8.5点 強烈な映画。ヒロインの唐田えりかはあどけない顔を崩さない。だからこそインパクトがある。占部房子に雰囲気の近い人がいる、と思ったら占部房子だった。顔もろくに映らない役で。〔船〕 | 東出昌大、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、田中美佐子、渡辺大知、仲本工事 |
ノウイング 2009年 | アレックス・プロヤス | 8.5点 ニコラス・ケイジ。今はひどいですが、この頃はまともな俳優でした。人類の滅びを受け入れる潔さに感動する映画です。ただ、前半の予言部分と後半の「選ばれし者」が乖離してると思ったので、再見した。やはりつながらない。気持ち的には傑作の9点なんですが。[Netflix]〔船〕 | 50年前のタイムカプセルから人類破滅の予言 |
残された者 北の極地 2018年 | ジョー・ペナ | 7点 こういう厳しいサバイバルもの、好きなんです。若い女性のほう、ドラマに関わってくると思ったのですが。マッツ・ミケルセンはなんというか、助かるほうへ行かなきゃならんところで、なんで逆行くかね。〔船〕 | 遭難した二人 |
バード・ボックス 2018年 | スザンヌ・ビア | 7点 スリリングなホラーサスペンスの良作。なんだけど、襲いかかる地球規模の危機についてなんの設定もしてないのが気になった。そして何も解決せずに終わってしまう。サンドラ・ブロックが出産するシーンがある。吉永小百合顔負けの若化けだ。[Netflix]〔船〕 | 自殺衝動の症状が世界中で蔓延 |
ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから 2020年 | アリス・ウー | 6点 引っかかる部分が多く、入りそこねる。中国人少女の学業成績が飛び抜けて優秀なことを強調しすぎているような。米国人(特に男性)はアホばかり。そういう傾向はあるにしても、やりすぎで反感を買う。近年は米国人の中国嫌いが高まっていることを意識すべき。[Netflix]〔船〕 | ラブレターを代筆する内気な女の子 |
ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 2016年 | ショーン・エリス | 7点 ハイドリヒ祭りと銘打ったか打たぬか、『ナチス第三の男』と同日公開の京都シネマ。どうせやるならハシゴして一気に観れるようにしてほしかった。暗殺も事後の逃走も、不手際・無計画が露呈して素人くさい。リアルであることはわかるが、虚しさが残る。〔船〕 | キリアン・マーフィ |
バクラウ 地図から消された村 2019年 | クレーベル・メンドーサ・フィーリョ、ジュリアーノ・ドルネリス | 7点 上映時間の2時間11分がちょっと気になっていた。やはり長い。テンポが鈍い。キワモノはたたみかけるようなスピード感がほしい。〔船〕 | 何者かに攻撃される村 ソニア・ブラガ、ウド・キアー |
運び屋 2018年 | クリント・イーストウッド | 7.5点 ぶざまに演じてくれれば傑作になりえたけど、そこまでイメージを壊せなかった。役の立ち位置もふらついてるように感じ、キャラがわかりづらい。警官相手ならうろたえるのに、なんで麻薬組織の中ではリラックスしてられるのか。〔船〕 | コカインの運び屋 クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー |
バスターのバラード 2018年 | ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン | 7点 西部劇という一点つながりのバラバラな6篇オムニバス。5番目のエピソードに心惹かれる。が、やはり皮肉なエンディング。意地の悪い監督。[Netflix]〔船〕 | ティム・ブレイク・ネルソン、ゾーエ・カザン |
パターソン 2016年 | ジム・ジャームッシュ | 8点 手書きで書かれる詩が美しい。文章が美しい。日本語とは違った美しさがある。エンドクレジットを見てブルドッグのネリーが映画完成前に亡くなっていたことを知った。作品というものは(この場合は詩だが)、まわりがもてはやすほどには作者自身は大層に思ってない。消失してもさほど落ち込まない。〔船〕 |
バス運転手の詩人 アダム・ドライヴァー |
はちどり 2018年 | キム・ボラ | 8点 誰だよ『冬の小鳥』系だと言ってたの。僕? イマイチ気分で観てたら、漢字塾教師(キム・セビョク)が登場したとたん、シャキッとなった(美形とかいう意味ではなくて)。そうなんだ。一日一日を大切に生きねば。〔船〕 | 1994年の韓国中二女子の日々 パク・ジフ |
Passing 白い黒人 2021年 | レベッカ・ホール | 6点 ルース・ネッガは白人として通用するかな。テッサ・トンプソンは絶対無理。なのに白人のふりをしてる。ジェシカ・アルバとか、無理なく白人を演じられる黒人女優はいるのに。女優の監督デビュー作をたてつづけに観たけど、オリヴィア・ワイルド以外はみな、肩に力が入りすぎてる。[Netflix]〔船〕 | 白人になりすましている黒人女性 |
ハッピー・デス・デイ 2017年 | クリストファー・ランドン | 7点 笑える悲惨な話だが、いろいろと脚本に工夫があって楽しい。続編もあるけど、たぶん蛇足でしょう。[Netflix]〔船〕 | 殺されてはまたその日の朝に戻ってやり直し |
バハールの涙 2018年 | エヴァ・ウッソン | 7点 制作会社のマークが招き猫で、社名はManeki Films。日本は無関係。フランスの会社らしい。演出としては、わかりきったことをセリフで説明させたりとか、もどかしい部分がある。〔船〕 | 息子たちをISから救出するため女性部隊「太陽の女たち」を率いる ゴルシフテ・ファラハニ |
パピヨン 2017年 | マイケル・ノアー | 8点 なんの映画のシーンかわからなくなってたエピソードが旧『パピヨン』だったことに気がついた。修道女にかくまってもらったら、だまされて収容所に「売られる」エピソード。その時の院長は言う。「あなたにとってよかれと思って」とかなんとか。キリスト教の欺瞞性を的確に描いている。このシーン、新『パピヨン』ではキリスト教に忖度したのか批判性を封印した。流刑地を自分の居場所と思いさだめるドガ(ラミ・マレック)など、いいシーンはあったんですよ。[Netflix]〔船〕 | 孤島の監獄から脱獄 チャーリー・ハナム |
母と暮せば 2015年 | 山田洋次 | 7点 台本のセリフがこなれてないのが気になったが、じんわりと悲しみの突き刺さってくる映画でした。黒木華はオールマイティで信頼の証みたいな役者です。この映画は広岡由里子をはじめとして、脇がしっかりはまっている。〔船〕 | 長崎の原爆で死んだ息子が母に会いにくる 吉永小百合、二宮和也、本田望結 |
