極楽news No.154
       2021.12.30

Contents
 ・『ただ悪より救いたまえ』
 ・『ユンヒへ』
 ・今年のベスト

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◎ 公開中の新作から……… 『ただ悪より救いたまえ』  2020年度作品
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 監督:ホン・ウォンチャン
 出演:ファン・ジョンミン、イ・ジョンジェ、パク・ジョンミン、豊原功補、白竜、
    オ・デファン、チェ・ヒソ、ソン・ヨンチャン、パク・ミョンフン、ほか
 配給:ツイン
 原題:Daman akeseo guhasoseo / Deliver Us from Evil

 このところ、韓国映画の秀作が立て続けに公開されている。これまた強烈な映画だ。
この血なまぐさい映画を暮れ正月に公開するかね、普通。

 日本人ヤクザの兄貴分(豊原功補)が殺害された殺し屋(イ・ジョンジェ)が、殺
した男(ファン・ジョンミン)を追うストーリー。

 追うほうの残虐な殺し屋を演じるのは「イカゲーム」の気弱な主人公。事前に知っ
てなかったら、同一の役者だと気づかなかったと思う。一人の役者でこれほど振れ幅
の大きい役を同時に見たのは珍しい。

 狂気の殺し屋は、「趣味:殺人です」みたいなやつです。兄貴分を殺されたなんて
ことは殺しをするための口実にすぎない。ただ殺すだけではない。最も辛い思いをさ
せて殺す。それも長引かせつつ。

 このキャラクターよりさらに目を引いたのは、タイでファン・ジョンミンに協力す
るトランスジェンダーのパク・ジョンミン。ただのオカマっぽいキャラではなく、し
っかりと血の通った人物で、惹かれるものがある。

 最近の韓国映画は完成度の高いものが多く、映画産業の成熟を感じさせる。この映
画も、日本映画がすっかり取り残されたなあと思わせられるぐらい、純度が高い。

 日本は中途半端に一国内での市場規模があるので、外へ向ける視点が弱い。韓国は
市場規模が小さいがゆえに海外へ売り込む必要がある。映画人の姿勢の違いがここに
現われている。


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◎ これは必見か、という映画
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『ユンヒへ』
   1月7日全国公開 2019年度作品
   監督:イム・デヒョン
   出演:キム・ヒエ、キム・ソへ、中村優子、木野花、瀧内公美、ほか
   配給:トランスフォーマー
   原題:Yunhui-ege / Moonlit Winter

 高校生の娘に誘われて小樽へ行く韓国人の母親(ユンヒ=キム・ヒエ)。そこには
母親のかつての恋人(中村優子)が住んでいる。そんな設定のドラマ。

 小樽から届いた一通の手紙から始まるストーリーは岩井俊二の『Love Letter』を
彷彿とさせる。静かな映像の美しさもまた、影響のあることを感じさせる。


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◎ 映画あれこれ……… 今年のベスト
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 日本映画は今年も意欲的な新作が次々公開された。各配給会社・制作会社の苦心が
感じられる。

 10本がすぐあがった。同じ配給会社は一つもない。監督も重複なし。

 『アジアの天使』
 『あのこは貴族』
 『COME & GO カム・アンド・ゴー』
 『君は永遠にそいつらより若い』
 『偶然と想像』
 『トゥルーノース』
 『BLUE ブルー』
 『まともじゃないのは君も一緒』
 『ヤクザと家族 The Family』
 『由宇子の天秤』

 五十音順です。順位をつけるつもりはありません。好き嫌いだけで1本あげるとす
ると、『まともじゃないのは君も一緒』になるかな。


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 近況など……… 
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 『ただ悪より救いたまえ』を観たのは25日。なのになかなか紹介が書けず。依頼
原稿は早々に片づけるくせに、自前の発行物の原稿に手間取っています。

 気合が入らない。先に片づけたいことが他にある。てなことでずるずると。本当は、
文章で何かを伝えることの難しさをひしひしと感じてる、ということがあります。

 『犬は歌わない』以降、珍しいぐらいにずっと秀作傑作が続いている。ここらでち
ゃんと書いておかないと、書くときがなくなる。


船越 聡
https://funakoshiya.net/index.html 極楽page

「ミヤコちゃんのエコまんが」1/1 ノーベル環境賞
「まんが村」12/29 菌が死んねん
「ヤマレコ山行記録」12/23 みどりの日制定記念の森から浄土谷林道
「長岡京市の裏百景」12/19 無料食糧支援(フードバンク)
「船越屋画廊」12/17『紅葉の精』
「じべたでひろたもん」12/16 グリーンガム
「CINEMAテーブル」12/15 今年度版発行
「映画カフェ」2/23 開催決定!