浜の朝日の嘘つきどもと 2021年 | タナダユキ | 7点 タナダユキは監督作品が非常に多いけど、代表作がない。本作も惜しいけど、演出にゆるみがあってあと一歩。大久保佳代子は個人的にブレイクしてる印象。今回はこの人が映画を盛り立てている。タイトルは意味不明だが、観ても意味不明。〔船〕 | 閉館目前の映画館を立て直そうとする女性 高畑充希、柳家喬太郎 |
パラサイト 半地下の家族 2019年 | ポン・ジュノ | 8.5点 浮き草の上でかろうじて生きてる感覚は僕にもあるので、他人事ではない。この映画はどこを切り取っても韓国映画そのもの。その上質な部分を寄せ集めている。先の展開は読めない。『オクジャ』も観たい。〔船〕 | 富豪にとりつく寄生虫家族 ソン・ガンホ、チャン・ヘジン |
パリ13区 2021年 | ジャック・オディアール | 7点 なんでこんなマイナーな映画にたくさん入ってるのか。と思ったら成人指定。そんなの期待して来るんか。パリの街と人々。ひたすら眺める。自由闊達に恋愛できるのが羨ましい。〔船〕 | 若者たちが交差する街、パリ ノエミ・メルラン |
ハロウィン 2018年 | デヴィッド・ゴードン・グリーン | 8点 被害者側と加害者側。追う者と追われる者の立場が逆転しかけている印象。再対決に備え、元の被害者が40年をかけて準備している。れっきとした狂気です。狂気と狂気の激突。常識を超えた悪鬼には非常識が唯一の対抗武器。〔船〕 | 第一作から40年後の再対決 ジェイミー・リー・カーティス |
パワー・オブ・ザ・ドック 2021年 | <ジェーン・カンピオン/td> | 6点 コディ・スミット=マクフィーがウサギを解剖するシーンは何かの伏線かと思ったら、そうつながるのか。[Netflix]〔船〕 | ベネディクト・カンバーバッチ、キルスティン・ダンスト、ジェシー・プレモンス |
半世界 2019年 | 阪本順治 | 7点 稲垣吾郎は職人としての体の動きがこなれてないのが気になる。脇の役者も同様で、演出が行き届いてない。池脇千鶴はさすがといおうか、独自の存在感をかもしている。〔船〕 | 田舎へ帰ってきた元同級生 長谷川博己、渋川清彦 |
PMC:ザ・バンカー 2018年 | キム・ビョンウ | 8点 トランプも金正恩もいない2024年の世界。フィクションなのでやりたい放題。あり得ないを封印して怒涛のアクションが爆走する。高層から落下しながらのアクションもすばらしい。〔船〕 | 北朝鮮の要人誘拐計画 ハ・ジョンウ |
PIG ピッグ 2021年 | <マイケル・サルノスキ/td> | 6点 眠たすぎ。意欲作必ずしも秀作とはならず。ニコラス・ケイジもこれならB級アクションのほうを観たくなる。ブタに名前をつけてないのはけしからんが、クレジットでは役者豚の名前があがっていた。〔船〕 | トリュフ探索用の豚を盗まれた |
ヒットマンズ・ボディガード 2017年 | パトリック・ヒューズ | 8.5点 アクションシーンがド派手な上に垢抜けててノリノリ。近年では珍しく「手に汗握る」感を満喫した。極悪はベラルーシ大統領(ゲイリー・オールドマン)。ええ根性や、と思ったが、ベラルーシのことを宣伝で使わないよう配慮してるみたいだ。[Netflix]〔船〕 | ライアン・レイノルズ、サミュエル・L・ジャクソン、エロディー・ユン |
ひとよ 2019年 | 白石和彌 | 6点 『蜜蜂と遠雷』ではどうにも収まりが悪かった松岡茉優。ここでは不思議ちゃんキャラが噴出し、水を得た魚のよう。暗く重たい映画に唯一の光明。〔船〕 | 子供たちに暴力を振るう夫を殺した女 佐藤健、鈴木亮平、田中裕子 |
ビバリウム 2019年 | ロルカン・フィネガン | 6点 IMDbの評価が5.8と低かったのは納得できた。映画の出来はともかく、不快感を意図的にあおっている。バッドエンディング映画はよく観たが、この映画は全編を通じてバッドだった。〔船〕 | 出られない住宅地に閉じ込められた若夫婦 ジェシー・アイゼンバーグ、イモージェン・プーツ Vivarium=動物の飼育場 |
ヒメアノ~ル 2016年 | 吉田恵輔 | 8点 このところずっと、いろんな意味で「ヤバイ系」の映画ばかり観てる気がする。森田剛が演じるこの連続殺人犯もまた、振り切れている。それでいてごく普通にいそうな危うさ。他の殺人鬼と違って妙に感情移入したくなるやつです。〔船〕 | 濱田岳、佐津川愛美、森田剛、ムロツヨシ、山田真歩、山中聡 |
ビューティフル・デイ 2017年 | リン・ラムジー | 8点 全身からヤバそうな空気が噴出するホアキン・フェニックス。行く手を遮る男たちをハンマーで殴り倒していく。存在そのものがぶっ飛んでいる。〔船〕 |
行方不明者捜索人が少女を救出 エカテリーナ・サムソノフ |
ビルド・ア・ガール 2019年 | コーキー・ギェドロイツ | 7点 おそろしくパワフルな16歳(演じるのは二十代後半)。この行動力、芯の強さ、真似できない。ビーニー・フェルドスタインは今後どうなっていくのか。水槽で飼っておくと面白そうだが。[Netflix]〔船〕 | ライターをめざす16歳 |
ファースト・マン 2018年 | デイミアン・チャゼル | 5点 この映画をどう楽しんでいいのかわからず、途方にくれた。わかりきった話を延々と。ある種の人たちは、アームストロングが月面を歩くのを見るだけで感動するのかも。[Netflix]〔船〕 | 宇宙飛行士ニール・アームストロング ライアン・ゴズリング |
ファイター、北からの挑戦者 2020年 | ユン・ジェホ | 8点 ビターなテイストにしびれる。ボクサーの映画なら普通、試合シーンをたっぷり入れて盛り上げるのに、それをやらない。ラストのクライマックスすら、ばっさりでエンド。主人公が試合に勝つシーンのないボクシング映画って、たぶん初めて。〔船〕 | 脱北女性がボクシングに挑戦 |
フィフス・ウェイブ 2016年 | J・ブレイクソン | 7点 強大な力を持つエイリアン軍に対し、生き残った子供たちだけで対決しようとする。あまりにも無理筋でツッコミ満載。けど、エイリアンの悪辣な手口がウクライナを攻撃するロシア軍にかぶって見える。続編を作る気満々だが、ヒットせず、中止。タイトルもわかりにくいし。[Netflix]〔船〕 | 異星人の地球侵略 クロエ・グレース・モレッツ |
15ミニッツ・ウォー 2018年 | フレッド・グリヴォワ | 8点 緊張感が半端ではない。実話ベースの話だと、どこまでが事実なのかと迷うが、この手の話は大枠だけ実話から借りてきて、事実は1ミリもないというのが定石。特殊部隊の隊長(アルバン・ルノワール)をはじめとして、それぞれ味のあるキャストだ。〔船〕 | スナイパー全員同時射撃でバスジャック犯必殺 オルガ・キュリレンコ |
フェアウェル 2019年 | ルル・ワン | 7点 予告篇でも認識してたが、ヒロインの俳優はどうにも信頼のおけないタイプの顔つきなのだ。そこで引っかかったか、どうにも感情移入を拒んでいる。〔船〕 | 余命宣言を受けたおばあちゃんの元に親族一同が集まってくる |
ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 2019年 | オリヴィア・ワイルド | 8点 「勉強はできるんですけどォ」みたいなタイトル(Booksmart)で揶揄されるガリ勉女子二人。逃した青春を卒業前日の一晩で取り戻そうと悪あがきする。監督デビュー作は大成功。さっそく次回作が期待される。〔船〕 | ケイトリン・デバー、ビーニー・フェルドスタイン |
プライベート・ウォー 2018年 | マシュー・ハイネマン | 8点 腰の入った制作に敬意を表する。主役のロザムンド・パイクがインバクトある。ラストで実物のメリー・コルヴィンの姿が見られる。役者より実物が美形だった。〔船〕 | 女性戦場記者メリー・コルヴィン |
ブラック・クラブ 2022年 | アダム・バーグ | 7点 特殊任務を帯び、氷った海をスケートで進む6人の小隊。呆れるほどの説明不足は脚本の問題と思うけど、チームが氷の上を進む映像は美しくてスリリング。映像的には満足してる。意味不明な日本語タイトルは失格レヴェル。[Netflix]〔船〕 | スケートで究極兵器を運ぶ小隊 ノオミ・ラパス |
ブラック・クランズマン 2018年 | スパイク・リー | 8点 背景となる時代は古いが「おバカな差別主義者を米国人が大統領に選ぶわけない」とか、今の米国民を痛烈に皮肉るセリフがあった。ラストも大笑い。映画なんだからこういうお楽しみがなきゃね。ジョン・デヴィッド・ワシントンの声色は癖がありすぎで、アダム・ドライヴァーとの二人一役は無理と思う。〔船〕 | KKKへの潜入捜査に挑む黒人警察官 ローラ・ハリアー、トファー・グレイス |
ブラックボックス 音声分析捜査 2021年 | ヤン・ゴズラン | 8点 生真面目で、時に思い込みで暴走する調査員役にピエール・ニネがぴったり。陰謀か?妄想か?二転三転。真相はいかに。〔船〕 | 墜落した航空機を音声分析官が調査 |
ブラッド・レッド・スカイ 2021年 | ピーター・ソーワース | 8点 気合の入りまくったモンスター・アクション映画。吸血鬼ということになってるけど、どう見てもゾンビだろう。忘れそうにない強烈なインパクトがあった。[Netflix]〔船〕 | ハイジャックされた飛行機の1乗客がモンスター |
フランシス・ハ 2012年 | ノア・バームバック | 7点 初見です。意味深に見えたタイトルの意味をラストで知って、ずっこけた。台本ないんかと思うほど自由な会話の応酬。若者たちがこれだけ交差してる中、ヒロインの恋愛がカケラも見えないのが不思議。ラストのダンス公演は位置付けがわからず、結果、映画に対する評価が不可能。〔船〕 | ダンサーをめざすフランシス グレタ・ガーウィグ、アダム・ドライヴァー |
BLUE ブルー 2021年 | 吉田恵輔 | 8.5点 久しぶりにボクシング映画の傑作が現われた。熱くなる。柄本時生ちゃん、顔はブサイクで性格もイマイチだけど、いいです(どこが)。〔船〕 | 松山ケンイチ、木村文乃、東出昌大 |
ブルーアワーにぶっ飛ばす 2019年 | 箱田優子 | 6点 ここでのシム・ウンギョンの起用は理解不能。『新聞記者』では日本語発音の弱さを納得させる設定があったし、撮影が『ブルーアワー』のあとだったので日本語は上達していた。『ブルーアワー』では純日本人という設定なのに、発音は外国人の日本語。黒田大輔は毎度の変な役をやっている。まともな役をもらえない可哀想な人。〔船〕 | 夏帆、渡辺大知、上杉美風、南果歩 |
ブレット・トレイン 2022年 | デヴィッド・リーチ | 8点 この映画は突っ込み始めると止まらないから封印する。一つだけ書く。京都を出発して西へ向かった列車が、最終的には京都の街中に突っ込んでること。重要な役回りのジョーイ・キングは『ホワイトハウス・ダウン』(2013年)の子役。こちらも主演に劣らない活躍ぶり。〔船〕 | 伊坂幸太郎原作 ブラッド・ピット、マイケル・シャノン、真田広之 |
ブレンダンとケルズの秘密 2009年 | トム・ムーア | 8点 ケルズの書の世界を感じさせる美しいアニメ。ブリテン島がアングロサクソンに攻めたてられていたのと同様に、アイルランドも激しくヴァイキングに侵略され、悩まされていたことを感じさせる。反面、ヴァイキングは凶暴な魔物扱いで、スカンジナヴィアの人たちにとっては不愉快だろう。〔船〕 | ケルズの書が書かれる |
フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 2017年 | ショーン・ベイカー | 8点 放し飼いの野獣たちが暴れまくってるような映画で、「このまま目立ったドラマもなく終わるのか」と思いかけていた。そんなわけないだろ。ハッと息を呑むよなエンディング。貧富の落差と孤独感が短いシーンに凝縮される。インパクトと重い余韻を残した。〔船〕 |
貧民が集う安モーテル ウィレム・デフォー |
ベイビー・ブローカー 2022年 | 是枝裕和 | 6点 韓国人が演じる韓国映画なのに、中身は韓国映画風ではない。同じ韓国映画の『モガディシュ』とハシゴして観たけど、『ベイビー〜』をあとにしてたら、冗長すぎて確実に爆睡してた。〔船〕 | ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ |
白頭山大噴火 2019年 | イ・ヘジュン、キム・ビョンウ | 8点 韓国映画の映像表現力の強さは世界一と思う。この手の、まともに考えたらありえないストーリーでも真剣に取り組んでいる。マ・ドンソクが体力勝負なしでメガネかけたインテリ。不思議と似合っている。〔船〕 | 火山の噴火を止めるために北朝鮮の核爆弾を盗んで使う韓国軍 ハ・ジョンウ 、イ・ビョンホン ペクトゥサン〜 |
ペット・セメタリー 2019年 | ケヴィン・コルシュ、デニス・ヴィトマイヤー | 7点 前回の映画化とはまったく異なったエンディング。パスコウ青年の幽霊は今回ほとんど何もせんのかい!と突っ込んでしまいました。[Netflix]〔船〕 | スティーヴン・キング原作 ジェイソン・クラーク |
ヘルドッグス 2022年 | 原田眞人 | 9点 岡田准一は悪相がいやで見ないようにしてたが、『ザ・ファブル』シリーズで評価を変えた。コメディセンスがイマイチなんだけど、演技に対する真剣度を感じた。新作ではアクションの質、および動きのないシーンでのただならぬ気配など、高く評価できた。彼以外の役者もみな、キャラが立って存在感がある。個人的には潜入捜査物でのベストワン。惜しいのは、松岡茉優がセリフで滔々と自分の思いを語る部分。映画は言葉で説明したらあかんのです。〔船〕 | 暴力団組織に潜入する凄腕捜査官 坂口健太郎、MIYAVI、北村一輝、木竜麻生、中島亜梨沙、吉原光夫、村上淳 |
ヘレディタリー 継承 2018年 | アリ・アスター | 8点 トニ・コレットのエグいご面相で敬遠してたけど、秀逸なホラー。基本グロなしで、不穏をかもす気配で恐怖を描くから、感覚が鋭い人ほど強く感じ取る。霊的なものを少しでも信じる人はNG。怖すぎてチビるかも。[Netflix]〔船〕 | ガブリエル・バーン |