『ただ悪より救いたまえ』・・・・・・・・・今年の最高傑作かも
『偶然と想像』・・・・・・・・・・・明るいラストでホッとした
『カム・アンド・ゴー』・・・・・・アジアン・ニッポン、万歳!
『茲山魚譜チャサンオボ』・・・・・・・・映像空間が体になじむ
『モスル あるSWAT部隊の戦い』・・・・・観ておくべき秀作
『リトル・ガール』・・・・・・・・・・・・・・・・心が熱い!
『犬は歌わない』・・・・・・・・・・・・・・驚きの映像の連続
このあとは『ユンヒへ』に期待

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Contents
 ・『リトル・ガール』

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◎ 公開中の新作から……… 『リトル・ガール』  2020年度作品
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 監督:セバスチャン・リフシッツ
 出演:サシャ、ほか
 配給:サンリスフィルム
 原題:Petite fille / Little Girl

 性自認が女性の少年をとりあげたドキュメンタリ。子供のトランスジェンダーです。

 家族の闘いの物語でした。世間という無理解な連中に対しての闘い。日本じゃなく
現代のフランスです。この国においてもなお、偏狭な認識にとどまる大人たちが大勢
いる。

 フランスの状況はわからないけど、ひょっとしたら多様性の受容という面ではかつ
てより後退してるのかも。そう思いたくなる時がある。僕の中学高校時代は、いろん
な意味でノーマルから外れた生徒たちがいたが、そうと知ってても口にしないし気に
しなかった。そのことを理由としたいじめを目にすることもなかった。

 特に高校は自由な校風として知られる学校で、制服が導入されようとした時は、生
徒たちが国連の児童委員会に訴えにいったぐらい自由でリベラルな空気があった。

 話はそれましたが、要するに在日の子が本名で登校しようが、(小学校時代)孤児
がいようが誰も気にしてなかった。そんな空気を思うにつけ、今はなんと狭い心が蔓
延してることかと情けなくなる。

 気持ちが熱くなり、2本立てのハシゴをするつもりが、気持ちが薄まるのがいやで
2本目を延期しました。

 ちなみにサシャSashaは男女両用の名前です。サシャには兄と弟がいます。母親は
女の子が欲しかったと言っています。それが理由での命名だったとは言ってませんけ
ど、そうなんでしょう。そのことは本人の性自認と無関係だと語られていますが、与
えられた情報だけではなんとも言えないと考えます。


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◎ これは是非とも、という映画
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『ファイター、北からの挑戦者』
   11月12日公開(京都は京都シネマで1月2日) 2020年度作品
   監督:ユン・ジェホ
   出演:イム・ソンミ、ほか
   配給:アルバトロス・フィルム
   原題:Pa-yi-teo / Fighter

 このところ韓国の映画に秀作が目立ってきている。今月19日公開の『茲山魚譜
チャサンオボ』の他、『12番目の容疑者』『ユンヒへ』『声もなく』。

 『ファイター、北からの挑戦者』は脱北者の女性ボクサーの物語。中国に残った
父親を呼び寄せるにも金がいる。死にものぐるいの戦いの物語。


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◎ 映画あれこれ……… 
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 自転車で行ける映画館が多く、運動不足解消も兼ねて走ってます。片道1時間ほど
のところに、京都みなみ会館とTジョイ京都(ともに南区)、高槻アレックスシネマ。
40分前後の距離で、イオンシネマ桂川(西京区)、イオンシネマ久御山(久御山町)、
TOHOシネマズくずはモール(枚方市)があります。

 3年前にクロスバイクを買ってから行動半径が広がった。というか、交通費をあま
り使わなくなった。自転車で行ける範囲に集中するから、かえって狭くなったかな。


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 近況など……… ペンタブレット
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 パソコンで絵を描いていながらペンタブレットを持っていませんでした。ようやく
今月購入。慣れるまでが大変ですが、とにかく使いまくらないと使えません。

 ちまちました細かい絵を描くのが苦手なので、なるべく手間のかからない、それで
いて見栄えする絵を追求しています。昨日、ほとんど一瞬で描いた絵をHPの画廊に
アップしました。知らなければどんなふうに描いたのかわからない絵です。


船越 聡
https://funakoshiya.net/index.html 極楽page

「船越屋画廊」11/21『単細胞生物1』
「ヤマレコ山行記録」11/18 林道大谷線から七面大明神(高槻市成合)
「壁紙ギャラリー」11/15 リーフ
「絵日記」11/4 アンアンのバッグ
「物語の国」10/31『月の裏側のリュウ』
「長岡京市の裏百景」10/18 川のない橋(西山公園橋)
「ヤマレコ山行記録」10/10 こもれびルート及びビルマ僧院跡
「まんが村」10/6 背後霊が重たくて…
「映画カフェ」2/23 開催決定!

『リトル・ガール』・・・・・・・・・・・・・・・・心が熱い!
『犬は歌わない』・・・・・・・・・・・・・・驚きの映像の連続
『かそけきサンカヨウ』・もうちょいセリフを工夫できなかったか
『ザ・モール』・・・・・・・・・見づらくて長いので疲れ果てた
『由宇子の天秤』・・・・・・・いい映画だけど、ちょっと重たい
『名もなき歌』・・・・・・・・・・少しカタルシスがほしかった
『君は永遠にそいつらより若い』・・・・甘さのかけらもない秀作
『浜の朝日の嘘つきどもと』・・・大久保佳代子に助演女優賞を!
『白頭山大噴火』・・・・・・・・・・・・韓国映画の良さが満載
このあとは『ファイター、北からの挑戦者』に期待

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Contents
 ・『君は永遠にそいつらより若い』
 ・『リトル・ガール』
 ・『Dead Friends』
 ・ヤマレコマップ