返校 言葉が消えた日 2019年 | ジョン・スー | 6点 観てる時はわけがわからなすぎて気力が削がれたが、観終わって悪い印象はない。イメージのみ濃厚で、細かいストーリーを無視できるから。暗黒時代を知る現地の人はリアルな恐怖を感じとれるんだろう。「返校」は「学校に戻ること」だって。〔船〕 | 台湾の暗黒時代を描いたホラー・ゲームの映画化 |
芳華 Youth 2017年 | フォン・シャオガン | 8.5点 映像センスが秀逸。役者も美麗で、目に嬉しい。主演の二人より、語り手の女性のほうに感情移入する。香港がからむアクション大作か、超マイナーしか中国映画は基本、海外に売れない。純中国の娯楽映画が公開されるのはいいことだ。フォン・シャオガンの映画を2本立て続けに観て、中国の漢字表記には簡体字以外にもう一つ字体があることを知った(繁体字ではない)。それをなんというのかは知らない。〔船〕 | 中国軍慰問芸能団の文工団の若者たち |
ポエトリー アグネスの詩 2010年 | イ・チャンドン | 8.5点 切羽詰まった状況の中で一遍の詩が生まれる。描かれる世界は大人も子供も自己チューの韓国病で、美しくないが、美しい詩を観た想いだ。〔船〕 | 孫息子が少女の自殺に関わったことを知った老女 |
ホース・ソルジャー 2018年 | ニコライ・フールシー | 7点 米軍特殊部隊が北部軍閥と共闘してタリバンの軍事拠点を奪い取る話。20年前の設定。今観ると状況が反転していて、皮肉な面白さがある。あれだけ派手な戦闘をくぐり抜けて米軍側の犠牲者ゼロは、タチの悪いジョークです。[Netflix]〔船〕 | 特殊部隊をアフガンへ投入 クリス・ヘムズワース、マイケル・シャノン |
ボーダーライン ソルジャーズ・デイ 2018年 | ステファノ・ソッリマ | 9点 一作目も秀作だけど、中身の濃さは二作目が上。救出されたマフィアボスの娘(イザベラ・モナー)の、絶望感のある表情が強く残る。[Netflix]〔船〕 | 麻薬組織のボスの娘をCIAが偽装誘拐 ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン |
僕たちのラストステージ 2018年 | ジョン・S・ベアード | 7点 スタン・ローレル(スティーヴ・クーガン)はあまりにも印象が違いすぎる。実話もの映画は年表的な経過事実を別にすれば、すべて創作。実物とは別物と思えば納得できはする。二人の妻との関係が違うベクトルを生んで、深みが出た。〔船〕 | ローレル&ハーディの晩年 ジョン・C・ライリー |
ボクたちはみんな大人になれなかった 2021年 | 森義仁 | 7点 走馬灯のような映画。こういうの観ると、自分もつい自分の過去をなぞりたくなってしまう。たいしたことないんだけど。伊藤沙莉は不思議ちゃん全開で、いいね。[Netflix]〔船〕 | 森山未來、萩原聖人、東出昌大、SUMIRE、篠原篤 |
星の子 2020年 | 大森立嗣 | 6点 設定に興味を持ったけど、細かいエピソードが数珠つなぎ。映画の芯になる部分が見えなかった。〔船〕 | 両親は怪しい新興宗教にどっぷり 芦田愛菜、永瀬正敏、原田知世、蒔田彩珠 |
ホテル・ムンバイ 2018年 | アンソニー・マラス | 8.5点 実話をネタにした感動ものに仕立て上げられてたらヤだな、というのは杞憂だった。シリアスの連続で感動どころじゃない。唯一、この状況で料理長が無傷というのは無理あるな、と思ったぐらい。〔船〕 | ムンバイで発生した同時多発テロ デヴ・パテル、アーミー・ハマー |
麻雀放浪記2020 2019年 | 白石和彌 | 8点 リメイクでも続編でもなかった。SFも込みのオリジナルストーリー。2020年が舞台の近未来なので、公開延期は不可能。「えっこんなのがヒロイン?」と思ったチャラン・ポ・ランタンのもも。だんだん可愛らしくなって気持ちがシンクロしてくるのが不思議だった。〔船〕 | 阿佐田哲也原案 斎藤工、ベッキー、ピエール瀧、矢島健一、小松政夫 |
マーティン・エデン 2019年 | ピエトロ・マルチェッロ | 8点 資本主義・自由主義・社会主義・個人主義。あれこれ考えることが多々あって、刺激を受けた。何が最も人々を幸せにするのか、再度考えてみたい。〔船〕 | ジャック・ロンドンの自伝の映画化 |
マイ・ニューヨーク・ダイアリー 2020年 | フィリップ・ファラルドー | 7点 自己主張しすぎる顔のせいで落ち着かなくなるが、見てるうちに慣れてくる。このマーガレット・クアリーという人、どんな役が似合うかと考えるが、『ストレンジ・アフェア』のような不気味キャラがやはり適役。〔船〕 | サリンジャーを担当する新米編集アシスタント シガニー・ウィーヴァー |
マイ・ブロークン・マリコ 2022年 | タナダユキ | 8点 またもや女性が暴走する映画(好みのタイプ)。先の予想ができず、引きずり回される。黒ヘルメットの悪党はどうなった。とどめを刺してないから生きてるんだろうけど。〔船〕 | 親友の遺骨をかっさらって旅に出る 永野芽郁、奈緒、窪田正孝 |
マクマホン・ファイル 2020年 | ディー・リース | 8点 IMDbの評価点数が4.3と、B級ホラーかと思うような低さ。その理由を想定したけど、想定通りのストーリーだった。米国人はこういったシビアすぎる映画を嫌う。点数が低いから観たという、変な映画。関係ないが、監督は黒人女性。これは珍しい。[Netflix]〔船〕 | アン・ハサウェイ、ベン・アフレック、ロージー・ペレス |
MOTHER マザー 2020年 | 大森立嗣 | 7点 今年の主演女優賞を獲る勢いの長澤まさみ。死んでも治りそうもないダメ女。映画は、悲惨の「惨」数珠つなぎでドラマとしての起伏がなさすぎる。〔船〕 | 社会からドロップアウトした一家 阿部サダヲ、夏帆 |
マザー アンドロイド 2021年 | マットソン・トムリン | 8点 同じ主演で熾烈なディストピアを続けて観てしまった(もう一本は『フィフス・ウェイブ』)。出来はこちらが上だけど、きついマゾな映画。[Netflix]〔船〕 | AIロボットの一斉蜂起で人類の危機 クロエ・グレース・モレッツ |
マスカレード・ホテル 2019年 | 鈴木雅之 | 7点 普通に娯楽映画として楽しめる出来栄えでありました(ツッコミどころはもちろんあり)。木村拓哉はかろうじて許せるかなという悪相で、よくこんな顔で俳優が務まるよな。犯人は「らしくない」こいつだと最初から目星つけたら、見事ハズレ。[Netflix]〔船〕 | 東野圭吾原作 長澤まさみ |
街の上で 2021年 | 今泉力哉 | 8点 最初は「えらいのを観てしまった」と悔やんだのに、いつのまにか没頭してしまっている。不思議な空気が漂っている。4人いるメインの女優で中田青渚のユニークさが際立つ。[Netflix]〔船〕 | 浮気されてフられた彼 若葉竜也、古川琴音、成田凌 |