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◎ 公開中の新作から……… 『君は永遠にそいつらより若い』 2021年度作品
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 監督:吉野竜平  原作:津村記久子
 出演:佐久間由衣、奈緒、宇野祥平、馬渕英里何、小日向星一、笠松将、葵揚、
    坂田聡、ほか
 配給:Atemo

 冒頭近く、ゼミのコンパで延々と、堀貝佐世(佐久間由衣)に対してセクハラ暴言
を吐き続けるゼミのメンバーがいる。強烈だが、堀貝は適当に受け流す。こんな暴言
男、普通なら社会からスポイルされてもおかしくはない。

 堀貝は理不尽な扱いだと承知している。それでもひたすら受け流す。なぜ毅然とし
た対応をとらないのか。子供の頃にあったトラブルから、こうした対応のとりかたが
結局はベストなのだと学んだ。

 腹の底ではずっと負け犬に甘んじているつもりはない。反撃のタイミングを見測っ
ている。反撃といっても目の前のセクハラ男をぶちのめすとかいうのではない。理不
尽は社会全体に充満する。それらすべてに対する反撃の機会をうかがっている。男一
人を叩き潰したところで世の中は変わらない。

 タイトルの意味については、堀貝が友人の猪乃木楠子(奈緒)に語っている。僕に
はその言葉が反撃ののろしのように聞こえた。ただしその反撃は派手なものではなく、
地道な日々の仕事によって少しずつ、といったものだった。


 いい映画だとわかるが、思うことをなかなかまとめきれなかった。で、公開されて
十日以上も経ってからの遅い紹介となった。主演助演の二人は、性格やタイプが異な
りながら、ともに魅力的です。


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◎ これは目の宝、という映画
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『リトル・ガール』
   11月19日公開(京都シネマ) 2020年度作品
   監督:セバスチャン・リフシッツ
   配給:サンリスフィルム
   原題:Petite fille / Little Girl(小さい女の子)

 トランスジェンダーの子供を描いたドキュメンタリ。2歳にして性自認が明確にな
り、「私は女の子」だと主張する。早いですね。撮影当時は7歳ですけど。
 フランス北部に住むサシャが主人公。生まれた時は男の子だったはずですが、たま
たまというか、Sashaは男女どちらでもありうる名前なんです。


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◎ 映画あれこれ……… 『Dead Friends』
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 ネットで短編アニメをいろいろ観てますが、これはぜひともというのがこの1本。
2分足らずと短いです。CGアニメのゾンビもの。あまりにもほのぼのとしすぎてて
笑いがこみあげてきます。

YouTube - Dead Friends

 犬の名前が出ないのが残念ですが、ワンちゃん、可愛いですね。


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 近況など……… ヤマレコマップ
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 タブレット端末で、ヤマレコマップをダウンロードしました。スタートをクリック
すると、地図上に歩いた軌跡が記録されていく。山道の地図を描くのが格段に楽にな
り、ルートが正確になりました。

 もっと早くに入れてりゃよかった。全部歩き直して今まで描いた地図を改定してい
くのはきついです。


船越 聡
https://funakoshiya.net/index.html 極楽page

「ディープな秘境」9/23 七面大明神・岩滝廃寺(高槻市成合)
「物語の国」9/18『雪白』
「ヤマレコ山行記録」9/15 東檜尾川と林道大谷線の周辺探索
「船越屋画廊」9/5『夜道』
「ネタばれしても委員会」9/3『えいがのおそ松さん』
「まんが村」9/2 決算処分大蔵ざらえ市
「物語の国」8/31『The Digital Spectre』
「ヤマレコ山行記録」8/26 金龍寺跡〜太閤道〜岩神神社
「映画カフェ」10/17 開催決定

『名もなき歌』・・・・・・・・・・少しカタルシスがほしかった
『君は永遠にそいつらより若い』・・・・甘さのかけらもない秀作
『浜の朝日の嘘つきどもと』・・・大久保佳代子に助演女優賞を!
『白頭山大噴火』・・・・・・・・・・・・韓国映画の良さが満載
『サムジンカンパニー1995』・・・・・・・・熱いノリです!
『竜とそばかすの姫』・・・久しぶりの日本アニメをたっぷり堪能
『サウンド・オブ・レボリューション』・・グリーンランド万歳!
『返校 言葉が消えた日』・ホラー色は強いがホラーではなかった
このあとは『ザ・モール』に期待

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Contents
 ・『少年の君』
 ・ツタヤ閉店
 ・ワクチン接種

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◎ 公開中の新作から……… 『少年の君』  2019年度作品
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 監督:デレク・ツァン  原作:玖月晞
 出演:チョウ・ドンユイ、イー・ヤンチェンシー、ほか
 配給:クロックワークス
 原題:少年的你 / Better Days
 中国・香港映画

 チンピラどうしのいざこざに優等生の女子高校生が巻き込まれ、それをきっかけと
してチンピラと優等生が関わりを持つようになる。この手の映画が他にあったような
気がして記憶を引っ掻き回したが、出てこず。

 かつての中国映画で日本で公開されるものといえば、香港と提携したカンフー・ア
クションか、どマイナーなアート系ばかり。その中間の普通の娯楽映画がなかった。
観るに値するものがほとんどなかったんだと思う。

 この映画はカンフーでもアートでもない。過酷な中国の受験戦争を背景にした社会
派映画。そしてきわめて良質の恋愛もの、かつ、サスペンス映画。中国政府があまり
表に出したくなさそうな中国社会の裏の顔を、ヴィヴィッドに描き出している。

 この映画には重要なテーマがあるけど、そこに触れると月並みな映画に感じられる
恐れがあるから、あえて書かない。終盤の反転はネタバレにつながるから、これも書
けない。ストーリーを説明しにくい映画だ。

 主演で高校3年生を演じるチョウ・ドンユイは、童顔で中学生に見えたりもするが、
撮影時で二十代の半ば。映画のキャリアもそれなりに長く、新人ではない。2010
年の『サンザシの樹の下で』で主演デビュー。

 この映画でチョウ・ドンユイは徹頭徹尾腰の据わった演技を見せる。熱い心を持っ
た女優だ。『ソウルメイト七月と安生』を含め、未公開になっている映画が今後続々
公開されると思う。楽しみだ。


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◎ これは必見かも、という映画
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『名もなき歌』
   月日京都公開(都シネマ) 2019年度作品
   監督:メリーナ・レオン
   出演:パメラ・メンドーサ、ほか
   配給:シマフィルム、アーク・フィルムズ、インターフィルム
   原題:Canción sin nombre

 ペルーの映画。先住民の女性が出産費用に困り、無償の医療機関で女子を産んだも
のの、子供を取られてしまう。そこは乳児売買組織の施設だった。
 ペルー社会の闇を扱った今作、予告篇からは静かな力が感じられ、傑作の予感。


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◎ 映画あれこれ……… ツタヤ閉店
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 地元のツタヤが閉店して何か月かたった。実質的に利用しない幽霊会員なので、影
響なし。だけど、映画カフェの地元メンバーは何人か利用してたので、影響を被った。

 かつて、毎日一本映画を観るのが夢で、最高の贅沢だと思っていた。しかしレンタ
ルでは探すのも返却するのも面倒で、その上少額とはいえ毎回料金がかかるので、観
続けるのを諦めた。

 代わりにYouTubeから拾い出して観てたりもしたが、Netflixを観るようになって
本数が激増した。といっても手当たり次第に観てるわけじゃなく、時間が惜しいので
厳選してるのだけど。

 映画館で観逃してる映画はさほどないけど、未公開とかNetflixのオリジナルなどが
ある。観たかったけど逃してしまった古い映画。もう一度観たい映画。案外たくさん
あるものだ。それらが全部あるわけじゃなく、せいぜい10本のうち1本程度なんだ
けど。

 観たいと思える映画がこんなに多く存在してることを意識してなかった。7月は昨
日までの時点で、映画館も含めて18本。ちょうど一日一本になった。


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 近況など……… ワクチン接種
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 3日に二度目のワクチン接種を終え、一段落。未接種の若い方々には申し訳ない気
分です。

 地元長岡京のシステムでは、LINEでの予約受付がスマートフォンのみ。タブレット
端末でもパソコンからでも不可でした。毎度同じ段階でストップし、前へ進まない。

 そろそろ混んでないだろうという頃を見計らい、電話した。ちようどキャンセルが
あったというので、すぐに接種することができました。混みまくって何時間もアクセ
スし続けたとかいう話もありましたが、そういうのも一切なし。

 副反応も、一回目は筋肉痛が少々。二回目は、ひょっとして生理食塩水と間違えな
かった?というほど何もなし。悪運か、人徳か。どっちなんでしょうね。


船越 聡
https://funakoshiya.net/index.html 極楽page

「まんが村」7/18 少々死んでもいいけど…
「まんが村」7/1 第5波、真っ盛りのオリンピック
「エコまんが」7/1 第5波、来るか 6波は?
「船越屋画廊」6/26『こどもの森』
「まんが村」6/19 誰のためのオリンピック?
「船越屋画廊」5/28『スペルバウンド』
「ネタばれしても委員会」5/27『アーミー・オブ・ザ・デッド』

『ソボク』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・意外と平凡
『少年の君』・・・・・・・・・・・・今年を代表するような傑作
『アジアの天使』・・・・・・・・佐藤凌(子役)の存在感が突出
『トゥルーノース』・・・・・・・・・・・想定以上の秀作アニメ
『タイラー・レイク命の奪還』・・ド派手なアクションでノリノリ
『アーク』・・・・・・・・・・・・・・・日本映画今年初の駄作
『1秒先の彼女』・・・・・・・・・サービスてんこ盛りで楽しい
『RUNラン』・・・・・・・・・・・・・・・ハラハラドキドキ
このあとは『返校 言葉が消えた日』に期待

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Contents
 ・『RUN ラン』
 ・『少年の君』
 ・インターネットアーカイブのこと

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◎ 公開中の新作から……… 『RUN ラン』  2020年度作品
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 監督:アニーシュ・チャガンティ
 出演:サラ・ポールソン、キーラ・アレン、サラ・ソーン、ほか
 配給:キノフィルムズ
 原題:Run