まともじゃないのは君も一緒 2021年 | 前田弘二 | 7.5点 成田凌と清原果耶コンビが絶妙。特に成田のキャラはユニークさで類例を見ない。胡散臭いオヤジに小泉孝太郎も、ぴったり(地のまま?)。エンドクレジットにミス発見。ハイドンの弦楽四重奏曲第17番『ひばり』第2楽章とあった。そんな曲は存在しない(使用した曲はハイドンですらなかった)。〔船〕 | 数学バカの予備校講師相手に恋愛指南する女子高校生 |
マリアンヌ 2016年 | ロバート・ゼメキス | 9点 戦争が必然的に持つ「冷たさ」を鋭利に描く傑作。ドイツ・連合国ともに、国のためなら個人は消耗品。ラストでわずかに血の通う描写があるのが救いといえるのか。[Netflix]〔船〕 | マリオン・コティヤール、ブラッド・ピット |
マリッジ・ストーリー 2019年 | ノア・バームバック | 8点 シリアスな離婚劇。おチビ時代から見ているスカーレット・ヨハンソンが、堂々たる役者に育ったことが感慨深い。ここでは現代に生きる等身大の人物を元気いっぱい演じている。このあとどんな役者になっていくのか、興味深い。〔船〕 | アダム・ドライヴァー |
Mank マンク 2020年 | デヴィッド・フィンチャー | 6点 映画の出来栄えとは無関係に、イマイチ話に乗れない。フィンチャーさんも巨匠におなりあそぱした。MonkyとMankieの読みはともにマンキーだけど、英語ネイティヴにははっきり違いがわかるんだなと、映画の中のジョークで気がついた。[Netflix]〔船〕 | 『市民ケーン』の脚本家のハーマン・マンキーウィッツ |
万引き家族 2018年 | 是枝裕和 | 8点 『誰も知らない』は家族を死守するために奮闘する話だった。こちらはニセ家族を共同で妄想する話。ふわりと温かさがにじむ。樹木希林の「おしゃべりの男って、ダメねぇ」というセリフに思わず手を叩きそうになった。リリー・フランキーが少年から「僕を捨てて逃げたの?」と聞かれ、「ウン…。ごめん」と言ったのも心に残る。〔船〕 | 安藤サクラ、松岡茉優、高良健吾、池脇千鶴 |
ミセス・ノイズィ 2020年 | 天野千尋 | 6点 生理的嫌悪感をかきたてる。だからあのエンドなんだろうけど、それこそ登場する編集者が言う「底の浅い、深みのない話」に堕す。とことん突き落とす、ぐらいでないと一皮むけない。作家の主観映像部分でも作家の非常識は目につく。だから視点を変えてもくるりと反転しないのだ。〔船〕 | 早朝からの派手な布団叩きにブチ切れる作家 篠原ゆき子 |
ミッドサマー 2019年 | アリ・アスター | 8点 スウェーデンの民俗をベースにして新たな虚構世界をひらいた意欲作。音楽を含め、すべてが創作だけど、どっぷりスウェディシュ・フォークロアを楽しめる。主演のフローレンス・ピューは印象薄かったが、ラストはきっちりイメージの焦点を結んだ。ウィル・ポールターが途中で消滅したのが気になる。何か見落としたのか。〔船〕 | 大学生グループがスウェーデンの夏至祭に招かれる |
ミッドナイト・スカイ 2020年 | ジョージ・クルーニー | 8点 あまりに類似してるから『ユピテルとイオ』と原作が同じかと思った(どちらもNetflixの映画)。はっきり明示しなかったのでエンドの一部解釈に自信がないが、まあそういうことだったんだろう。幼い女の子が鍵を握る。ソーラ・バーチの子供の頃を美人にしたような女の子。という表現でわかる人いるんかいな。[Netflix]〔船〕 | 住めなくなった地球に宇宙飛行士が帰還してくる フェリシティ・ジョーンズ |
ミッドナイト・バス 2018年 | 竹下昌男 | 8点 知らない監督、地味なキャスト、2時間半を超える長尺。バクチだったが、当たりと出た。家族の物語にじんわりとひたりきった。切なさ、哀しさが沁みるようだ。娘役の葵わかなは演技の振り幅が大きい。将来有望。〔船〕 | 原田泰造、山本未來、小西真奈美 |
蜜蜂と遠雷 2019年 | 石川慶 | 8.5点 東宝ではなくアスミックなどの中堅クラスの配給会社だったら、普通レヴェルだったのかも。東宝映画の製作、東宝配給だったからこその驚きだったのかも。4人の主演者の中で森崎ウィンの陰が薄い。途中、指を折って数えて「あれ、3人しかいない」と錯覚した。〔船〕 | 原作:恩田陸 松岡茉優、松坂桃李、鈴鹿央士 |
みなさん、さようなら 2013年 | 中村義洋 | 8.5点 映画館で観た時より鋭く突き刺さってくる。団地引きこもりという珍しい例だが、自分と近い部分があるのだろうか。主人公はチンピラどもと対決するが、いくら体を鍛えても、それだけではこんな連中に勝てない。相手との間合いや呼吸が読めなきゃ、無理。[YouTube]〔船〕 | 団地の中だけで生きていくと決心 濱田岳、波瑠 |
ミュンヘン:戦火燃ゆる前に 2021年 | クリスティアン・シュボホー | 8点 英独の若い外交官2人が歴史を動かそうと画策する政治サスペンス。歴史の中で架空人物を配置し、大胆に嘘話をでっち上げたことを評価する。英国サイドの身びいきは気になった。チェンバレン首相を持ち上げすぎだろ。彼がそこまで未来を読みきってたとは思えない。[Netflix]〔船〕 | 1938年のミュンヘン会談 |
6日間 2017年 | トア・フレイザー | 7点 特殊部隊が突入し、人質の犠牲は最小限。実話を素材にした映画はどこまでが嘘なのかがはっきりしなくて困る。ジェイミー・ベルが突撃部隊のリーダー、というだけで「大丈夫なの?」と心配になってくる。[Netflix]〔船〕 | イスラムのテロリストにレバノンのイラン大使館が占拠される アビー・コーニッシュ、マーク・ストロング |
無垢の祈り 2016年 | 亀井亨 | 8点 人に勧めるのを躊躇するぐらい、いやーな空気が充満している。異常な世界だが、現実にありうる世界。少女が絶望して発する言葉が痛い。〔船〕 | 義父に虐待される少女 |
息子の面影 2020年 | フェルナンダ・バラデス | 8.5点 メキシコ社会のすさまじく深い闇が感じ取れる映画。圧倒的な映像で見せる。ネタバレ厳禁なエンドだが、監督に「してやられた」感があった。監督はこれが映画デビューで、女性です。〔船〕 | メキシコから米国へ向かって消息を絶った息子を探す母親 |
メアリーの総て 2017年 | ハイファ・アル=マンスール | 8点 エル・ファニングが美しく撮られている。それだけで見る価値がある。義妹役のベル・パウリーは要注目だが、あとで調べるまで『マイ・プレシャス・リスト』の主演だと気づかなかった。メアリーの父親は「他人の思想や言葉を振り払え、自分の声を探せ」と言う。受け売りでは何者にもなれない。〔船〕 | フランケンシュタインの怪物を生んだメアリー・シェリー |
モガディシュ 脱出までの14日間 2021年 | リュ・スンワン | 7点 北と南がいっしょに脱出したという一点を除けば全部フィクション。娯楽映画としての潤色も限度を超える。協調して脱出した事実を伏せるため、ケニアの空港では互いに視線を合わすこともできない。そこにこの映画最大のキモがある。〔船〕 | ソマリア内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館 キム・ユンソク |