 毒親もので監禁もののサスペンス・スリラー。監督は『searchサーチ』でデビ
ューしてこれが2作目。

 観ていて気づいたんだけど、バッドエンドが許されないジャンルが存在する。後味
悪い映画もそこそこ好きだけど、なぜか監禁もののバッドエンド、絶対ダメです。許
せないです。この映画がバッドエンドかハッピーエンドかは、書きませんが。

 後半にひねりがあるものの、基本的な設定はシンプルです。娘が自立して離れてい
くことを阻止しようとする母親(父親はなぜか不在)。逃げられないよう、薬で少し
ずつ体機能を奪おうと企てる。娘は親のどす黒い意思に気づく。娘は生まれた時から
障害を負っていて、車椅子生活をしている。逃げ切れるのか。

 この場合、母親の側に一つ弱点がある。娘が死ぬと母親は敗北する。娘の側はその
数少ない弱点を衝く以外に勝ち目がない。

 他人を支配し、束縛しようとする人間を僕は理解する。そういう人間は実際にいる
ものだ。誰かを支配下に置けなくなれば、すべてを失うほどに貧しい人生を送ってい
る。表面上の強気とは裏腹に、実態は哀れなものだ。

 母親役のサラ・ポールソンは過去、これほどの強烈な役柄はない。よく見れば怖い
顔をしている。狂気を孕んだ顔。以後はこのイメージに引きずられそうだ。

 娘役のキーラ・アレンはこなれた雰囲気を持つ若手女優だが、これが第一作だった。
出演作が次々制作されてるのかと思いきや、何もない。

 チョイ役でアジア系の女優が出てる、と思ったら、『searchサーチ』の失踪
娘(サラ・ソーン)だった。こちらはそれなりにキャリアを重ねていて、たくましく
生き残っているようだ。


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◎ これは観るべし?、という映画
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『少年の君』
   7月16日京都公開(京都シネマ) 2019年度作品
   監督:デレク・ツァン
   出演:チョウ・ドンユィ、イー・ヤンチェンシー、ほか
   配給:クロックワークス 中国・香港合作
   原題:少年的你 / Better Days

 台湾の『返校』、韓国の『ソボク』など、アジアから際立った印象のある映画が続
々出てきた。『少年の君』は青春映画だが、チャラチャラした映画ではもちろんない。
ヒリヒリした青春映画。

 ヒロインは目立つ風貌のチョウ・ドンユィ。主演作の『ソウルメイト七月と安生』
も近く公開される。


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 近況など………  インターネットアーカイブのこと
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 データを保存してくれるウェブアーカイヴを探してみた。ぼちぼち自分がいなくな
ったあとのことも考える必要がある。データベースなどを残しておいてくれるところ
がほしい。

 Wayback Machineというのが見つかった。米国の非営利団体、Internet Archive
が運営してる。URLを入力すれば、保存してあるページを表示してくれる。

 自分のサイトURLを入力すると、出てきた。驚いた。依頼するまでもなかった。

 サイト内リンクは有効じゃないということだが、クリックするとサイトの別ページ
に飛んでくれる。大半のページを保存してくれてるようだ。


 長年気にしてたことがあっさり解決して放心する。何も言わなくてもちゃんと保存
してくれてたことは嬉しい。

 ジオシティーズ時代のも京都inet時代のも、20年前からちゃんと残してくれ
ていた。律儀なこと。古ぼけたページを眺め、しばし懐かしい思いにふける。

 クリックしたら、アーカイヴから(現在の)トップページを見れます。
https://web.archive.org/web/20210227220839/https://funakoshiya.net/index.html
 しかたないけど、えらく長いURLだね。

 昔のチープなデザインも見たいでしょうか。いやーこればかりはねー…。書かない
ことにしましょう。ページのURLがわからなければ見れませんので、あしからず。


船越 聡
https://funakoshiya.net/index.html 極楽page

「まんが村」6/19 誰のためのオリンピック?
「船越屋画廊」5/28『スペルバウンド』
「ネタばれしても委員会」5/27『アーミー・オブ・ザ・デッド』
「じべたでひろたもん」5/23 スモークタン
「ディープな秘境」5/2 水無瀬の大秘滝
「昭和の俳優シリーズ」4/15 井川邦子
「猫ばかバンザイ猫映画事典」4/1 新規

『RUNラン』・・・・・・・・・・・・・・・ハラハラドキドキ
『明日の食卓』・・・・・・・・・・・・・・・重たすぎて疲れた
『アーミー・オブ・ザ・デッド』・・・・・・・盛り上がりまくり
『オキシジェン』・・・相当ヘヴィーでリアルなサスペンスで満足
『クロース孤独のボディーガード』ノオミ・ラパスがお似合いの役
『トリプル・フロンティア』・シビアな演出だが、ラストほっこり
『マクマホン・ファイル』・・・・・・・・・・冷徹にすぎる秀作
『約束の宇宙』・・・・・・・・・・・なんとものっぺりした演出
『SNS少女たちの10日間』・・ゴキブリホイホイみたいな映画
『BLUE ブルー』・・・・・・・・・・・・ボクシング映画の傑作
このあとは『Arc アーク』に期待