モスル あるSWAT部隊の戦い 2019年 | マシュー・マイケル・カーナハン | 8点 キャスティングがしっかりしてると思ったら、米国映画。中でもリーダーのキャラが強力。ラスト、最終目的地がそこだったというのは意表をつくが、そうなると話が微妙によじれてしまうような。〔船〕 | ISに家族を殺された警官で組織されたイラクの特殊部隊 |
MONOS 猿と呼ばれし者たち 2019年 | アレハンドロ・ランデス | 8.5点 どっぷり異世界体験。感覚の映画なのでストーリーを追っても意味ない。アートフィルムではありません。ちゃんとストーリーはあります。野暮を承知で書くが、一つの基地を子供たちだけで運営するのは無理。トラブるのは当たり前。〔船〕 | 山中で集団生活する少年と少女の兵士 |
モンスターVSエイリアン 2009年 | ロブ・レターマン、コンラッド・ヴァーノン | 9点 懐かしくなって再見。ここ20年ぐらいのアニメの中で突出している。日本の怪獣映画をかなり意識してることを改めて感じた。出来映えは比較にならないほどこちらが上だが。[Netflix]〔船〕 | 侵略者と戦う地球のモンスター軍団 |
焼肉ドラゴン 2018年 | 鄭義信 | 6点 泣き笑いの映画を期待したが、笑いは不発。テンポ悪いです。日本の不機嫌顔女優ナンバーワンの井上真央は健在でした。以下、少々ネタバレが入るので、要注意。この映画、韓国人を悪く描いてるわけではない。なのに、どうして?と思わざるをえない演出がある。父親が息子を自殺に追い込む。それでいて悔悟の念がない。どうかしてる。〔船〕 | 真木よう子、桜庭ななみ、大泉洋、イ・ジョンウン、キム・サンホ |
ヤクザと家族 The Family 2021年 | 藤井道人 | 8点 ヤクザって、どこまでいっても悲惨ですよー、って、教育的な映画。大甘の『すばらしき世界』よりこっちが確実に上です。両方に出演してる北村有起哉も、こっちのほうが上出来。ただ、各役者に14年の年齢差がちっとも感じられなくて。〔船〕 | 綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、市原隼人 |
約束の宇宙(やくそくのそら) 2019年 | アリス・ウィンクール | 5点 不安的中。なんとものっぺりした演出。もろもろの訓練演出は本格的だが、プラスになってない。娘の名前がステラ(星)で猫がライカ(宇宙飛行した犬)。理に落ちる部分は多いんだけど。〔船〕 | シングルマザーが宇宙に飛び立つ エヴァ・グリーン、ゼリー・ブーラン・レメル |
やっぱり契約破棄していいですか!? 2018年 | トム・エドモンズ | 7点 自殺できなくて殺し屋を頼んだら、事情が変わってキャンセルしようとするも、取り消し不可で殺し屋から逃げまくる話。筋を変えてくるだろうとは思ったが、そういう終わり方でしたか。〔船〕 | 『豚と軍艦』『コントラクト・キラー』の焼き直し トム・ウィルキンソン |
野盗風の中を走る 1961年 | 稲垣浩 | 9点 時代劇の隠れた名作を発見。サスペンスフルなシナリオ。練り込まれた脚本。『十三人の刺客』以来の興奮状態。感動しました。原作者である演劇人の真山美保にも興味が湧いた。野武士と村人との関係は『七人の侍』と正反対に近い。どっちが正解とも言えないが。〔船〕 | 夏木陽介、佐藤允、市川染五郎、笠智衆、松本幸四郎、雪村いづみ |
由宇子の天秤 2021年 | 春本雄二郎 | 7点 瀧内公美の気迫のこもる演技に見惚れる。前に観た主演の『彼女の人生は間違いじゃない』では、個性が見えなさすぎて顔を覚えるの無理と思ったが、今回ようやく認識した。撮影や演出にはリズム感がなく、テンポもゆるくて、しんどいものがあった。2時間超える長尺を揺れ動く手持ちカメラで通すのは勘弁してほしい。〔船〕 | 教育現場の問題を追及するTVディレクター 光石研 |
友罪 2018年 | 瀬々敬久 | 7点 無関係なエピソードが並走する。最後に一本の話にまとまるわけじゃなく、バラバラのまま。予告篇はあざとくも一本の話にまとめていた。夏帆は幸薄い女を演じるとなぜこんなにはまり込んでしまうんだろう。〔船〕 | 生田斗真、瑛太、佐藤浩市、山本美月、富田靖子、西田尚美、村上淳、片岡礼子、石田法嗣、古舘寛治 |
夕陽のあと 2019年 | 越川道夫 | 9点 2本ハシゴで2本とも泣いてしまうという、初めての経験。もう一本『ラスト・ムービースター』ともども、自分と重なる部分なんてないんですけど。それは映画の力。役者の力というもの。〔船〕 | 少年の親権をめぐって産みの親と育ての母親が激突 貫地谷しほり、山田真歩 |
ユピテルとイオ 2019年 | ジョナサン・ヘルパート | 6点 ラスト近く、ヒロインが発作的に自殺を図ったように見えた。さっぱりわからんエンディング。Wikiにあらすじがあった。見間違えてた。ラストシーンで子供が現われてヒロインと並んだのも、自分の子供時代を妄想してるんだろうと思ってた。わかりにくいのは演出が悪い。ということにしとこ。[Netflix]〔船〕 | 居住不能となった地球に残る女性 マーガレット・クアリー |
湯を沸かすほどの熱い愛 2016年 | 中野量太 | 8点 演技アンサンブルが上々。むしろできすぎの感も。杉咲花にとっては出世作になった。『トイレのピエタ』の力強さから一転し、か弱さが本来のキャラかと思えるほどしっくりくる。〔船〕 | 宮沢りえ、篠原ゆき子、オダギリジョー |
ユンヒへ 2019年 | イム・デヒョン | 6点 あまりにテンポが鈍すぎて、普通の映画の半分程度の展開で終わってしまった。主演二人にもうちょっと魅力があればと思う。中村優子を唯野未歩子に替えればしっくりくる(レズビアン印象で)。〔船〕 | かつての恋人が住む小樽へ キム・ヒエ、木野花、瀧内公美 |
夜明けまでバス停で 2022年 | 高橋伴明 | <8点 ぶっ殺してやりたくなるほどのワルのいる映画は強い。三浦貴大がぴったりしっくり。主演の板谷由夏は時々桃井かおりに見えてくる。声や口調までも極似。〔船〕/td> | ホームレスに転落した女 大西礼芳、ルビーモレノ、片岡礼子、柄本佑、柄本明 |
八日目の蝉 2011年 | 成島出 | 9点 井上真央。無愛想が顔を持ったらこうなる、みたいな人ですが、女優としての評価が爆発的に上昇した映画です。この話だと、娘の愛情は必然的に実母じゃなく偽母に向かうことになる。哀しいことではあるが。[Netflix]〔船〕 | 角田光代原作 母だと思った女は誘拐犯人 永作博美 小池栄子 |
酔うと化け物になる父がつらい 2020年 | 片桐健滋 | 8.5点 タイトルには少なからぬ違和感があるが、僕好みの映画。姉妹の松本穂香と今泉佑唯がいいね。〔船〕 | 毎日泥酔する父 渋川清彦、ともさかりえ、恒松祐里、浜野謙太、安藤玉恵、宇野祥平 |