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Contents
 ・『SNS 少女たちの10日間』
 ・『約束の宇宙(そら)』
 ・外国映画の日本語タイトル
 ・マダニ被害

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◎ 公開中の新作から……… 『SNS 少女たちの10日間』 2020年度作品
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 監督:バーラ・ハルポバー、ビート・クルサーク
 配給:ハーク
 原題:V siti(チェコ語=ネットで)

 チェコのドキュメンタリです。18歳以上の女性を12歳に化けさせ、SNSでお
とりになってもらい、小児性愛者をおびき出す、というもの。

 エサを投げたとたん、わっとゴキブリが集まってきた。恐ろしいですね。偽名のア
カウントで写真を公開した瞬間から続々集まってくる。ここのやりとりについては何
も書きません。うんざりするほどひどいので。こいつらの行為はいくつもの法を犯し
ています。

 中に、子供向けキャンプの運営をしてるおっさんがいた。さすがに放置できない。
監督が面と向かって問い詰めても、犯罪だという自覚があるのでかえって居直る。証
拠はたっぷりあるし、警察がパソコン(か、スマートフォン)を押収すれば、余罪ぞ
ろぞろにきまっている。

 撮影終了後、データは全部警察に提供している。この映画には登場しなかった連中
も含め、全員検挙してほしい。こういった輩は更生する可能性みがないので、一生豚
箱入りがよろしい。この映画が公開されただけでも犯罪者たちにとっては打撃だろう。
顔が加工されてるといっても、知人が見ればわかる程度。

 強烈な映像体験だった。12歳に化けたのは3人。10日間の実験。仕事と割り切
ってても、みな相当なストレスだったと思う。トラウマになりゃせんだろうか。

 できたらその後に検挙したとか有罪に持ち込んだとかいうエピソードを最後に入れ
てくれれば、カタルシスになったんでしょうけど。

 蛇足ながら、ニセ12歳が変態の求めに応じてセット内のピアノで演奏したのは、
バッハと言ってたけど、ペツォルトのメヌエットです。有名曲です。


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◎ これはぜひとも、という映画
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『約束の宇宙(そら)』
   4月16日全国公開 2019年度作品
   監督:アリス・ウィンクール
   出演:エヴァ・グリーン、ゼリー・ブーラン・レメル、マット・ディロンほか
   配給:ツイン
   原題:Proxima

 京都ではTOHOシネマズ二条のみでスタート。緊急事態宣言で、25日にて打ち
切り。しかし京都シネマで30日から引き続き公開です。京都シネマでの公開は緊急
事態宣言の前からの既定のスケジュールです。

 よくわからんのですが、TOHOシネマズ二条のみの場合、必ずそのあと京都シネ
マで公開ということになってるようです。京都シネマなら僕の場合200円安いので、
この手の情報には敏感です。

 シングルマザーの宇宙飛行士(エヴァ・グリーン)が7歳の娘を置いて飛んでいっ
てしまう話です。それだけの話なんですが、予告篇が僕を招いています。


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◎ 映画あれこれ……… 
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 映画タイトルは短い文字列でアピールするので大変だ。日本映画でも外国映画の日
本語タイトルでも同じ。なんであれ、ネーミングには苦労はつきもの。

 外国映画では、パシッと的確に内容をつくタイトルもあれば、原題をそのままカタ
カナにしたタイトルもある。前者の好例としては『アオラレ』がある。わかりやすい
タイトルだ。原題は "Unhinged"。「不安定な」ぐらいの意味。原題も日本語の意味
も邦題に適さない。

 後者の例に『ビバリウム』がある。"Vivarium"の意味は「動物の飼育場」ぐらいの
意味。ビバリウムでは意味がわからない以上に、なんらイメージを喚起しない。タイ
トルも宣伝の一部だということを軽視している。内容を加味してつけるなら「カッコ
ーの巣」ぐらいかな。これだとネタバレに近くなるが、方向性が見えて気持ちの上で
覚悟ができるかも。

 ちなみにGoogle翻訳では、"Unhinged"も"Vivarium"も訳語が出なかった。タイト
ルで"Fabric"(=織物、骨組み)というのもあったが、これも出ず。Google翻訳は
壊れてるのかな?


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 近況など……… 
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 またウィルスが暴れまくってます。今度は変異型ということで、今までが大丈夫だ
ったからと油断してはなりません。

 しかし目下の問題はマダニです。屋外作業中にやられてしまって、痒い。何か月も
痒みが続きます。去年も一回やって経験済み。うんざりします。

 人によっては重篤な症状になって死亡することもあるという危険な害虫です。僕は
そこまでには至らないし、ウルシにもかぶれません。鈍いのかも。


船越 聡
https://funakoshiya.net/index.html 極楽page

「昭和の俳優シリーズ」4/15 井川邦子
「まんが村」4/2 蔓延防止、神頼み
「猫ばかバンザイ猫映画事典」4/1 新規
「ミヤコちゃんのエコまんが」4/1 ひねもすのたりのたりかな
「昭和の俳優シリーズ」3/29 市川春代(新規)
「映画カフェ」6/13 開催決定