よこがお 2019年 | 深田晃司 | 5点 全編重苦しい。不穏な空気が立ち込める。監督がこの女優を使いたがる気持ちはどうにも理解しがたい。コメディ顔でシリアス演技するか。甥っ子の犯罪の動機は最後まで明らかにされない。市川実日子の発言の動機がわからないヒロインは鈍感。〔船〕 | 筒井真理子、池松壮亮 |
映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ 2017年 | 石井裕也 | 4点 観始めてすぐ、レンタルするんじゃなかったと後悔。劇場段階での観る観ない判断はたいてい当たっている。去年の日本映画のワースト1だ。「言葉に頼りすぎると退屈な女になっていく」と看板にデカデカと。そこだけ面白かった。〔船〕 | 最果タヒの詩集をもとに 石橋静河、池松壮亮 |
夜は短し歩けよ乙女 | 湯浅政明 | 6点 評判がいいのでちょっと観てみようかと思ったが‥。わけわからん。途中で止めようかと思った。終わった途端、ストーリーのほとんどが頭から消えた。[YouTube]〔船〕 | 森見登美彦原作のアニメ |
楽園 2019年 | 瀬々敬久 | 7点 悲惨で救いのない話。杉咲花のところだけぱっと明るく光が射してるような輝きがある。アジア系外国人役は外国人だと思ったら、黒沢あすかだった。なんらかの賞を獲って当然の存在感がある。草刈り機の使い方を理解してない佐藤浩市に、きちんと教えられるスタッフがいなかったのは残念。[YouTube]〔船〕 | 吉田修一原作 未解決となった少女失踪事件 綾野剛、柄本明、片岡礼子 |
ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ 2019年 | ジョー・タルボット | 6点 勘が鈍ってるのか文化の相違か、さっぱり感じ取れず。主人公の青年、貧乏な上に働いてないよね。それで家を買おうって…。〔船〕 | 邸宅を手に入れようとする黒人青年 |
ラスト・ムービースター 2017年 | アダム・リフキン | 8.5点 歳とると、こういうのに弱くなる。僕は過去に黄金時代などなかった。人生における悔悟の念とも無縁。だけど泣けてきた。〔船〕 | 映画の元大スターが怪しげな映画祭に招かれる バート・レイノルズ |
LOVE LIFE 2022年 | 深田晃司 | 8点 あとで予告篇を見たら見事なほど話のネタを割らないようにつないでいる。前情報ゼロで観たので面白かった。でもこの曖昧なラストでは海外で評価されにくいだろうに。顔見て思い出せない女優がいた。声を聞いたとたん、「山崎紘菜!」(笑)。〔船〕 | 事件を契機に揺れる若夫婦 木村文乃、永山絢斗、砂田アトム |
LAMB ラム 2021年 | ヴァルディミール・ヨハンソン | 8点 不気味なシチュエーションに戸惑う。アイスランドの荒涼とした風景は登場人物以上に物語る。羊の母さん、悲しすぎるよ。このマイナーな映画に大勢の客が入ってたのには驚き。〔船〕 | 羊から生まれた何か ノオミ・ラパス |
RUN ラン 2020年 | アニーシュ・チャガンティ | 8点 この設定でよもやのバッドエンドはなかろうねと、祈るような気持ちで観た。エンドは思わぬ展開に「おっ、そうきたか」と興奮した。〔船〕 | 毒母の狂気が暴走 サラ・ポールソン、キーラ・アレン |
リップヴァンウィンクルの花嫁 2016年 | 岩井俊二 | 8点 不思議の国にはまりこんだアリス。黒木華。ときおり華やかにぱっと輝く表情を見せる女優。彼女を愛らしく見せるために作られた映画。スルーはできない。映画の中で説明されていない重要な背景がある。前半で黒木をハメた人間は最後まで明示されない。全体の流れとタイトルから類推するしかない。本ボシは○○○○○のはずなのだが、ほのめかしもしないので自信がない。〔船〕 | 黒木華、綾野剛、Cocco、りりィ |
リトル・シングス 2021年 | ジョン・リー・ハンコック | 8.5点 なんとも言いようのない、いやーな展開。そして究極のバッドエンド。主演のデンゼル・ワシントンはひどい悪相になって、善玉にはとても見えない。タイトルは中身とつながらず、そのせいで記憶に残りにくい。[Netflix]〔船〕 | 猟奇殺人鬼を追う ラミ・マレック、ジャレッド・レト |
リトル・モンスターズ | エイブ・フォーサイス | 7点 ありえないを超越したおバカ展開がてんこ盛り。『ゾンビランド』とは一味違うゾンビコメディで楽しめます。[Netflix]〔船〕 | 遠足の児童を取り囲むゾンビ集団 ルピタ・ニョンゴ |
リバーズ・エッジ 2018年 | 行定勲 | 8点 やばいムード満々。秘密の白骨死体を共有する3人の高校生。ストーリー進行とは無関係に、映画のキャラクターにインタビューする映像が時々はさまる。これって台本ないでしょう。みんななりきって答えてるのが面白い。登場する若手俳優の中で、初めて見るSUMIREが只者ではない! 何者?と調べると、浅野忠信とCHARAの娘でした。〔船〕 |
岡崎京子原作 二階堂ふみ、吉沢亮、森川葵 |
リトル・ガール 2020年 | セバスチャン・リフシッツ | 8.5点 サシャという男女両用の名前がついてるのはたまたまだと思っていた。親が意識的に両用の名前をつけたという点は大きい。この映画は一家の闘いの物語。日本じゃなくフランスで、しかも現代においてなお偏狭な意識が蔓延してることに驚かされた。一家に気持ちが寄り添い、心が熱くなる。〔船〕 | ドキュメンタリ 女の子になりたいフランスの少年 |
リメンバー・ミー 2017年 | リー・アンクリッチ | 7点 随所にご都合ストーリーがありはするが、ディズニー+ピクサーなので、話をそつなくまとめた印象。CGアニメは見栄えする派手な動きに頼る傾向があるけど、本当はいかにして動かさずに人の目を引くスキルを持つかが大事。〔船〕 | 死者の日に死者の国へまぎれこんだ少年 |
竜とそばかすの姫 2021年 | 細田守 | 8点 『サマーウォーズ』よりも資金とエネルギーをかけたと思える映像がゴージャス。反面、ほとんどの人物が類型の枠内に収まってるのは不満。中尾幸世はどこにいたのだろうと音声を確認して、ようやく声を見つけた。〔船〕 | ネット世界でカリスマ歌姫になる女子高校生 |
ReLIFE リライフ 2017年 | 古澤健 | 8点 5年前にも観ている大好きな映画。平祐奈のユニークなキャラにノックアウトされた。このあとは平凡な青春ものの出演が多くてもどかしい。この人ならではのブッとんだキャラクターをもっと見たい。[Netflix]〔船〕 | タイムスリップして高校生活を再体験する 中川大志 |
LOU ルー 2022年 | アンナ・フォースター | 8.5点 最近は女性のバトルアクションが目立つが、さすがにばあちゃんの肉弾戦は珍しい。名前だけは聞いたことある程度のアリソン・ジャネイがヒロイン。世界を危機に陥れる陰謀ものではなく、巨悪と対決するわけでもない。スケールの小さいアクション映画なのに面白い。金をかけなくてもちっちゃくても面白い映画を作れますという見本みたいな映画。[Netflix]〔船〕 | 元CIAの女が母娘を救う |
ルース・エドガー 2019年 | ジュリアス・オナー | 9点 デリケートな問題に手を突っ込んでいる。下手に書くと差別する側に見られてしまう。米国の根強い黒人差別意識が黒人の意識に圧力を加えている。その圧力の二つの典型が描かれたように思った。〔船〕 | ナオミ・ワッツ、オクタヴィア・スペンサー、ティム・ロス |
ルーム 2015年 | レニー・アブラハムソン | 8.5点 ラストにぐっ、ときた。母親とってルームは監禁場所。だが子供の目には懐かしいふるさと。帰ってきて残された物たち別れを告げるシーンに泣けてくる。〔船〕 | 監禁された母と子 ブリー・ラーソン |
レディ・ガイ 2016年 | ウォルター・ヒル | 8点 ゲテモノ的B級とたかをくくってたが、実に巧妙なストーリー。最初に登場した殺し屋。うまくミシェル・ロドリゲスに似た男優を見つけてきたものだと感心した。誰なのかを調べて、ミシェル本人と知った。メイクアップとCGと演技力の勝利。[Netflix]〔船〕 | 性転換手術で女にさせられた殺し屋 |
レディ・バード 2017年 | グレタ・ガーウィグ | 8点 ビーニー・フェルドスタインは一度見たら忘れられない顔。頭でっかちな映画かと思って封切りをスルーしたが、優れた青春映画でした。蛇足ながら、日本では"Lady"の日本語表記で(僕が書くものを除き)「レイディ」を見かけない。「レディ」という発音は外国で通じない。〔船〕 | シアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメ |
ROMA/ローマ 2018年 | アルフォンソ・キュアロン | 8.5点 予告篇に欺かれたというか、アートフィルムだとばかり思っていた。予告にはこの映画に強く出ているエモーショナルな部分が皆無だ。実にわかりやすく、静かに感動した。武士道精神というのは欧米では高潔なものという誤解があるが、下劣な心と同居しうるものとして暴いて見せている点も高評価。〔船〕 | 監督自身の半自伝的な物語 |
ローン・サバイバー 2013年 | ピーター・バーグ | 8点 2005年の軍事作戦。米軍とタリバン、どちらにとっても結果的に何の成果もあげえなかった戦闘で、ともに多くの犠牲者を出した。とはいえこれが納得いく現実。似た内容でお気楽な『ホース・ソルジャー』とは正反対(どちらも実話モデル)。[Netflix]〔船〕 | アフガニスタンでのレッド・ウィング作戦 マーク・ウォールバーグ |
ろくでなし 2017年 | 奥田庸介 | 8点 ヒロインの遠藤祐美が素晴らしいが、調べてもほとんど情報がない。これといった経歴にも乏しい。ベテランに近くなった渋川清彦は渋さを増していい役者だ。主演は大西信満だが、こういう口下手生真面目タイプは男からも女からも好かれないように思うんだが、どうだろう。〔船〕 |
渋谷という町に生息する男と女 上原実矩、大和田獏 |
ロケットマン 2019年 | デクスター・フレッチャー | 8点 『タイニィ・ダンサー』がフルで歌われる。この歌が入る映画はこれが初めて。エルトン・ジョンは自分でつけた名前だが、ジョンという名字が存在しないことに気がついた。ジョンの名字形はジョーンズ。バーニー・トーピン役の俳優、エンドクレジット見るまで思い出せず。ジェイミー・ベルでした。そしてエルトンの母親役。クレジット見て、仰天した。〔船〕 | エルトン・ジョンの半生を描く タロン・エガートン、ブライス・ダラス・ハワード |
ロストガールズ 2020年 | リズ・ガーバス | 8点 IMDbの投票が2.9点。C級ホラー映画並み。しかし予告篇を見る限りではよさそうな気配があった。結果としてよかったんだが、悪評価の理由はわかる。カタルシスがまったくない重苦しい映画だ。観終わってからじわっと効いてくる。わりあい最近、現実に発生した事件を元にしているのは、エンドの字幕で知った。[Netflix]〔船〕 | 売春婦を殺して埋める連続殺人事件 エイミー・ライアン、トーマシン・マッケンジー |
ロスト・シング 2010年 | ショーン・タン | 8点 日本語字幕なし。常識的なストーリー展開じゃないので映像だけ見ても意味不明。元になる絵本を図書館で借り、読みながら観直した。迷子を見つけた青年が帰るべき場所を探してやる、という話。迷子といっても正体不明な巨大生物。映像は美麗で不思議な世界。[YouTube]〔船〕 | 短編アニメ ショーン・タン自身の絵本の映画化 |
ロスト・ドーター 2021年 | マギー・ギレンホール | 6点 知らずに観たら、子育て鬱の話だった。重たい上に主人公の行動が理不尽。ジェシー・バックリーの18年後がオリヴィア・コールマンというのは無茶。顔だけじゃなく何もかもが違いすぎる。佐久間由衣が樹木希林になる、みたいなもの。[Netflix]〔船〕 | ダコタ・ジョンソン、エド・ハリス |
ロマンスドール 2020年 | タナダユキ | 7点 不思議に思ったのは主人公の浮気相手の三浦透子。20近くも年上の高橋一生を堂々とリードしてる印象がある。タナダユキは作品数が多いわりに代表作がない。この映画も、監督自身の脚本がいいんだけど、演出・演技面で突き抜ける何かが足りてない。[Netflix]〔船〕 | ラブドール職人とその妻 蒼井優 |
ロマンティックじゃない? 2019年 | トッド・ストラウス=シュルソン | 7点 『愛しのローズマリー』など、似た設定の話はいくつかあったと思うけど、これが一番面白い。エンドのいきなりミュージカルシーンのダンスもよかった。[Netflix]〔船〕 | ラブコメ世界に放り込まれたデブ子ちゃん レベル・ウィルソン、リアム・ヘムズワース |
ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋 2019年 | ジョナサン・レヴィン | 6点 男の妄想ファンタジー。いくらなんでもこのヴィジュアルと性格では、女性に好かれるわけない。〔船〕 | 美女と野獣 シャーリーズ・セロン、セス・ローゲン |
ワイルドライフ 2018年 | ポール・ダノ | 6点 キャリー・マリガンの老けぶりに驚いた。1985年生まれ。映画の中で息子に「34よ。50に見える?」と言ってたが、まじでそう見える。子役のエド・オクセンボールドは監督とどことなく似てるような。自己投影したかな?〔船〕 | 壊れていく家族の絆 ジェイク・ギレンホール |
ワンダーストラック 2017年 | トッド・ヘインズ | 7点 映像ではなく映画的なマジックによる驚きを期待していた。少年の家族の物語をもっとていねいに描けなかったか。そこの厚みがないと話が弱くなる。もう一人の主人公を演じたミリセント・シモンズは表情が豊かで惹かれる。観たあとでミリセントの映画デビューだったことを知った。そして聾唖者の俳優だったことも。〔船〕 | オークス・フェグリー、ミシェル・ウィリアムズ、ジュリアン・ムーア |