『SNS少女たちの10日間』・・ゴキブリホイホイみたいな映画
『BLUE ブルー』・・・・・・・・・・・・ボクシング映画の傑作
『ヤクザと家族』・・・・・ヤクザ(指定暴力団)はとことん悲惨
『シャドー・ディール』・・・・・・端正なドキュメンタリで敬服
『ザ・テキサス・レンジャーズ』・・ケヴィン・コスナー、渋い!
『まともじゃないのは君も一緒』・・・・まともなんて誰もいない
『この茫漠たる荒野で』・・・・・・・・・・・・・静かなる秀作
『ビバリウム』・・・・・・・・・・・最初から最後までムカつく
このあとは『モルエラニの霧の中』に期待

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 極 ┃   ┃ ┃ ┃┃ ┃  ┃  ┏┓  ┃
 楽 ┗┓  ┃ ┃ ┃┃ ┃  ┃  ┗┛  ┃2021.4.11
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Contents
 ・『BLUE ブルー』
 ・『SNS 少女たちの10日間』
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◎ 公開中の新作から……… 『BLUE ブルー』  2021年度作品
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 監督:吉田恵輔
 出演:松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生、東出昌大、よこやまよしひろ、大高洋
    子、宮崎太一、ほか
 配給:ファントム・フィルム

 久しぶりにボクシング映画の傑作が現われた。

 努力したら、しただけの成果が得られる単純な映画(『ロッキー』みたいな)なら、
今ひとつ乗り切れなかったろうが、これは違う。人生、報われる時もあれば、天に見
放される時もある。

 主演は松山ケンイチと柄本時生(えもとときお)、東出昌大。それぞれ思惑は違う
ものの、ボクシングのみにエネルギーを注ぎ込む。

 柄本は、兄の佑(たすく)に光が当たりまくりだけど、個人的には時生のほうが好
きです。日本映画に欠かせない脇役俳優だと思う(今回は主演だけど)。顔はまあ、
アレですけど…、けっして見栄えはよくない(特に目つきが悪い)。小心者で性格も
よくない役柄にフィットする人ですが、妙に愛着を覚えます。

 話がそれました。3人のボクサーはボクシングにすべてを賭けています。どうして
も勝てないボクサー、脳にダメージを受けているボクサー、もともと弱いボクサー。
あがきつつ、戦っている姿に熱くなる。脳に損傷のあるボクサーなど、論外だとは思
うけど。

 また脇道に入りますが、『ミセス・ノイズィ』(2020年)で夫婦役を演じた大高
洋子と宮崎太一がこの映画でも夫婦役。同時期に2本の映画で夫婦を演じるというの、
相当に珍しい。このことについてネットで何か情報あるかと思ったけど、何もなし。

 いやしかし、今回は本題より脇の話ばかりを書いてしまったような。でもこの映画
は文句なしにオススメできる映画だと思います。ただ、女性目線では「なにやってる
んだよ、バカな男どもは」となりそうなんですけど。


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◎ これは禍々しい、という映画
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『SNS 少女たちの10日間』
   4月23日全国公開 2020年度作品
   監督:バーラ・ハルポバー、ビート・クルサーク
   配給:ハーク  原題:V siti

 ドキュメンタリです。幼く見えるけど18歳以上という新人女優を12歳に化けさ
せ、写真つきでSNSデビューさせて反応を見る、というもの。おいおいマジかよと
いうような大量のリアクションが暴力的に襲いかかる様子を見せてくれる。世の中、
かくも多くの変態がネット世界に巣食っているのかと思うと、ゾッとする。


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◎ 映画あれこれ……… アカデミー賞
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 今年のアカデミー賞はどうやら僕個人の関心とは別次元で進行しているようです。
ひょっとしたら主要な部門賞すべてをスルーしてしまうかも。

 いや、一つだけ気になる映画がある。日本での公開は未定ながら、『プロミシング
・ヤング・ウーマン(原題そのまま)』というのがある。賞を獲るのは厳しい映画だ
と思うけど。


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 近況など……… 
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 長岡京市の外郭団体のサイト用に店舗取材記事を書きました。正直、もうやりたく
ない気持ち。やはり自分のメディアで好き勝手なことを書いてるほうが楽しい。当然
ですね。


船越 聡
https://sense-nagaokakyo.city.nagaokakyo.lg.jp SENSE長岡京
https://funakoshiya.net/index.html 極楽page

「まんが村」4/2 蔓延防止、神頼み
「猫ばかバンザイ猫映画事典」4/1 新規
「ミヤコちゃんのエコまんが」4/1 ひねもすのたりのたりかな
「昭和の俳優シリーズ」3/29 市川春代(新規)
「背景画像」3/15 レッド
「ひょっこり通信」2/21 新作発行
「新釈図解辞典・大誤解」2/21 新作投入
「日々是一筆」2/15 新規ページ
「映画カフェ」6/13 開催決定

『BLUE ブルー』・・・・・・・・・・・・ボクシング映画の傑作
『タイガーテールある家族の記憶』・・・・・・・・救えない男だ
『ヤクザと家族』・・・・・ヤクザ(指定暴力団)はとことん悲惨
『泣きたい私は猫をかぶる』・・ユニークなアニメではあるけど…
『シャドー・ディール』・・・・・・端正なドキュメンタリで敬服
『ザ・テキサス・レンジャーズ』・・ケヴィン・コスナー、渋い!
『悪魔はいつもそこに』・・・・・・・・・・・不穏な空気、一色
『まともじゃないのは君も一緒』・・・・まともなんて誰もいない
このあとは『SNS 少女たちの10日間』に期待

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 極 ┃   ┃ ┃ ┃┃ ┃  ┃      ┃
 楽 ┗┓  ┃ ┃ ┃┃ ┃  ┗━━━━┓ ┃2021.2.28
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Contents
 ・『あのこは貴族』
 ・キネマ旬報の個人賞

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◎ 公開中の新作から……… 『あのこは貴族』  2021年度作品
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 監督:岨手由貴子  原作:山内マリコ
 出演:門脇麦、水原希子、高良健吾、石橋静河、山下リオ、篠原ゆき子、山中崇、
    高橋ひとみ、津嘉山正種、銀粉蝶ほか
 配給:東京テアトル、バンダイナムコアーツ

 岨手(そで)さんの映画は『グッド・ストライプス』のみ観てるんだけど、演出セ
ンスを気に入っている。予告篇にはあまり惹かれなかったが、監督を信頼した。実は
キネマ旬報の星取表が4・5・5(5段階)だったんだ。こんな評価はあまりない。

 上級階級の女と下層階級の女がふとしたことで接触することになる。それにより、
上の女(門脇麦)が化学反応を起こしたように変貌する話です。上の階級の人間と下
の階級の人間は東京の中ではっきりとした住み分けができている。なので本来は出会
うはずもなかった。

 そうしたメインのストーリーは脇に置く。石橋静河のセリフを除き、声高には糾弾
しないが、この映画は日本社会の病巣をじわりと感じさせる。社会のシステムを根本
的に変えなきゃならないんじゃないか、と。

 下層の女のヴァイタリティとふてぶてしさを感じさせる水原希子が素晴らしい。門
脇麦の姉役の篠原ゆき子、水原希子の親友の山下リオ。脇の女優陣が充実している。

 山下リオが水原希子に言う。田舎から出てきて搾取されまくって、私たちって東京
の養分だよね。言葉がぐさっと突き刺さる。声高じゃなく、自嘲。泣けてくる。

 石橋静河は現状の日本を糾弾するが、言葉で責め立てる必要はなかった。この映画、
感じさせることでじゅうぶんに伝えられている。


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◎ これはキモイかも、という映画
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『ビバリウム』
   3月12日全国公開 2019年度作品
   監督:ロルカン・フィネガン
   出演:ジェシー・アイゼンバーグ、イモージェン・プーツ、ほか
   配給:パルコ
   原題:Vivarium

 新居を求めて新興住宅街にやってきた若夫婦。帰ろうとすると、無限に広がってい
る町から出られなくなってしまう、というカフカ映画。そのまんま、一生町に閉じ込
められそうになる。
 主演のイモージェン・プーツは十代の頃から注目してた女優です。もっといろんな
ジャンル(コメディとか)もやれそうなんですが。


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◎ 映画あれこれ……… キネマ旬報の個人賞
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 キネマ旬報の個人賞は、主演女優から助演男優までほぼパーフェクトな選出でした。
水川あさみ、森山未來、蒔田彩珠、宇野祥平。毎年、「なんでこの人がこの賞を」と
文句垂れまくるのですが、今回は珍しく文句つけようのない選出でした。

 特に脇役俳優の宇野祥平が助演男優賞に選ばれたのが嬉しい。脇役のいい人は大勢
います。どんどん次々と光が当たってほしい。


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 近況など……… 
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 執筆者に「いつから発行」と問われ、そこで初めてCINEMAテーブルが30年
目に入ったことを知りました。創刊は1991年。

 第1号からの表紙を全部スキャンし、サイトで公開しました。
https://funakoshiya.net/cinematable.htm
 このページの底のほうです。



船越 聡
https://sense-nagaokakyo.city.nagaokakyo.lg.jp SENSE長岡京
https://funakoshiya.net/index.html 極楽page

「ひょっこり通信」2/21 新作発行
「新釈図解辞典・大誤解」2/21 新作投入
「日々是一筆」2/15 新規ページ
「じべたでひろたもん」2/3 110円
「背景画像」2/3 イエロー
「船越屋画廊」2/1『すれすれ』
「長岡京市の裏百景」2/1 秘密の浄土谷道

『あのこは貴族』・・・・・・・感動しました 今年のベストワン
『時の面影』・・・・・・・・・・・・・・気持ちのいい映像空間
『心の傷を癒すということ』・・・・・・どっぷり映画に浸りこむ
『すばらしき世界』・・・・・・・・・・・・・だいたいは想定内
『天国にちがいない』・・・・・・・・演出のキレが落ちたような
『D.I.』・・・・・・・・・・・・・なんだかよくわからない
『スタントウーマン』・・・・・・・現場映像をもっと見たかった
『バクラウ』・・・・・・・・・・・・見事なほどには狂ってない
『6アンダーグラウンド』・・・あまり期待しなければそれなりに
『大コメ騒動』・・・・・・・・・ああ、監督の腕が鈍ったのか…
このあとは『アウトポスト』に期待

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